2007年コンサートの第1ステージは「ソングコレクション」で
8曲のソングを歌った。このステージのピアノは私。
その大方は社会派的な詩に作曲された作品だったが
この中に「オペラ変身<セールスマンKの憂鬱>」(林光作曲)という
オペラの中で歌われたソング3曲がある。
林さんは、小学校などの、音響効果があまり良くないような体育館などでも
手持ちの楽器や、ピアノだけで演奏できるようにオペラを作曲された。
このオペラも勿論全編ピアノ伴奏で演奏されている。
「変身」はチェコの作家フランツ・カフカの中編小説。
主人公の男が、ある朝目覚めると巨大な虫になっていて
男とその家族のそれからの顛末の不条理を描いている。
オペラの初っぱなに歌われるのが「シャンソン」というソング。
女声合唱曲では「三十六番地のシャンソン」というタイトル。
プラハのニクラウス(ミクラーシュ)通り三十六番地は
カフカの生家があった場所だそう。
このオペラには、プラハの史実と伝説に基づく筋とは、一見無関係のソングを
多数挿入しているという見解を識者が書いていた。
「こんにゃく座」という、東京芸大声楽出身の方中心の団で上演されているが
私は実際このオペラは観ていない。
「出発」は、主人公の虫になった男が死んでから、残った家族が
新しい地へ出発するというフィナーレのソング。
ピアノの和音を刻むリズムは、列車が走って行く情景を想像させる。