昨日書いたブログ記事に
2006年に「女声合唱団風」のコンサートステージで歌った
「曼珠沙華」(北原白秋作詩・山田耕筰作曲/林光編曲)を掲載しましたが
このステージで同じく歌った「この道」(北原白秋作詩・山田耕筰作曲/林光編曲)
北原白秋が 1925年(大正14年)に旅行した北海道の思 い出の詩だそうです。
1番
この道は いつか来た道 ああ そうだよ
あかしやの花が咲いてる
2番
あの丘は いつか見た丘 ああ そうだよ
ほら 白い時計台だよ
3番
この道は いつか来た道 ああ そうだよ
お母さまと馬車で行ったよ
4番
あの雲も いつか見た雲 ああ そうだよ
山査子(さんざし)の 枝も垂れてる
林光光さんがコーラスに編曲した作品の大方は
女声三部のハーモーニーの美しさを重視されていて
コーラス部分をア・カペラに
ピアノのメロディーとの掛け合い的な編曲が多い気がします。
「時計台」という言葉で、北海道の札幌と想像できます。
「あかしやの花が咲いてる」「山査子の枝も垂れてる」のフレーズで
「あかしや」は3月から6月ごろまでのお花で
「山査子」の開花期は4月から5月だそうで
白秋が北海道を旅したのは春ごろなのだとわかります。
お借りした山査子の花の写真
そしてもう1曲これも春なのですが
中丸一昌作詞、中田 章作曲の「早春譜」
中田 章氏は、「夏の思い出」などの作曲で有名な
中田喜直さんのお父様であることは広く知られていて
「早春譜」は日本人の多くの方が
子供の頃から耳にしたり歌われている歌です。
林光さんはこの作品を、モーツァルトのピアノ協奏曲風にアレンジされました。
コーラスがオーケストラ、ピアノは伴奏ではなくピアノソロとして見立てています。
初っ端のア・カペラのコーラスは、オーケストラの前奏で、前奏が終わると
ピアノソロで、モーツァルトの「春のよろこび」のメロディーが始まるという
有名なメロディーの引用という、林光さんお得意のアレンジです。
途中も全てピアノソロに対してコーラスがオケ。
そして行き着くところは、ピアノ協奏曲によく書かれているカデンツァ(即興演奏)
本来ならピアニストの即興演奏ですが、林光さん自筆のカデンツァがあるので
ピアニストは大変助かりました。
私はこういうパラパラ弾く曲がとても苦手💦
モーツァルト風な、スケールやパッセージのフレーズが
いつも同じ音型ではなく
所々、よく似ているけど1音変えているとか
ちょっと皮肉屋な、いかにも林光さんらしい作曲で
コーラス聴いて弾いていると、自分が何を弾いているかわからなくなり
止まりそうになるという
この上なく半端ない緊張に見舞われます。
そう言ったことも念頭に
どうぞその録音をお聴き下さい。