これは昭和5年8月25日の横浜貿易新報に載った記事。例によって別件で調査していた時に気になってコピーしておいたものだ。 右の記事にはこんな見出しがついている。 失業の夫と子を捨てた無情の妻 徒歩帰国の窮状に同情 旅費を恵んだ奇特な人 子どもを連れた挙動不審な大学生らしき男が、伊勢佐木署員の取り調べを受けたという記事。男は31歳、奈良県秦野村から妻(29)と長男(9)を連れて上京し、日本大学の夜学に通いながら保険の外交員をしていたが、失業したため妻が夫と子供を捨てて家出してしまったというのだ。 そのため男は東京から奈良県まで徒歩で帰省しようとして、しばらくの間、旧横浜駅の石室村で寝泊まりしていた……。 詳しい記事は下の拡大版から読んでみてね。 その左側に載っている記事は、逆に夫が「臨月の妻と子を置き去りに家出」してしまったという話だ。子供を抱え一銭の貯えもないまま食べ物に困り寿署に助けを求めたという。これも詳しくは拡大版で。 左下には「家出妻保護願」との見出しをつけて、夫婦げんかの末に子供(2)を残して家出した妻を取り上げている。尼崎市から東京へ行ったものの仕事がなく横浜へやって来たという。 家族を捨てて家出する夫や妻たち。昭和5年の新聞を読んでいると、こんな男女が毎日のように紙面をにぎわしている。しかも匿名ではなく住所・氏名を出して! 一方で、あの子連れ大学生に旅費を恵んだ蓬莱町の松本さんとか、この記事の左上にあるように、寒かろうという思いから布団・衣類を恵む質屋の女将さんなどの存在も紹介している。 今なら記事にならないような身の回りの話だが、当時はこんなのがニュースになっていたんだね。 ←素晴らしき横浜中華街にクリックしてね |
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