「ワタクシハ」羽田圭介
これは小説なのかな?
余りの退屈さに読み進めるのが苦痛だったのです.
途中で3回くらい放り出そうと思った.
でも,時々ハッとする警句や,刺激的なシーンが出てきて止めるに止められなくなり,結局最後まで読んじゃった.
基本,就活がテーマです.
ただ,石田衣良さんの「シューカツ」のように真正面から就職活動のプロセスを捕らえていなくて,むしろ就活を通した生き方の模索をする若者の生態を捉えた小説の趣きです.
就活が目的で無いので,結果的に就活に対する主人公の必死さは全く感じられない.
現実問題として就活が決まらずに焦っている学生が読んだら,イライラするに違いない.
たぶん最後まで読めないと思うね.腹が立って.
本来若者が持つ就活の動機,例えば,「世の中に出てひとかどの人物になりたい」とか,「親を安心させるために安定した収入を得たい」とか,「彼女と結婚するために身を固めたい」とかいろいろあるじゃないですか?
理系人間だったら,自分が研究開発した新商品を世の中に出したいとか,偉大な発明をしたいとかね.
これらのどれかだったら,ドラマになるし,物語にもなる,感動も呼びうる.
しかし,この小説に出てくる若者は,なぜ就職したいの?ってのが全然伝わってこない.
ただ,大手だから,安定しているから,有名企業だから...
登場人物が皆疲れている.読んでいてこちらの神経が病んでくる.
久しぶりに人に勧めたくない本に出会ってしまった.
こんな本,大学の図書館に置かないで欲しいな.
などと八つ当たりしたくなる本.