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「MARC」データベースによると...
見えないものが見えるほど、恐ろしいことはない…。死者の魂を見ることのできる男・斉藤八雲。彼の赤い瞳が、次々に起こる殺人事件に挑む。新感覚のハイスピードミステリー。2003年刊「赤い隻眼」の改題改訂。
これじゃ何にもわからないですね.
主人公は,生まれたときから左目が真っ赤で,この目で死者を見る事ができる若者・斉藤八雲と,彼に反発しながらも,惹かれていく女子大生・晴香の二人.
これに八雲の超能力を頼りつつ,彼のことを見守る刑事や,八雲の育ての父が絡みつつ,難事件を解決するというストーリー.
八雲・晴香は,シャーロックホームズやエラリークイーンのような,第三者的な立場でなく常に事件に巻き込まれる形で,身の危険を伴いつつ関係させられていくので,ハラハラ度はかなり高いです.
題名が示すように,幽霊が出てくるのですが,いわゆるオカルトもののように,呪いをかけるとか,とりつくとかいう恐ろしいものとしてではなく,むしろ生き残った人に身の危険を知らせたり,犯人を示唆するような,「穏やかな」存在として描かれています.
犯人がまた,憎らしいというか,極悪人として描かれているので,こんなやつ,呪い殺してやれ!,と思うのですが,幽霊さんは,そこまでの力はないようなのです.
ちょっと歯がゆいような大人しい幽霊が出てきますが,八雲はその存在を見ることと会話をすることができ,そこから得た情報で真犯人を捕まえ,事件を解決するのです.
3つの中篇からなっていますが,いずれも晴香が危ないところで八雲が助けるという展開です.
主人公が死ぬわけないと分かっていても,ハラハラさせるテクニックはなかなかのもの.
たっぷりと楽しませていただきました.
私はこの本を知らなかったのですが,シリーズ化されており,10冊くらいはでているようです.
また,映画化,コミック化,テレビドラマ化もされていました.
おやおや,知らなかったなあ.
また,新しいシリーズに首を突っ込んでしまった.
やれやれ.