「逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録」
市橋達也(幻冬舎)
今年7月、市橋達也被告に千葉地裁は無期懲役の判決を下した。
千葉県市川市で2007年3月26日、英国人英会話講師の
リンゼイさん(当時22歳)が遺体で見つかった事件で、
殺人罪などで起訴された市橋達也被告(32歳)が、
2007年3月に逃亡し、2009年11月10日に逮捕されるまで、
その逃亡生活の様子や心境などをまとめた手記がこれだ。
罪は罪である。
比較的面が割れていながらも、長い間逃げ延びた市橋達也。
逃亡中に彼がどんな場所を転々とし、
どんな考えを持って行動していたのか、
それは誰しも興味のあるところだ。
自身が捕まるまでの間の出来事をまとめたというこの本、
少しばかり興味があったので読んでみた。
逃亡中はほぼ西日本(例外:青森)に居て、沖縄や四国、
大阪・神戸の飯場にいたと言う。
その間、針と糸で鼻を縫ったり、カッターナイフで顔のほくろを
切除したり、唇を切って薄くしたりして、
自らの手で整形を試みたこともあったという。
その後、飯場で働いて貯めたお金(100万円程度)で
病院で整形手術を受けている。
(ま、ここで足がつくのはわかりきっていることだったのだが・・・。)
高学歴(横浜国立大を中退、千葉大園芸学部卒業)ではあるものの、
この本における文章力は中学生程度。
抑揚のない文章である反面、実際は逆上型の性格。
その性格がリンゼイさん殺害に繋がった要因なのかも。
リンゼイさんに対する彼なりの想いは、少しだけ語られているが、
四国でお遍路さんをし、またこの本の印税を遺族にと、
相変わらず、反省の色や、起こした自らの過ちを悔い改めていない。
意外だったのは絵の上手さ。
また「ライ麦畑でつかまえて」を原書で読んだり、
映画『死国』への言及が多い。
さらにジュード・ロウ主演の『クロコダイルの涙』にも
触れているところをみると、
なにか逃亡者の心に共有できるものがあったのだろうか・・・。
いい歳をして、いつまでも親からの仕送りで生活し、
一度も働いたことのない彼が、その逃亡過程で、
飯場で力仕事をし、生きる知恵と労働の喜びを知るに至り、
今更に“後悔先に立たず”を実感していることだろう。
終盤は自らの死に場所を探しているようにも思えたが、
結局、自分でそれ以上逃げ延びる気力をなくし、
逃亡生活にピリオドを打っている。
語弊があるかもしれないが、
“悪人”ならば最後まで“悪人”で居続けてはどうだったのか?
本の中で、死体遺棄罪の時効は3年だと後になって知ったと語る。
ならばあと5ヵ月逃げ延びたら良かったとでも思ったのだろうか。
それにしても、
建造物侵入(時効3年)や現住建造物放火被告事件、
私文書偽造罪等々、
他にも警察はそのメンツにかけて殺人罪プラス様々な容疑を
重箱の隅を突つきつつ追求していくでしょう。
何よりも2年と7ヶ月、逃げ続けていたのですから・・・。
誰かに理解してほしかったのでしようか?
頭脳は良さそうですが、精神が弱いようですね。
最近は動機が希薄でも、簡単に殺人に走る若者が多いとか・・・怖いですね。
>よくもまぁ~殺人を犯して手記なるものを出したものですね。 誰かに理解してほしかったのでしようか?
その気持ちは誰も理解できないものでしょうね(笑)
殺人についての動機に全く触れていないですから。
>頭脳は良さそうですが、精神が弱いようですね。
文章を読んでいると社会人(ま、働かずですから社会人ではないかも)ではないですね。
>最近は動機が希薄でも、簡単に殺人に走る若者が多いとか・・・怖いですね
この激高型タイプが多いのではないでしょうかねぇ・・・。