ポガチャルの24勝にも驚きですが、チームUAEエミュレーツは20名の選手でここまで年間80勝もの勝利を積み重ねているのです。もうぶっちぎりでUCI世界ランク1位を独走中。これだけ凄い成績でも越えられない年間85勝という記録が残されているのです。
カベンディッシュが全盛期のColumbia – HTCです。2009年の事でした。ミラノ~サンレモを初優勝し年間25勝を挙げたマーク・カベンディッシュを筆頭にアンドレ・グライペル、マーク・レンショー、ベルンハルト・アイゼル、マルクス・ブルグハート、アダム・ハンセン、ジョージ・ヒンカピー、トニー・マルティン、マイケル・ロジャースなど強力なメンバーが勢揃いしていた頃のことでした。スプリンターチームとしては間違いなく史上最強だったと言るでしょう。
そのカベンディッシュが今季ツール・ド・フランスで勝利しエディ・メルクスの最多勝記録を塗り替えたのは記憶に新しいところです。ただ、これは新たな記録の誕生とともにカベンディッシュという偉大な選手の終焉だったともいえるものでした。
一方でジロにツールに世界選手権の3冠(トリプルクラウン)を達成しメルクスの記録に並んだポガチャルはまだまだ進化の途中の選手です。2022年のツール・ド・フランスで当時最強と言われていたユンボ・ヴィスマの総攻撃に合い、ヴィンゲゴーに敗れたUAEは本格手にチームの強化を進め、20名の選手で年間80勝を挙げる迄のチームへと進化させて来ているのです。
春先のクラシックこそファンデルプールとフィリップセンがいるアルペシン・ドゥクーニンクの活躍が目立っていましたが、ポガチャルがジロでステージ6勝を挙げマリアローザを獲得した頃から潮目が変わります。パリ~ルーベこそファンデルプールの連覇となりましたが、ツールではポガチャルが圧勝でWツールを達成します。その間もツール・ド・スイスでUAEが1・2フィニッシュしたりしていたのです。
シーズン後半に入ってもマルク・ヒルシがクラシカ・サン・セバスチャンを含む6連勝を上げ、ブエルタでもステージ3勝と勝利数を重ねて行きました。先日のジロ・デッレミリアのポガチャルの勝利でチームの勝利数は80勝に到達し、記録更新には残り12レースで6勝が必要となっているのです。
イル・ロンバルディアはポガチャル有利と見ていますが、パリ~ツールではチームはTOP10にも入っていませんでした。アダム・イエーツやマルク・ソレル、ジェイ・ヴァインといったブエルタでも活躍した選手や、ポストポガチャルの座を目指すフアン・アユソやデルトロといった総合系の若手が在籍するチームなのですが、ポガチャル中心に強化されてきたチームで強力なスプリンターが不在なのも事実なので、スプリンター勢が主力だったColumbia – HTCとはかなり状況が違います。
チームは期待感を高めているようですが、個人的にはチームの記録更新は難しいと思っています。そもそも総合系のチームでここまで勝ち数を延ばすことが驚きなのです。ポガチャルは個人の年間最多25勝に並ぶかもしれませんが、チームの85勝はかなり難しいだろうと見ています。ポガチャルがイル・ロンバルディアの前哨戦に選んだトレ・ヴァリ・ヴァレシンは大雨でレースがキャンセルされていますので、残り11レースで6勝は流石に相当厳しい数字でしょう。
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