3月14日火曜日のこと
3時ころ母から電話があった。
朝、携帯にかけたのが繋がらなくてかけてくれたみたいだ。
「今買い物に来てて、しんどなったから○○に来て休ませてもらってるねん。きれいになってから初めてきたわ」と。
その○○の店舗には知り合いがいて、今日母が来てくれたと数時間前に電話をもらっていた。
「今日少し前にHさんから電話あったよ。買い物の前に行って話したでしょ。だから初めて行ったんと違うよ」と言っても全然覚えてなくて、「初めて行った、きれいや」と言うばかり。
この時は短期記憶の低下がどんどん進んでいるんだと感じていた。
私はその数日前の焼き芋の話を母にしたかったが出先だったのでまたにした。
帰ったころ電話して、「話したいことがあって」と始めた。
数日前に八百屋さんに行ったときの話。
八百屋さんで色々物色している間ずっと「焼き芋どうぞ。焼き芋できてますよ」などと1分おきくらい頻繁にお店の女性が言っていた。
もう夕方だから作りすぎて売りたいのだなと思って聞いていた。
その女性はレジもやっている。
買い物を終え、レジの近くの焼き芋を見に行き1本かごに入れた。
さて、レジが始まって見ていたが、うんともすんとも言われない。
焼き芋を手にとってもしらーっと普通にレジをするだけだった。
「あら、焼き芋ありがとうございます。」「安納芋おいしいんですよ」などと言われるんじゃないかと期待していたのだ。
その女性は以前からそんなにフレンドリーな方ではないので(ちょっとこわい感じ)こちらからも何も言わなかった。
そんな話を母にすると、
「それは掛け声や。『いらっしゃい、いらっしゃい』って言うみたいに無意識に言ってるんやわ」と。
この時も私は、「へーせっかく買ってあげたのにね」なんて共感されるかと思って話したので、そんな言葉が出るとは思ってもみなかったし、掛け声なんて発想もなかった。
「ふーん、掛け声やったんかぁ 考えもしなかったわ」と言って、なんだかすっきりしなかった気持ちが、腑に落ちたという感じになった。
母は何でもおおらかに受け止めて、気にしないで生きてきた。
今はなんでも忘れてしまうけど、今でもこんなふうに私のこころを前向きにしてくれる。
写真はミモザ