「トシユキ(仮名)死んじゃってた」
と夫からの電話。
そして「孫の手ありがとね…」と声を詰まらせた。
夫は朝から、トシユキくんにプレゼントしようと孫の手を作っていた。
きのう100均で買ってきて、お湯につけて一晩おいてた。
彼は身体が硬く、背中も曲がってきたから、曲げたのを作って持って行ってやろうと言っていたのだ。
一昨日、YouTubeで竹の曲げ方を紹介していたのを見つけたので、その通りお水に浸けておいた。朝になり今度は夫がカッターで薄く削った。
そのあとは焦がさないよう火で炙り、お湯につけたりして手で少しずつ曲げていった。
ようやくくの字に曲がった孫の手を持って車でお見舞いに行くことにした。
2時すぎに車を駐車場に取りに行って一旦帰って荷物を乗せてから行く、と言っていたが戻ってこない。
「あれ?一度戻ってくるのかと思ってた。そのまま行くのかな?」と送ったら
「どへへ
言ったこと忘れてそのまま来ちゃいましたぁ
病院到着」と。
「はやー
よろしくね
2人の自信作♪」
とやりとりしたのが14時50分。
その20分後15時10分に電話があった…
2月の初旬に本人から夫に、あと1〜2週間の命だと連絡があった。
まさかと思い、2月12日月曜日にお見舞いに行き、やはり本当なのだと知った。
19日にも夫はお見舞いに行き、「癌の治療のせいで心臓が悪くなってもうもたないらしい。ガンの治療はもうやめている」と言うようなことを言っていた。
そして、今日26日。
あと2週間とは言っていたが、まだまだそんな日が来るとは思わず、欲しいと言っていた孫の手の作製に取り掛かったのだった。
たった今、忘れ物をして病院に戻ったと言うので、トシユキくんがもっといてほしかったんじゃない?と送ると
「そっかあ
やるなちみ」
とから元気で返してきた。
10代の頃からの友人。夫が新入社員で入った会社で毎日一緒にいた友達。
それからもう40年以上過ぎた。仕事場が変わってもキャンプに誘ってもらって私も一緒に行ったりした。
ここ数年も年に一度くらいは会っていたそんな親友が亡くなった。
今から帰ってくる夫になんと言ってあげようか。
※★道楽★さんのブログより
ロウバイ