道    ―じぶんは嫌われ者だって決めつけないで 真顔で、でも眸（め）はほほえんでそういわれた 顔をチョッと　上げてみようかな ...

息子らの坂     １　 聖書があった 二親（ふたおや）は神を信じる者だった   息子らが生まれた 二...

杖がわらって     七、八人の園児たちがお散歩 三人のおばあちゃんたちもお散歩   子どもたちは先...

時間の音     目覚まし時計よりはやく目覚めたので わたしよ ゆっくり時間の音をきいていよう ...

マスク   一日じゅう使われたのだった よごれて臭くなって棄てられたのだった もう用はないと いくらでも替えはあると ...

眼   １ 中学生のとき おまえ眼が怖いよと 同級生にいわれた   大学生のとき あいつ怖い眼をしていたなと 通...

雨     烈（はげ）しい雨のなか 娘は保育園へ子どもを預けにいく 息子は職場へ働きにいく きのうしたことを きょうもする ...

葉書一枚     なんとなく寂しい日には 郵便受けをのぞきにいく 来る時間は知っているのに それより早くのぞいてみる ...

空   カーテンのすきまから夜が出ていく 泣きじゃくっていた赤ん坊にも夜明けが来たのだ   ...

あなたはさがされている      １ 置きざりにされた雨が ビニル傘を探している   傘はボロボロのか...