ぬるい!砂糖も多い!

おいしいコーヒーが飲みたい

坊やのお守りはどこへ行った

2017年10月23日 | 日記
あの山こえて里へ行った。という話なので、いつも面倒をみてくれた懐かしいねえやに会いに、山のあなたへ行こうと思ったわけです。

屋敷を出て、北の方角にその阿耨多羅(あのくたら)山脈がそびえています。わたしはたった一人で登っていきました。峠越えはそれは険しい道でした。やがて、雪の積もった山道で、弟たちが一人また一人と倒れていきました。かれらが倒れたのは必然だったのです。わたしはかまわず進みました。

峠を越え、ふもとに下りると大きな川が流れています。一切苦厄川という激流です。船を雇い、流れに乗り出すと、川上からわたしのからだが流れ去るのが見えました。向こう岸では、懐かしい弟たちが出迎えてくれました。

里には三菩提寺というお寺がありました。本堂に入ると、それがいました。名前のない「それ」です。目も耳も鼻も口も体も頭もありません。なので、見ず聞かず嗅がず食べず触れず考えません。ただもう「それ」で、いえ、実はそれがわたしです。みなさんはじめまして。

そのころもとの屋敷では、わたしが涙ぐんで帰ってきていたということですよ。どこかで拾ったこどもを連れていて、こどもはでんでん太鼓と笙のふえをもっていたそうです。