ぬるい!砂糖も多い!

おいしいコーヒーが飲みたい

映画のはなし。論旨なし。

2021年07月31日 | 日記
アマゾンプライムビデオで、台湾のアニメーション映画「幸福路のチー」(2017年)というのを見つけて鑑賞した。
台湾で生まれ育ってアメリカに移住した女の人の半生を描いたものである。民主化前後の台湾の様子を一庶民の視点から見せてくれて、我々には現代史の勉強にもなる。

見はじめてすぐ思い出すのは、フランスのアニメーション映画「ペルセポリス」(2007年)。こちらは、イランで生まれ育ちフランスで暮らす女の人の自伝にもとづく。この作品を、「幸福路」の制作者たちは意識していただろう。主人公のおばあちゃんが重要な役割を果たすところなども似ている。ただ、引き合いに出すのがはばかられるほど、両作品の出来栄えには差がある。私は「幸福路」を見て、「ペルセポリス」がいかによくできていたかを再認識した。

ついでながら、「ペルセポリス」の主演はキアラ・マストロヤンニ。なんと、マルチェロ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴの娘だという。この二人が夫婦だったなんて知らんかったわ。そのキアラが演じる主人公が歌う場面があるのだが、この歌がとんでもなく下手である。なのに、しっかりフルコーラス歌っているのは何ごとだろうか。監督は平気だったのか。母親のカトリーヌ・ドヌーヴも出演していたから、なんかやめさせられなかったのか?

わたしは心配する

2021年07月30日 | 日記
プロ野球、再開するんやろな? 中断したままになったりしないよな? 

荒廃した国土に復興の槌音が響くなか、待ちに待たれた職業野球の再開です、などという日がウン年後に来たりしないよな?

その日、グラウンドに懐かしい顔がそろった。中断直前に話題を独占した「怪物ルーキー」佐藤輝明の姿もあった。だがその打棒はすっかり湿っており、かつての力は二度ともどらなかった。などという悲しい物語にはならないよな?

アメリカでも待ちに待たれたMLBが再開した。中断直前に話題を独占した「二刀流」オオタニサンの姿もあった。だが…とかいうのも、どうか勘弁してください。

そんな事態を避けるため、われわれにできるのは、神仏に頼ることだけだ。皆で絵馬を奉納したり、財産を喜捨したり、お堂を建立したりしよう。それでアメリカのMLBまで助けられるのか多少疑わしいが、そこは大和魂で乗り越えようではないか。

アルフォート愛

2021年07月29日 | 日記
ブルボンのアルフォート。初めて食べたときには感激した。チョコレートとビスケットをああ配分した人は表彰ものだわな。

「刑務所のなか」という映画にアルフォートが登場する。これは刑務所生活を楽し気に描いた変な映画だが、原作者の実体験がベースになっているらしい。その刑務所では毎月、素行の良い受刑者が映画鑑賞を許されるのだが、そのときお菓子と飲み物が配られる。そのお菓子がアルフォートだった。映画からもどった男からそれを聞いて、同房の連中が羨み、「あーっ、やっぱりアルフォートか、ちくしょう!」などと騒ぐのが、まあ、楽しそうだった。

このように刑務所でも人気のアルフォート、わたくしはよく職場で昼食にしていた。アルフォートひと箱とコーヒー。ちょうどいい分量だった。

ネタバレ潔癖症の方は読んじゃだめ

2021年07月28日 | 日記
井上ひさしの遺作『一週間』は、終戦直後のハバロフスク*が舞台の長編小説。主人公の日本人とソ連当局との丁々発止のやりとりが、抜群におもしろい。ページ数も多くて読みごたえも十分である。

ただ、どうも未完成な印象を受ける。たとえばスパイM**について物足りない。それ以外にも、作者自身も、いろいろ直したり加えたりしたかったのではないか。手を入れてから単行本にするつもりで、果たせなかったのかもしれない。

10年以上前のこの作品を思い出したのは、潜入スパイつながりで。サンデー毎日最新号の下山進の記事***によると、なんとまあ、立花隆が『日本共産党の研究』に従事した当時、スタッフの中心的な人物に、その日本共産党からの「スパイ」がいたそうな。たまげるじゃありませんか。その人物は誰にも正体を知られずに姿を消し、何年もたってから、苦しい胸の内を書いた告白の手紙を送ってきたそうである。


* 黒竜江とウスリー川とが合流するあたりのソ連領。
** 結党直後の日本共産党に潜入した当局の工作員。党に大打撃を与えたのち姿を消した。
*** 2021.8.8 「2050年のメディア 第70回」

懐かしのSF第一世代

2021年07月27日 | 日記
小松左京が生誕90年、没後10年ということで、週刊朝日は筒井康隆に思い出を聞いている(8・6増大号「盟友・筒井康隆が語る小松左京」。私が見たのは電子版)。

インタビュアーは、「星・小松・筒井」をセットにしてひとつの時代の「SF」を語るという、昔ながらの手法への思い入れが強いようだ。それに対して、御三家の蜜月時代に対して最近は醒めた態度の筒井は、なんだかつまらなさそうに、何とはなしに冷淡に回答している。「盟友」云々というタイトルが、少々浮き上がってしまった。

インタビューページ中の囲み記事によると、筒井の「日本以外全部沈没」は、「小松左京氏が許可を出し、星新一氏が考案し、筒井康隆氏が執筆した」ものだという。星新一のアイディアだとは初めて知った。

緑二題

2021年07月26日 | 日記
友人が十代のころの話。たまたま家族で見ていたテレビで、河童が話題になった。するとお母さんが、顔色一つ変えずに、河童は本当にいる、子どものころに見たと言ったそうだ。場所は三重県の山のなか、河童は緑色で小さかったという。お母さんが世間話のように話したというのが、かえって凄い。

緑色と言えば、私の母も子どものころ、普通でないものを見ている。火事(空襲?)の焼け跡から、人間の形をした緑色のものが空に昇って行ったそうだ。母は河童だの幽霊だの、あやしい話は受け付けないのだが、「あれは絶対に夢じゃなかった」と言っている。

広瀬正と星新一

2021年07月25日 | 日記
広瀬正はSFやミステリを書いた作家。生年は星新一に近く、「SF第一世代」に数えられるのだろう。直木賞候補に三度もなるなど、作家として盛りだった時期に、40代で急逝した。没後に河出書房新社から出た全小説集が、集英社文庫に入り、これが多分二度改版だか新装だかされている。二度目は2008年なので、過去の作家、忘れられた人、というわけでもない。

それでもこの人もっと読まれていい、もっと有名でもおかしくない。読んでみてそう思う。理数系の鋭い思考力と巧みな小説の腕前とが無理なく融合していてすばらしい。「マイナス・ゼロ」に込められた熱量には圧倒されるし、「鏡の国のアリス」の鏡像の解説もみごとだ。

ただ、「鏡の国のアリス」もそうだが、長編小説のタイトルのつけ方に難がある。「ツィス」も「エロス」ももっと魅力的な題にすればよかったのに。星新一も、河出の「マイナス・ゼロ」の解説文で、広瀬は題名で損をしていると書いていた。

星新一は、文壇デビュー前の広瀬の掌編「もの」を激賞したという。しかし、先の文章は全体にどうも歯切れがわるい。星は広瀬に心理的な距離を置いていたように思わされる。戦前の東京の描写へのコメントなどから察するに、広瀬正の才能に星新一は嫉妬をおさえられなかったようだ。

図書館

2021年07月23日 | 日記
図書館のホームページをながめだすと止まらなくなる。たとえばテーマごとに調べ方を指南するパスファインダーというものがある。冊子を配布もしているが、同じものをネットに上げてもいるので、わざわざ出かけなくても読める。各館が自分でつくるので、優劣もあるだろう(大阪市立図書館はきわめて優秀)。国立国会図書館のサイトの「しらべかた案内」のページからは、都道府県立館と政令指定市立館とのパスファインダーを通覧できるようになっている。

その国会図書館のサイトは圧倒的な情報量をもち、使い慣れるには時間がかかる。とはいえ、このサイトを知っていることがここ一番でものを言いそうである。

大学図書館のサイトには在籍者以外は利用できないコンテンツも目立つが、こういうものを提供しているのかと眺めるのも乙なものである。

などと書きながら、ネット上で2~3館見ただけで疲れてしまった。止まらなくなるので困るのだ。


数学は楽し

2021年07月22日 | 日記
療養生活をおくっているが、頭を目覚めさせるために、毎日数学の問題を解いている。10年ばかり前に入手したパソコンソフトで、PC教育シリーズ・スタディオンというのを使っている。高校数学の全域を扱い、センター試験の問題も3年分収録している。難易度は低いようだが、丁寧につくられていると思う。

正解を出しても、解説は読む。自分が遠回りな解き方をしたことに呆れたり、頭の良い人はこういう道筋で考えるのかと納得したりする。楽しい。




樹皮文化その他

2021年07月21日 | 日記
2017年12月5日付で、「マハーバーラタ雑感」という文章をこのブログに書いた。インドの大叙事詩マハーバーラタやNHKのドキュメンタリーを材料に、木の皮を衣服にする文化がインドから東南アジアにかけてひろがっていたのかと想像した。

そのまま別に調べもせずにいたところ、柳田国男「木綿以前のこと」を読んでびっくり。かつて日本でも、楮(こうぞ)を加工して衣料品にしていたらしい。そうか、日本もか。

昔々のその昔は、樹木の多いところでは樹皮から、植物の貴重なところでは家畜から、というように土地と生業に見合った方法で衣服をつくったのだろうな。それぞれがどんな道をたどって、インド産綿織物なりイギリス産毛織物なりに出会ったやら。複雑にからみあった歴史があるにちがいない。目がくらみそう。