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ウクライナの不都合な

2023-02-24 06:18:05 | 社会
 ウクライナの状況についてはTBSの報道1930(月~金,7:30-8:54PM)が一貫してかなり深い報道を続けています。02/01(水)では戦車供与ですったもんだの流れが報道されていました。

 現在最強の戦車と言われるらしいレオパルトの提供をドイツが渋っているには様々な理由があるとされていて、例えばBBC解説「ドイツからウクライナへ戦車供与 なぜ決定に時間がかかったのか」(23/01/30)では、いくつかの理由を挙げています。
  ・2回の世界大戦で、ドイツ軍は何百万人ものロシア人を殺した自責の思い。
  ・大勢の人が(とりわけ旧共産圏の東部では)伝統的にロシアに親近感を抱いている。
  ・戦況激化、エスカレーションの懸念。

 しかし上記報道1930によれば、
  ・(01/13-14?)にCIA長官が極秘訪問、ゼレンスキー大統領と会談
  ・(01/20)に国連の支援会議でドイツは戦車供与を先延ばし
  ・(01/21)からウクライナで15人の汚職摘発
  ・(01/25)にドイツのレオパルト2とアメリカのエイブラムスの供与が承認される

 つまりは、「せっかくの支援が汚職役人のために消えたら困る」という懸念も供与を渋る一因にあったというわけです。アメリカ議会でも、そういう不満は出ていたらしい。ウクライナの汚職度は世界179カ国中110番代の常連という状態で、ゼレンスキー大統領も当選時に汚職撲滅を掲げたものの成果が上がらず、戦争直前の支持率が低下していた一因とも言われています。
 ちなみに国家の汚職度というのは、NGOであるトランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International :TI)が作成発表している腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index :CPI)が指標となっています。これはトランスペアレンシー・ジャパン公式FaceBookから参照できます。100点満点で点数が高いほど汚職度が少なく清廉だという指標なので、むしろ清廉度指標とか清潔度指標とか言うべきかも知れません。

 例えば2020年のCPIを見ると、
  Ukrine 33点(117位), Russia 30点(129位), おなじ東欧(中欧?)でPoland 56点(45位)
 最上位にはヨーロッパ諸国などが並びますが、少し下がって
  Canada,UK,Hong-Kong,Australia 77点(11位-4カ国), Japan 74点(19位),
  Unite States 67点(25位), Taiwan 65点(28位)
 競っている2大国が、 China 42点(78位) India 40点(86位)

 プーチン大統領も「ウクライナの汚職はひどい」などと宣伝攻勢をしているらしいですが、まさに鼻くそが目くそを非難するというものです。万が一ロシアに併合されたりしたら、さらに悪化するではありませんか。戦争突入直後はさすがに減ったとのことですが、戦争が日常となってしまってまたまた復活してきたとのこと。いやその気持もわかる気もするけれど。

 汚職撲滅を目指しつつも力及ばずだったゼレンスキー大統領としては、実は渡りに船だったかも知れません。これを奇貨として清廉な政府機関に生まれ変われるならば幸いというべきでしょう。
 参考:石川雄介「ウクライナの内なる戦い「汚職対策」の現在:限定的な反汚職政策から「摘発」へ」新潮社Foresight(23/02/20)

 また汚職ではありませんが、障害者福祉という点でもウクライナ社会の遅れというものがあったようです。
  参考:「障がいゆえに捨てられ、劣悪な施設で人生を奪われるウクライナの孤児たち」 COURRiER Japon(22/08/03)
 この子たちはポーランドに避難したことで助けられたという面があるのですが、上記汚職度の点でもポーランドはウクライナに比べると遥かに清潔で、福祉の面でも先を進んでいるのでしょう。この面もまた、戦争を奇貨として戦後のより良い国造りにつながるならば幸いというものでしょう。

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