まさに私が示唆した敢えてミスリーディングな計算をした人がいます。
http://takedanet.com/2011/03/16_3882.html 武田邦彦
原発 緊急情報(16) 法を破った国と専門家・・自衛しよう!
(引用開始)(前略)
定められた放射線の量は、3ヶ月で1.3ミリシーベルトである(これから後はシーベルトを省略する)。
中略
この1週間、福島県のほとんどの場所の放射線の強さは1時間1マイクロを超えていたので、福島県は全体として「管理区域に設定」しなければならなかった。
(以下略)(引用おわり)
まず「福島県のほとんどの場所」ということはなかったはずです。短時間にどんなデータから、福島県全域で15μSv/hrが7日間連続したと判断できたのでしょうか1)。
また3ヶ月の総線量が1.3mSvを越える可能性があれば管理区域に設定すべきなのであって、仮に1μSv/hrが1週間続く可能性があるとしても設定要件にはなりません。「1時間1マイクロを超えて」という規定と「3ヶ月で1.3mSv」という規定とは別なのです。これこそが敢えてミスリーディングな計算の典型です。
そもそも管理区域設定はこれから放射線や放射性物質を取り扱いたい場所を設定する、いわば平時の話です。今回は事故による危険時の話で、いちいち管理区域を設定して届け出たりとか(法令に沿って)管理体制を整えたりとかやってる暇があるはずがないでしょう。しかも範囲だってどんどん変わりうるのですから。指定すれば自動的に全てが管理されるようになるわけではないのですから。これらは別に放射線関連資格を持たなくとも常識的に判断できることです。
私も第一種放射線取り扱い主任者の資格は持っていますが、だいぶ錆び付いてますので法令は示しながらいきます。危険時の規定は以下のとおり。「新たに管理区域設定をせよ」という趣旨の規定は何もありません。必要なのは「事故が起きました」という届です。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO167.html
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律2)
(危険時の措置) 第三十三条
蛇足
この手の誤りの指摘は10数日後では意義が薄れると思うので短時間で書いていますが、推敲時間が短いだけに間違いを犯さないようにというプレッシャーはいつもより大きいですね。短期間で色々と垂れ流している人はこんなプレッシャーには無縁なんでしょうか? うらやましい(-_-;)
-------------
1) 放射線モニターデータのまとめページでざっと見ても福島県内各地点の推移は不明。短時間にどこから「すでに7日間が立っているので、時間は、7×24=168時間で、その間1時間当たり15マイクロの放射線を浴びているわけだからすでに、市民は2.52ミリの被曝を受けたのである。」と、福島県全域で15μSv/hrが7日間連続したと判断できたのか不明。
2)
なお、緊急作業時の許容線量は次の通り。12レム=120mSvです。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V05/N10/196020V05N10.html
許容被曝線量等を定める告示
(緊急作業に係る許容被曝線量)
第7条 緊急作業に係る許容被曝線量は、12レムとする。
ただし、平成13年(2001年)に告示187号というのが出て、原子力発電所での緊急作業では100mSvになっています。
http://www.taisei-shuppan.co.jp/support/code1487/1487/dat/data.files/00100.htm
〇実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示
平成十三年三月二十一日
経済産業省告示第百八十七号
(中略)
(緊急作業に係る放射線業務従事者の線量限度)
第八条 実用炉規則第九条第二項及び貯蔵規則第三十条第二項の経済産業大臣の定める線量限度は、実効線量について百ミリシーベルト、眼の水晶体の等価線量について三百ミリシーベルト及び皮膚の等価線量について一シーベルトとする。
http://takedanet.com/2011/03/16_3882.html 武田邦彦
原発 緊急情報(16) 法を破った国と専門家・・自衛しよう!
(引用開始)(前略)
定められた放射線の量は、3ヶ月で1.3ミリシーベルトである(これから後はシーベルトを省略する)。
中略
この1週間、福島県のほとんどの場所の放射線の強さは1時間1マイクロを超えていたので、福島県は全体として「管理区域に設定」しなければならなかった。
(以下略)(引用おわり)
まず「福島県のほとんどの場所」ということはなかったはずです。短時間にどんなデータから、福島県全域で15μSv/hrが7日間連続したと判断できたのでしょうか1)。
また3ヶ月の総線量が1.3mSvを越える可能性があれば管理区域に設定すべきなのであって、仮に1μSv/hrが1週間続く可能性があるとしても設定要件にはなりません。「1時間1マイクロを超えて」という規定と「3ヶ月で1.3mSv」という規定とは別なのです。これこそが敢えてミスリーディングな計算の典型です。
そもそも管理区域設定はこれから放射線や放射性物質を取り扱いたい場所を設定する、いわば平時の話です。今回は事故による危険時の話で、いちいち管理区域を設定して届け出たりとか(法令に沿って)管理体制を整えたりとかやってる暇があるはずがないでしょう。しかも範囲だってどんどん変わりうるのですから。指定すれば自動的に全てが管理されるようになるわけではないのですから。これらは別に放射線関連資格を持たなくとも常識的に判断できることです。
私も第一種放射線取り扱い主任者の資格は持っていますが、だいぶ錆び付いてますので法令は示しながらいきます。危険時の規定は以下のとおり。「新たに管理区域設定をせよ」という趣旨の規定は何もありません。必要なのは「事故が起きました」という届です。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO167.html
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律2)
(危険時の措置) 第三十三条
蛇足
この手の誤りの指摘は10数日後では意義が薄れると思うので短時間で書いていますが、推敲時間が短いだけに間違いを犯さないようにというプレッシャーはいつもより大きいですね。短期間で色々と垂れ流している人はこんなプレッシャーには無縁なんでしょうか? うらやましい(-_-;)
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1) 放射線モニターデータのまとめページでざっと見ても福島県内各地点の推移は不明。短時間にどこから「すでに7日間が立っているので、時間は、7×24=168時間で、その間1時間当たり15マイクロの放射線を浴びているわけだからすでに、市民は2.52ミリの被曝を受けたのである。」と、福島県全域で15μSv/hrが7日間連続したと判断できたのか不明。
2)
なお、緊急作業時の許容線量は次の通り。12レム=120mSvです。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V05/N10/196020V05N10.html
許容被曝線量等を定める告示
(緊急作業に係る許容被曝線量)
第7条 緊急作業に係る許容被曝線量は、12レムとする。
ただし、平成13年(2001年)に告示187号というのが出て、原子力発電所での緊急作業では100mSvになっています。
http://www.taisei-shuppan.co.jp/support/code1487/1487/dat/data.files/00100.htm
〇実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示
平成十三年三月二十一日
経済産業省告示第百八十七号
(中略)
(緊急作業に係る放射線業務従事者の線量限度)
第八条 実用炉規則第九条第二項及び貯蔵規則第三十条第二項の経済産業大臣の定める線量限度は、実効線量について百ミリシーベルト、眼の水晶体の等価線量について三百ミリシーベルト及び皮膚の等価線量について一シーベルトとする。
まず、15μSv/hのことは福島市の状況です。
福島県のHPからリンクされている情報は当時エクセルで以前の推移も把握できましたが、途中からPDFになって、現時点のみになってしまい推移が不明になっています。以前の方がよかったといまでも思います。
原発事故後は福島市では数日間20μSv/hという高い値が検出されていました←当時の風向を見て風上なのになんでこんなに高いのだろうと思っていました。
現在は6μSv/h程度に逓減しています。
http://www.pref.fukushima.jp/j/sokuteichi167.pdf
福島市の15μSv/hというのは武田氏がブログにアップした時点での(20(当初)+10(ブログ時点))÷2の値で妥当と思っています。
>この1週間、福島県は西南の会津の地域を別にすると多くの場所の放射線の強さは1時間1マイクロを超えていたので、福島県は広く「管理区域」を設定」しなければならなかった。
武田氏ブログ引用20日8時更新分
>福島県全域で15μSv/hrが7日間連続したと判断できたのか不明。
書き直したのかどうかは不明ですが、初めは福島県全域とは言っていたんでしょうか?
私が見たときには違和感がなかったので上記のとおりの表現だったと思います。
3月19日19時現在文科省データ
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/19/1303727_1919.pdf
当時の最新の文科省データを見るとで平均1μSv/hの試算も普通かと思いました。
その当時、不思議に思っていたことは福島市の放射線量が福島県HPのリンク先と文科省データに結構差があったことでした。
●福島県HP 地震・原子力災害情報
http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm
●文科省HP モニタリングカーを用いた測定結果
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303726.htm
●茨城県HP 私は水戸にいるので県内の状況もチェックしています
http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/index.html
福島県も茨城県の放射線量の比較にX線の/回と/時間を比較して安全だと主張しているところです。
テレビやラジオと違ってずっと現在まで記載が残っていますからどうにかしてほしいところです。
一応、メール等で連絡済みではあります。
私のHDに残っていたコピーを見ると「この1週間、福島県のほとんどの場所の放射線の強さは1時間1マイクロを超えていたので、福島県は全体として「管理区域に設定」しなければならなかった」となっていましたね? いつの時点でコピーしたのかは記憶にありませんが。
いずれにせよ本記事の趣旨は、「法を破った」ということはない、というのが主眼です。まあ今考えると武田邦彦の表現はジョークなのかも知れず、だとすると私はとても野暮な批評をしたことになりますが。
現状の対策活動というのは原子力災害対策特別措置法に沿って行われているらしいですね。
http://www.bousai.go.jp/jishin/law/002-1.html
しかし、これミスリーディングですか?
政府は飯館村に対して自主避難を求めている段階ですよ?飯館村では法令の定める空間線量率1mSv/年はとっくに超えているのに、その程度のアクションですよ?1.3mSv/年すら超えていますが、ノーアクションです。
>今回は事故による危険時の話で、いちいち管理区域を設定して届け出たりとか(法令に沿って)管理体制を整えたりとかやってる暇があるはずがないでしょう。
事故による緊急時で暇がないのなら、政府の発表なんて待っててもしょうがないと思いません?であるならば、いつ頃までにその線量の空間から離れなくてはならないということを考える上でとても大切な考え方です。
そして、緊急時だから1mSv/年を超えるのなんてしょうがないという、風潮がみえますが、そんなのは東電や政府が押し付けているだけで、憲法の定める平等からはかけ離れています。我々にだって、綺麗な空気と水と大地で生活する権利があるのです。当然1.3mSvを超えてそれをほおっておくのならば、憲法違反だと思っています。法律の専門家ではありませんので、私が思っているだけですが。
>敢えてミスリーディング
という表現から、無駄に騒いでいる、不安をあおっている、という印象を受けます。だとしたら、伊達市の私はそんな風に受け止めていないですよ。
政府が予測も立てず、過去の積算値も公表しない現状で、武田さんは私の知る限り少数の、福島県民の立場で物事を考えてくれる人です。
嫌味ではなく、ほかに福島県民の立場で物事を考えている人がいたら、教えてください。情報を求めています。
コメントありがとうございました。レスが遅れましたが生来反射神経の鈍いのんびり屋のこととて御容赦いただければ幸いです。いくつか誤解があるように思えますが、ひとまず最後の点についてだけ私見を述べます。
私は読心術は使えませんので、武田氏に限らず誰かが福島県民の立場で考えているかどうかについては正確なコメントはできません。推測を申せば、現在この問題にかかわっている方々の多くは福島県民の立場で考えているだろうと推測しています。もちろん他の地域の人々の立場も考えていることもあるでしょうし。あるいは青臭いとお考えの人もいるかも知れませんが、基本的に多くの方々は武田氏も含めて善意で発言したり行動したりしていると考えています。
例えばこのような発言などは、多くの人々の立場で考えているように私には思えます。
http://tnakagawa.exblog.jp/15365406/
しかし善意からとはいえ、間違った情報や混乱させる情報は有害と考えます。そして私は、本記事で取り上げた武田氏の発言について、「政府は法律違反を犯しているから信用できない」というミスリーディング(誤った方向に導く)をしていると考えました。まあ、ぼんさんへのレスに書いた通りジョークだったのかも知れませんが、だとしても私には本気に思えるわかりにくいジョークでした。
なお「緊急時だから1mSv/年を超えるのなんてしょうがない」というのは東電や政府が押し付けているものではなくICRP勧告にもある国際基準の考え方です。ついでに言えば職業として放射線や放射性物質・核燃料などを取り扱う人々については「仕事なんだから1mSv/年を超えるのなんてしょうがない」ということで年間被曝許容量が緩くなっています。「超えるのなんてしょうがない」という表現は少々刺激が強いのではないかとは思いますが、「原則は可能な限り被曝は避ける。ただし、そのための努力やリスクが被曝のリスクを避けるメリットに見合わないようなら本末転倒である。」というのが低線量被曝の防護の基本的な考え方です。これらの点は放射線取り扱い主任者の資格をお持ちの武田氏なら同意なさるはずです。
蛇足かも知れませんが、混乱させる情報を発信したり、わかりにくい情報を発信したりということは政府だってやっています。しかしそれについては多くの人々からの指摘や訂正等が入っているように思えています。