知識は永遠の輝き

学問全般について語ります

鳥は大地の形を視るか

2025-02-03 05:55:26 | 架空世界
 前回の記事(2024/12/01)では、足を通じて低周波音を聞き取れるマンモスが大地(地球)の運動までも知覚できるという設定の話が出ました。この仮定がもし成り立つとすれば、マンモスや象が歴史時代のホモサピエンスのような高度な文明社会を築いたとしても、「チ」の物語のような歴史[Ref-1]は生まれなかったことでしょう。彼らにとっては「大地は絶対に動くはずがない」という信念の方が感覚的に妄想ということになるのですから。

 もちろんそれでも地球と太陽とのどちらが中心なのかという論争は生じるかも知れませんが、地動説が一方的に排除されるという歴史は生じないでしょう。

 まあ地球の運動はともかくとしても、地平線の向こうからの音も知覚できるのですから「大地は曲面だ」ということは感覚としてわかっているかも知れません。となると、「大地も海面も平面であって、海の果てからは海水が滝となって落ちている」などというロマンチックな異世界は誰の頭の中にも生まれなかったかも知れません。なんか寂しい(^_^)。

 象はともかくとしても鳥ならばどうでしょうか? 人間だって大気圏のすぐ外という比較的低いところからの衛星画像でも地球が丸いということは納得できるのです。もちろん大気圏外を飛べる鳥などいませんが、全地平線を見渡すことができて、高度を変えれば見える範囲が変化するという景色を見続ければ、「大地も海面も平面」という妄想を抱く方が不自然です。どれくらいの高度まで飛べれば地球の非平面性が実感できるかどうかというのはよくわかりません。あまり離れすぎると、球形のはずの月や太陽がお盆に見えてしまうという現象もありますけれど(^_^)

 鳥の中でも北極から南極まで飛ぶような鳥もいるわけで、そこまで行かずとも長い距離を短期間で移動するのが当たり前だと、大地が球形で感覚として球面幾何学がしっくりくるなどということになるかも知れません。
 「どこまで行っても交わらない平行線は1本しか引けないって? そんなもの1本も引けないに決まってるだろ!」
 「いや事実はそうかも知れないけどさ。とりあえず認めておくと、実用的には便利なんだよ[*1]。」
 (ワイワイ、ガヤガヤ)

 などというおしゃべりが、『テメレア戦記4 象牙の帝国(下)[Ref-2]』p177 で展開されていました。この作品のドラゴンたちも高空を飛びますから。
 「"真の直線"というものは、だんだん地球表面から離れて宇宙の果てまで延びていくんだよ」という発想をドラゴン達が思いつくまでには、長い歴史が必要なのであった!?


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Ref-1) 歴史ではなくフィクションですけど。
 1a) wikipedia「チ。-地球の運動について-」
 1b) アニメ

Ref-2) 本ブログの記事
 2a) ビバ!ドラゴンズ(2022/10/20)
 2b) 生ける空中戦艦(2022/11/13)
 2c) 竜が変える歴史(2022/11/26)
 2d) 価値観の変化(2022/12/30)
 2e) 無窮大陸の夢(2023/05/23)

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*1) 翻訳すると、近似的には平行線が1本しかないとみなしておくと、非常に面積が狭い範囲での実用的な幾何学問題は、より簡単な方法で問題ない精度で解ける。

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