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計画停電の是非

2011-03-21 07:11:31 | 社会
 ダイヤモンドオンラインの上杉隆の一連の記事には共鳴するものが多いのですが1)、計画停電への噛み付きはちょっと勇み足のように思えます。

http://diamond.jp/articles/-/11533 【第167回】 2011年3月17日
被災地への支援を止めないために、計画停電よりも「節電」で対応を!

 確かに「その結果、復興は遅れ、場合によっては救援活動すら妨げることになる。いや、実際にそうなっている。」ことは事実でしょう。しかし「停電ではなく節電で事足りるのではないか」というのは甘いでしょう。100歩ゆずっても、電力会社としてはそんなリスクは犯せないでしょう。「計画初日は「みなさまの節電努力のため、電力不足は回避できた」として、「計画停電」を東京電力自ら見送っているではないか。」と言っても、その後は実際に停電せざるを得なかったのだし、週末には「大規模停電の恐れ」さえありました。

 そもそも初日に停電せずに済んだのも、「計画停電しますよ」という発表が皆の危機感を煽ったことが大きく効いた面もあるのではないでしょうか? これが単なる「お願い」だけだったら無事に済んだかどうか怪しいのではないでしょうか? もちろんこれはタラレバの話ですから確証はできませんが。上杉隆は「大口需要者にお願いする」ことを考えているのかも知れませんが、確実な強制力を伴わない措置での効果は予測が難しいものです。単なる「お願い」だけで現実に大規模停電が、いや局地的でも突発的な停電が起きていたとしたら、「計画停電という手段があったにもかかわらず無策だった」という批判が殺到したのではないでしょうか?

 電力会社に対して一言いえば、初日の第1グループの開始予定時間はもっと遅くする配慮はほしかったですね。第1グループが予定通り停電していたら、不意打ちをくらった人々からのクレームが殺到したのではないでしょうか。計画停電のニュースも知らずに朝6:20には寝ている人は多数いそうだ、というくらいの想像力はほしかったですね。

 また「計画停電しますよ」という発表を首相が行ったことも、パフォーマンスで東電の発表を遅らせてしまったという批判2)はありますが、人々の危機感と覚悟を引き出すことに一定の効果はあったのではないかと考えます。もっと早く東電だけの発表だったとしても、あの計画では同様な混乱は避けられなかっただろうと考えます。とすれば、一定の効果のあるパフォーマンスがあった方がましだった可能性もあります。
 もちろん冷静に?パフォーマンスを見抜いてしらける感性の持ち主(私もたぶんそう)にとっては「実利を取れ」と言いたいところでしょうが、パフォーマンスにのって感動してしまう人々もいるのだし、たぶんそちらが多数派です。スポーツのチーム監督やプロスポーツマンなどなら体験的に知っているのでしょうが、パフォーマンスも使いようなのです。

 官邸から東電の方へすっ飛んでいってしまったのは、私もどうかと思いますけどね。わざわざ現場に出向かなくても全体を把握できる能力こそ指揮官に必要なものなのではないでしょうか?

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1) 例えば、
http://diamond.jp/articles/-/11356 【第165回】 2011年3月3日
小沢氏元秘書への“立証の対象にしない裏献金”とはどういうことか?大手メディアの情報操作を検証する
http://diamond.jp/articles/-/9645 【第144回】 2010年10月7日
離党・辞職を否定した小沢氏の”無実”はほぼ確実。
それでもやはり、自ら離党すべきだった
http://diamond.jp/articles/-/9800 【第146回】 2010年10月21日
問題点だらけの「世論調査」という怪物が独り歩きする危険
http://diamond.jp/articles/-/10485 【第154回】 2010年12月16日
ウィキリークスのアサーンジ氏に相次ぐ“思考停止”の報道――日本のテレビ・新聞は本当に大丈夫か

2) 例えば、
http://news.nifty.com/cs/item/detail/fuji-zak20110315009/1.htm
 “菅”主導で大混乱!パフォーマンス優先の“人災”だらけ
  2011年3月15日(火)17時0分配信 夕刊フジ 
他、「計画停電 パフォーマンス 首相」等で検索すれば多数でてくる。


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