さて先日の記事で紹介した規則8(置換公理)により1:1対応を使って作り出される順序数を数直線上に示してみましょう。まずは全ての自然数とωを0~1の有理数に1:1対応させることができます。もっとちゃんと言えば、1~ωの順序数から0~1の有理数に対して1:1写像(単写)が存在します。ωの写像が1であるのは共通として、具体的な写像にはいくつもあるでしょうが、例えば次のようなものがあります。
自然数Nを2進数で表す
N=dndn-1dn-2・・・・d2d1
d= 0 or 1
この2進数表記を左右反転して頭に「0.」を付け2進小数にする。これは有限小数で有理数である。
f(N)=0.d1d2・・・・dn-1dn
こうして1~ωから0~1の有理数への単写ができました。同様にしてnω+1~(n+1)ωからn~(n+1)への単写ができますから、nω+mという形の全ての順序数から有理数全体への単写ができることになります。そしてnω+mという形の全ての順序数よりも大きい最小の順序数はω2になりますが、上記の単写でω2はωに写ると見なせます。
次に同様にして有数直線上に示した1~ω2の順序数から0~1の有理数への単写も行うことができます。すると同様にして、1~ω3の順序数を有数直線上に示すことができます。
さらにまた同様にして、といっても0~1の有理数から1以上への単写に少し工夫をすると、以下の図のように1~ωωの順序数を有数直線上に示すことができます。
さらにまた同様にしてωタワーで表現するような順序数でも数直線上の有理点として示すことができます。まことに自身より大きそうな集合でも飲み込んでしまうという無限集合の面目躍如といったところです。
そして驚くべきことは、これら自然数全体よりも遙かに大きな順序に位置づけられる順序数をいくら集めても、その濃度は自然数全体の濃度(アレフ0,aleph-null)*1に等しいということです。まあこれは1:1写像だけを繰り返して作り出したという点からも明かですし、あくまでも有理数だけに対応させている点からも明らかです。有理数全体の集合の濃度もaleph_0ですから*2。いくら巨大に見えてもωの四則演算で構成される程度の順序数はそれほど大きくはないということです。
そして実数全体の集合の濃度というのはaleph_0よりも大きいことがカントールにより有名な対角線論法により証明されていますから、それはωタワーの遙かに上に存在するのです。なお実数全体の集合は自然数全体の集合の部分集合全てと1:1対応しており*3、これは実数全体の集合を作り出すには規則4.ベキ集合の公理(axiom of power set)が必要であることを示しています。そしてまた、無限集合のベキ集合を取るということが、実はとてつもない操作だということも示しています。
*1) 本当は下記のサイトに示されるような記号を使うべきだが
http://mathworld.wolfram.com/Aleph-0.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Aleph_number
*2) 有理数が分数で示せること、つまり自然数の対の集合の中へ単写できることを考えれば証明できる。
*3) 実数が2進数の無限小数で示せること、つまり自然数全体に1と0を割り当てる方法の集合に対応することを考えれば証明できる。
表題に追記しました(2011/11/12)
自然数Nを2進数で表す
N=dndn-1dn-2・・・・d2d1
d= 0 or 1
この2進数表記を左右反転して頭に「0.」を付け2進小数にする。これは有限小数で有理数である。
f(N)=0.d1d2・・・・dn-1dn
こうして1~ωから0~1の有理数への単写ができました。同様にしてnω+1~(n+1)ωからn~(n+1)への単写ができますから、nω+mという形の全ての順序数から有理数全体への単写ができることになります。そしてnω+mという形の全ての順序数よりも大きい最小の順序数はω2になりますが、上記の単写でω2はωに写ると見なせます。
次に同様にして有数直線上に示した1~ω2の順序数から0~1の有理数への単写も行うことができます。すると同様にして、1~ω3の順序数を有数直線上に示すことができます。
さらにまた同様にして、といっても0~1の有理数から1以上への単写に少し工夫をすると、以下の図のように1~ωωの順序数を有数直線上に示すことができます。
さらにまた同様にしてωタワーで表現するような順序数でも数直線上の有理点として示すことができます。まことに自身より大きそうな集合でも飲み込んでしまうという無限集合の面目躍如といったところです。
そして驚くべきことは、これら自然数全体よりも遙かに大きな順序に位置づけられる順序数をいくら集めても、その濃度は自然数全体の濃度(アレフ0,aleph-null)*1に等しいということです。まあこれは1:1写像だけを繰り返して作り出したという点からも明かですし、あくまでも有理数だけに対応させている点からも明らかです。有理数全体の集合の濃度もaleph_0ですから*2。いくら巨大に見えてもωの四則演算で構成される程度の順序数はそれほど大きくはないということです。
そして実数全体の集合の濃度というのはaleph_0よりも大きいことがカントールにより有名な対角線論法により証明されていますから、それはωタワーの遙かに上に存在するのです。なお実数全体の集合は自然数全体の集合の部分集合全てと1:1対応しており*3、これは実数全体の集合を作り出すには規則4.ベキ集合の公理(axiom of power set)が必要であることを示しています。そしてまた、無限集合のベキ集合を取るということが、実はとてつもない操作だということも示しています。
*1) 本当は下記のサイトに示されるような記号を使うべきだが
http://mathworld.wolfram.com/Aleph-0.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Aleph_number
*2) 有理数が分数で示せること、つまり自然数の対の集合の中へ単写できることを考えれば証明できる。
*3) 実数が2進数の無限小数で示せること、つまり自然数全体に1と0を割り当てる方法の集合に対応することを考えれば証明できる。
表題に追記しました(2011/11/12)
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