所感である。
腹立たしいまでの細部の造り込みは庵野秀明の美学、流儀でありアンチへの遠慮などは何ら要らない。
マンドリン銃からレシプロ機の 「踏ムナ」 「押スナ」 「▽ 危険 危険 危険」 の注意書き、果ては
女医用のガーターストッキング型地下足袋?に至るまで食傷する程の「世界観作り」は信仰なのだ。
ベルはベルナールだと実在世界のフランス系なのか、貴族なのに何故山賊みたいな部隊の副隊長に
割り当てられたとか日露戦争かWW1風の塹壕戦なのに日本?が海軍陸戦隊だけで陸兵がいないとか
そこは味噌を付ける所ではなくて作り手はちゃんと知っていて現実とは違った形にしているのだ。
柴名姐さんは敵国に内通して最後は虫歯菌になってしまったその程度の存在だとか言うのは簡単だ。
しかしこの種の表現で「お約束」な身体の一部を除き妖怪化してしまうともう人間の心、知性は持たない
クリーチャーになってしまったのではなくある意味、歯医者の中で唯一人間らしい感情が残っていた。
一部例外を除き 「主人公が複数の漫画は当たらない」 というが本作に限っては野ノ子と柴名姐さん
が並立して主人公の話と扱って観ても間違っていないと感じる。
普通に身近な男(ひと)を愛するし、愛する男を失えばどこまでも悲しむ。そんな「普通な」心を持てよ!!
という姐さんの叫びは既に普通な心じゃなくなってしまっている野ノ子と、偶然だがその声の主の清水
が収録後に取った行動に対してのものになってしまった。
悲しいね。 本当に悲しいね。