伊澤屋

歴史・政治経済系同人誌サークル「伊澤屋」の広報ブログ。

『視覚探偵 日暮旅人』 第6話  所感

2017年03月06日 21時53分14秒 | Weblog
(※以下、ネタ暴露注意!!)


所感である。


予想、お約束を裏切る脚本の巧さがとても際立っている。
間食課長が旅人と鉢合わせし早々に 「自白」 してしまうのが 「量産型」 なお話作りではない。
間食課長は20年前「下っ端」だったと言うが文脈を見るとその時警察官だったか否かも定かでない。

今話で脚本家が伝えたかった事は二通りに解釈出来る。
旅人と雪路の 「絆」 が壊れていく過程と、しかし決して壊したくない両者をかなり激しい芝居で見せて


「人の絆なんて、所詮脆いもんだ」
「人の絆ってのはそんなにヤワなもんじゃないさ」


と相矛盾した二つある真実を丁寧に伝えてくれている。
これには雪路の演技の貢献が大きい。 寒空の下で金髪にべっとりの血と吐血、旅人への「恩」。
しかしそれが全部旅人の復讐の為仕組まれた計画だったら、なお 「そんなら俺は協力するって!」 と
怒鳴る雪路の表情は損得や恨みつらみを超えた絆の何たるかを伝えていた。
雪路に全て真相を知られたと気付き警察病院のベッドで号泣する旅人は誰よりも人間臭く見えた。


次回予告と宣伝を見ると本シリーズは1クール丸ごとでなくこの段階でもう終盤のようだが、思い切って
「成功しなかった復讐劇」 という日本のドラマ史上異例の結末も十分やれるのではないだろうか、と。