所感である。
旅人、雪路、亀吉、灯衣、陽子先生と物語の経糸となる人物全てがここで秘密を共有する。
こうなった原因の、最大の敵を倒すのに向けて少年漫画の王道の「最後の決戦」に向けての如くだ。
そうあっても
「もうそんな復讐みたいなのどうだっていいじゃないですか!」
「復讐みたいじゃなくて、復讐なんです」
旅人と陽子先生のこのたった一言のやりとりだけで旅人の20年が何であったかが解る。
5、60代になってからの20年ではない。5歳から25歳までの20年全てを復讐の為だけに費やしたのだ。
実に平成一桁からの失われた20年か四半世紀がそのまま旅人の憎悪の一生に重なるかのようだ。
特に本シリーズの世界観に在って旅人の温和な父親ぶりとオネェ言葉やくざのリッチーのコミカルさが
全体としての整合性を欠く設定にも見えるがこれは「すいかに塩」と同じでダークな匂いを強調する上で
計算されての事と考える。 ただ激情し、粗暴に振舞うより凄味がある。
次回9話で最終回だが、設定の消化不良他云々は決して言わない。愛と憎しみはただ美しいのだ。