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[ゲノム編集] 食生活について語ろう

2020年01月27日 | 美容ダイエット

・ゲノム編集と遺伝子組み換えGenome editing and genetic recombination げのむへんしゅうといでんしくみかえ

 私たち人間を含む地球上の生命は、自分の遺伝情報を、細胞の核となるDNA(:Deoxyribonucleic acid:デオキシリボ核酸)のかたちで保存しています。1996年頃の20世紀後半の遺伝子工学の発展進歩により、DNAを操作することで害虫や除草剤に耐性を持つ遺伝子組換え作物、細菌や培養細胞中で人間のホルモン製剤などの作成がなされてきました。

しかし従来の遺伝子組み換え技術では、目的とする遺伝子を挿入することはできても、特定の位置を狙うことはできず、思い通りの操作をすることは困難でした。

2009年頃より始まったゲノム編集技術により、DNAの二本鎖を、ある狙った配列のところで切断することが可能になったのです。
 2012年には、CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン:Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats/Cas9)という、ゲノム編集の中核技術の一つでDNAの任意の塩基配列を認識し、必要部分の切断・置換・結合を行うのです。標的の塩基配列に導き、特異的に結合する原形質のRNA(Ribonucleic acidリボ核酸)をもつCRISPR(クリスパー)と、特定の塩基配列でDNAを切断する制限酵素CAS9(キャスナイン)からなるたんぱく質複合体を用いています。部位特異的DNAを切断する酵素ヌクレアーゼNucleaseを開発し、標的遺伝子 に様々なタイプの改変を加えることが可能となりました。この技術はゲノム編集Genome editingと呼ばれ、これまで標的とする遺伝子の改変が困難であった培養細胞や生物において遺伝子改変が次々と成功し、ライフサイエンスの食料生産、医療、創薬などに革新的な展開をもたらし、次世代のバイオテクノロジーとして世界中で大きく注目しています。

ゲノム編集Genome editingは「狙って」変異を入れることができます。ほぼ確実に、ピンポイントで狙うことができ、遺伝子組み換えにはできない技術です。もとは原核生物がもつ獲得免疫機構であり、2012年頃から、高精度かつ簡便な遺伝子改変を可能とし、DNA配列のどんな場所でも簡単に狙って切れます。

古くより知られる品種改良では、10年からの時間がかかりました。また突然変異を待つ必要があり、望んだ品種が現れるとは限らないのです。

一方遺伝子組み換えでは、従来の品種改良のように交配を繰り返すのではなく、特定の遺伝子のみを組み込む技術です。その植物にとって類縁関係ではない遺伝子を組み込むことができ自然界では発生しないことを実現させることがあります。

ある生物がもつ全ての遺伝情報を、その生物のゲノムGenomeと言います。近年、さまざまな生物のゲノム情報を明らかにし、その情報から、重要な遺伝子の特定や遺伝子の働きなどが分かっています。狙った遺伝子だけを正確に人工ヌクレアーゼのDNA切断システムを利用し、突然変異を待つのではなく、変異を起こさせ、編集ができます。

 

細胞内のDNAは、自然に存在する放射線や化学物質、またDNAの複製においても切断されることが知られています。DNAが切断されたままだと、遺伝子が分断された状態になってしまいますが、細胞内ではDNAが切断されると速やかに修復されることも分かっています。分断しても高い確率で元通りになるのですが、時に修復エラーが起きます。疾患の原因になる可能性もある修復エラーが、これが品種改良などの原動力となっています。

この特性を活かしたゲノム編集の技術には、DNA切断後の過程によって3つのパターンに分けられます。

SDN(Site-Directed nuclease:部位特異的DNA切断酵素)-1:人工的に切断された部位が自然に修復する他に、欠失の一部の塩基がとれる、挿入の塩基が新たに加わる、置換で別の塩基と入れ替わるのいずれかが発生します。

SDN-2は、人工的に切断された部位が自然に修復する他に、細胞外で欠失、挿入、置換の変異が施された「DNA断片」を導入します。

SDN-3は導入がDNA断片ではなく、加工の遺伝子等となりSDN-2によく似ています。SDN-3は、従来の遺伝子組み換えの技術に該当する技術とも言えるでしょう。

新たな機能、例えば同種の交配で得られないような特徴を与えたい場合などには、他生物の遺伝子を導入しゲノムに組み込む必要があります。

今注目のゲノム編集の技術、新たな機能を加えるのではなく、ある機能を損失させるだけなのであれば、SDN-1のパターンで十分と言えます。ゲノム編集で、短期間で品種改良が可能・人や環境への悪影響が少なくて変異をコントロールできます。1〜2年で有用な品種をつくりだすことができるでしょう。

日本では、2018年7月に環境省が「ゲノム編集による品種改良」について検討を開始し(案)としてSDN-2、SDN-3の技術は遺伝子組換え生物等に該当するとしています。「カルタヘナ法Cartagena method ・law (遺伝子組換え生物等等LMO: Living Modified Organismの規制法)」という遺伝子組換え技術を規制する法律と照らし合わせ出した案です。SDN-1のような「切断のみで導入していない」場合においては「遺伝子組換え生物等」には該当しないとしています。

 

欧州司法裁では、ゲノム編集作物にもGMO(Genetically modified organism遺伝子組換え作物)規制適用と判断しています。

アメリカではゲノム編集作物開発を手がけるカリクストCalyxt社が、大豆油を消費者の健康を目的とし2019・2月より販売しています。さらにより白いままのマッシュルームを、デンプンの組成を改変したワキシーコーンを2021年までに販売予定と公表しています。

ゲノム編集を活用により今後の人口増加によって考えられる食糧需要を満たすことができるかもしれません。良い面、悪い面が議論され続けているゲノム編集技術に、注目です。

 

日本の内閣府で主導する農業のスマート化(省力化・高生産化)、農林水産物の高付加価値化を目指すものとして研究開発を行なっています。2009年に日本の森林総研によって、栽培きのことしては初めてゲノムを解読しています。ギャバを多く含み甘く長く保存可能なトマト、切っても涙の出ないタマネギ、毒素低減のジャガイモ、多収イネは、どれもゲノム編集技術を用いて品種改良を進めている作物の一例です。養殖中の衝突死を防ぐ、おとなしいマグロ、筋肉量を増やした肉厚のマダイ・フグ、アレルギー抑制対策卵をと開発が進んでいます。

簡単かつ高効率に遺伝子を改変し、そこで発表から2年後に実践をはじめて、2016年に初代の肉厚マダイが生まれ、2年かけて成魚にしました。トラフグはタイと違って、食欲を抑える遺伝子を欠損させ通常は1年で600gほどの体重が、1kgを超えています。

マッシュルーム以外は、日本で開発が進んでいるものです。

USDA(United States Department of Agriculture:米国農務省)は2018年12月に食品事業者に対し、2022年までに遺伝子組み換え表示を義務化する方針を明らかにしています。ゲノム編集作物は表示対象には含まれていないようです。

この点に関しては専門家などから規制強化を求める声も出ていますが、一方ではゲノム編集作物の開発は着実に進んでいるのです。

その技術の適用の是非、ガイドラインの作成、ガイドライン遵守のためのシステム形成などの検討や議論など、科学者と各国政府の連携した取り組みが不可欠です。また生命倫理にも大きく関わる技術であり、一般市民を含めたさまざまなステイクホルダーStakeholder(利害関係者)との対話なども通して、研究開発を進めていく必要があると考えます。

 

 ゲノムの切断を人為的に行うための技術CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン:Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats/Cas9)の登場以降数年で、新たな動植物の育種への応用だけでなくデュシュエンヌ型筋ジストロフィー、網膜色素変性症を、現段階ではマウスやラットを用いた研究ですが、ゲノム編集によって症状を軽快させることに成功したとの報告もあります。新しい医薬品開発や治療技術への影響も期待が高まります。

 

 

 ご愛読戴きましてありがとうございます。よりよい情報をお届けしてまいります。

 

(2020,1,27初版 2020年2月23日更新)

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