「心の滝」
心から滝が
流れることがある
どうしても どうしても
心の背中から
流れ出てしまう滝
水は 溢れて 地に流れる
地は水を受け止めて
地の中深くへ 仕舞う
心から見えないくらい
地の底に仕舞う
水は地の底でゆっくり眠る
「心の滝」
心から滝が
流れることがある
どうしても どうしても
心の背中から
流れ出てしまう滝
水は 溢れて 地に流れる
地は水を受け止めて
地の中深くへ 仕舞う
心から見えないくらい
地の底に仕舞う
水は地の底でゆっくり眠る
「松の木は曲がる」
松の木は曲がり伸びて
横に伸び また横に伸び
君は曲がり また
ゆっくり生きるんだね
君の陰は歳重ねる度に
大きく広くなるんだね
その下で その陰で
いろんな者たちが暮らせた
強い日射しを和らげてくれる
夏の暑い今日も命くれる
お陰とはこの曲がりくねる松
この松の木のお陰なんだ
「入道雲」
夏の雲 は 入道雲
次々と青い空に
その体 首 頭を
空の上 上へ 上へと
ぐんぐん伸ばして行く
夏の暑気にひとり勝ち誇り
一気にその体を大きくする
本当に君は強いね
君だけかもしれない
こんなにも強い君
夏は君のものだよ
思い切りその雄大な姿
見せておくれ
君の姿は暑い思い出だな
「夏の背中」
夏が背中を見せたんだ
力強い夏の熱風が
ふと 彼の背中から
休みにも似た冷めた空気が
風に混ざり 我が手に 頬に
あたる あたる
ああ 夏よ お前の強さも
少し弱ったな 気を緩めたな
僕は 少し 寂しいよ
あれだけ燃え盛っていた夏よ
僕は 少し 寂しいよ
白き水平線の先には
空があるだけに思う
しかし その実を見た者
また無限の旅をする者
皆 そこに明日の己を
見るだろう
自分というこの瞬間の身
そして水平線にある己
このふたつは互いに
清き志のもとに
共に進んで行く姿
この美に勝るものはない