「火星」
ちょっと空を見上げて見たんだ
赤黄に瞬いて
光輝く火星が浮いていた
その星は僕を誘った
今なら こんなに低くいるよ
ほら 背伸びしたら
捕まえられるよ
そうだね 僕はそっと聞いた
君はなぜ赤いんだ？
星はもう何も答えてくれなかった
ただただ 瞬きをしているだけ
美しく美しく夜空の黒に映えている
それが答えなのだね
「いなびかり」
僕はずっと稲光のことを
いねびかりだと思っていた
水田の稲が雷で
光るからだと思っていた
水田に光るいねびかり
一瞬 真昼のような光が
遠くに見えて消えた
ああ 収穫は近いのだろうか
天空の神様が空から
少し何か味付けをして
くれたようにも見えたんだ
