観劇三昧:坂口修一『ミッド・ナイト・エクスプレス第10話「押し工養成装置」』
2017/8/10
田々南徹が、阪急電鉄の専務取締役から才能を見出され、「押し」の特訓を受ける話。
作中時間よりさらに昔の思い出話をする中川専務。登場人物が増え、さらに描かれる時間軸も増え、世界が広がっている。
かつてプラットホームスタッフは「押し工」と呼ばれる職人だったらしい。
大きな倉庫に連れてこられた田々南は列車を模したシュミレーション装置に迎えられる。
各列車には、乗車率ごとに「疾風」「雷電」「月光」などと名前がついている。
乗車率ごとならダミー人形の数だけ調整すればいいような気もするけど、列車をレベルごとに用意してしまう非効率さが、かえって本物っぽくてよい。
ドアに刃物がついていて、「訓練で腕や指を失うようでは押し工は務まらない」という鬼のような中川専務の言葉。
押し工とは言え、どこにでもいる普通の高校生から、主人公という特殊な存在になる橋渡し回なのかもしれない。