戦下のレシピ――太平洋戦争下の食を知る (岩波現代文庫) | |
クリエーター情報なし | |
岩波書店 |
2018/10/19
太平洋戦争前後の庶民の食生活を、主に婦人雑誌の情報を中心にまとめた本。
今では悪法と言われる治安維持法の制定が1925年、国家総動員法が1937年。
この頃だと、庶民レベルではのんきなもので、せいぜい各種「節米法」でがんばろうというという掛け声くらい。
そのうち戦局が悪化、生活物資はほとんど配給制になるし、隣組の制度もできる。
末期になると米の配給も滞って小麦粉とも魚粉とも違う謎の粉が配給される状況でも、すっかり受け入れる以外の選択肢がなくなっている。
このくらいゆっくり悪化していると、当時の人もたぶん気付けない。気付いた人がいても影響力を持つには至らない。難しい。
「なんでも磨り潰してみる」という栄養的にはアリだけど、食文化的にはダメな工夫。
戦後になって、戦中は扱わなかった虫、蛇、蝸牛といったいわゆるゲテモノのレシピをのせている。
終戦直後の食糧不足も、終戦という言葉自体が不適切なくらい、エゲつない感じだったことも抑えておきたい。