遠藤雷太のうろうろブログ

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ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』

2024-08-26 23:46:45 | 演劇を見てきた

2014/8/21

・サハリンにある、かつて劇作家チェーホフが訪れた家を中心に、1890年から1980年代頃に至るまでの間に起きた出来事を四幕に分けて見せていく話。

・戯曲は北海道戯曲賞の大賞作品。

・縁あってご招待いただく。上演直前で指定席だと気付いてあわててしまう。申し訳ない。

・大きく分けて4幕。1890年、1945年8月、1945年12月 1980年代および戦中の回想。

・ある地域の長期間の歴史を追うにあたって、単に網羅的ではなく、どのポイントをどう区切ってどのくらい膨らませるのかという加減はとても難しい。

・チェーホフ本人は一幕に出てくるだけ。

・それでも本作では、チェーホフが著書を通して時代を超えた登場人物たちにほんの少し影響を与え続けている、としている。ほんの少しだけど、大事な何か。

・こういうところは、戯曲に限らず、表現の根本的な意義なんだと思う。

・北海道文化財団発行の「北のとびら」などによると、チェーホフのルポタージュ「サハリン島」を起点に作られたそうだ。

・学校で習うような歴史だと、サハリン(樺太)は、ロシアか日本の領土という認識になるけど、少数民族の存在もあって実際にはそんなに単純ではない。

・地図でしか知らなかったような場所が、そこで生活していく人々を通して、だんだん色が付き、細分化し、立体化、多層化していく様子が楽しい。

・同じ演者さんが、単純に別の役だったり、同じ人でも年を重ねて見た目が変化しているだけだったり、別人でも血縁者だったりで混乱してしまい、終演後のパンフのお世話になる。

・以前映像で見ていたという油断があったかも。

・本来なら地理的に近い北海道の作家が書くべき題材のような気はするけど、逆に考えると、北海道の作家も他の文化圏を題材に挑戦してもよいのかもと思えてくる。

・自分にしか書けない作品というと、自分の出生や生活環境から題材を採るように考えがちだけど、人類が積み重ねてきた各種のアーカイブを信じるやり方もある。

・作品の題材選択から構成や表現の仕方まで、学びの多い作品だった。

(8/24 13:00 札幌市民交流プラザ クリエイティブスタジオ)


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