2024/3/6
・トルコの辺境の村をめぐって「リア王」の上演を続けるおばちゃんたちを撮影したドキュメンタリー。
・リア王なのに結構ゆるい雰囲気。そんなところでセリフの練習をやってるんだというところから始まる。
・見た目も言動もおばちゃんとしか言いようがなく、舞台にあがると豹変するという感じでもない。
・反面、演劇を上演するまでがとにかくハード。
・整備されていない片側崖の山道を延々と移動していたり、遊牧民の小さな集落を訪ねたり。
・現地に到着すると、出演者たちが街を歩いて住民とコミュニケーションをとる。
・宣伝には違いないんだけど、「よかったら遊びに来て楽しいよ」くらい感じで押しつけがましさがない。
・おばちゃんという属性に意味付けし過ぎるのはよくないけど、これがおじさんだったり、テレビタレントや芸術家っぽかったりすると全く違う雰囲気になるはず。
・お客さんはもちろん出演者すら現地調達している。
・演劇よりも道の舗装を優先するべきだというおじさん村人に、その場で王の娘役をオファーして、そのまんま不満を言わせようとしているところは笑った。
・行き当たりばったりとも言えるし、ものすごく高度な運営とも言える。
・いちおう演劇にかかわっているので、自分たちと全く違うところと全く同じところがあって面白い。
・歴史ある場所ならではの遺跡みたいな石のステージ、山の斜面一面が灰色の土か石の住居になっているような村。たぶん地中海だろうけど、美しい海辺。遊牧民。
・バックステージで「そろそろ衣装に着替えるか」と話しているのはよく聞くし、終演後、みんなで会場の椅子を片付けている時のものさびしさにも覚えがある。
・なんでリア王なんだろうと思っていたけど、親子の愛とそのわずらわしさは、かなり普遍性の高いテーマなんだと気付いた。
・演劇はこんな遠いところにもつながるのかと、素直に「演劇ってすげえ」と言いたくなる映像だった。
・見せていないところも多いんだろうけど、いつまでもこの感じで演劇を続けてほしいと思える、愛すべき人たちだった。
(アジアンドキュメンタリーズ )
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