2018/9/17
・第63回全国高等演劇大会最優秀賞の作品。映像を見つけたので見てみる。
・野球部の試合に嫌々駆けつけた演劇部の二人が、わからないなりに元野球部や元学年トップの優等生と応援しているうちに、ある事件で負った自分たちの心の傷が回復していく話。
・ただただ野球部を応援しているだけの四人の会話が抜群におもしろい。
・笑わせ方が屈託なくて軽い。マックのポテト食うようにひょいひょい笑いを取っている。
・サウナのくだりうまい。
・会話の情報量のバランスも絶妙。言葉の隙間をうまく感情で埋めている。
・元野球部員の男子の、体育会系をこじらせすぎて女子と全然会話ができない感じ。会話苦手なのに会話しなきゃいけない人の演技をやりきっている。
・出来事だけ抜き出すとそこまで大したことは起きてないのに、当事者感が強くて空気が緩まない。高校生の強みをうまく役に活かしている。
・圧倒的な会話力を軸に、ずっと後ろで流れているブラバンの演奏がいい仕事をしている。ここぞというところで、ちゃんと『Runner』が始まる確信犯ぶり。
・定番だからこそ持っている曲の強さを、上手に作品の熱に変換している。
・様式美としての目線演技。
・本来の主役である野球部員に感化されたというより、彼らを触媒として各々が内面を見つめなおすきっかけにしている。
・一歩間違うと、単に高校野球見て感動した人に見えてしまうところ、ギリギリで踏ん張っている。
・せっかく各々の温度差あるんだから、もう一山あってもよかった。でも、あんまり派手なことはやらない方針だったのかも。実際、それもこの作品にはあっている。
・漢前なプロポーズの言葉を、あっさりスルーされる演劇部の作演出女子。
・この女子が、かわいらしく見えたり、かっこよく見えたり、不細工に見えたり、万華鏡のようにころころ印象が変わる。
・何かと文句を言われやすい印象の審査員だけど、この片隅にいる地味な四人を最優秀賞に選んだのはよくぞと思った。
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