2024/12/20
30分程度の短編演劇と幕間のショート映像。
長谷川恒希『市長選』
・市長選にジャンボタニシ撲滅を公約として立候補した根本氏の妻が、田んぼで実際にジャンボタニシを駆除しつつ、自ら演説したり夫のフォローをしたりする話。
・ジャンボタニシの語感はファニーだけど、外来種の問題はわりと深刻なので茶化しにくい話題だったりする。
・撲滅への抵抗感に対しては外来種を駆除しないと在来種に悪影響が出る話をしてほしいなとか、現職がその公約をもらっちゃえば根本氏の票も取り込めるなとか、ワンイシューで戦うなら市長よりも市議会議員がいいのではとか、わりとまじめに考えてしまう。
星くずロンリネス『ポーキーズポーキーズ』
・ある男が、同棲中の彼女の出張をきっかけに、パチスロ形式で自身の残念な秘密が明らかになっていく話…でいいんだろうか。
・基礎知識がないので、海物語や鉄の球くらいはわかるけど、他の文脈がどう取り込まれているのかわからず。
・コンカフェとか地面師のパチスロとかあるのかな。
・テトリスをやりすぎた人は現実の街並みが全てブロックに見えてくるとか、将棋のプロ棋士が森羅万象を将棋に例えるとか、その系列の話として理解したつもりになる。
・地面師は見てないけど、たぶん櫻井くんの役は完成度高いんだろうなと思う。
野村大『バンクノートキャロル』
・新紙幣のデザイン案から北里柴三郎が抜け出てしまい、マスコミに発表するまでに中に戻らなければいけなくなる話。
・今回も幕があがって5秒の佇まいで、もう余計なこと考えなくていいんだという安心感を得る。
・メガネやスマホを受け取るときの一人芝居ならではの仕草。自然すぎて違和感を持つヒマもなかった。
・演技の本質とは少し違うんだろうけど、こういう工夫を見ると得した気持ちになる。最後の演出も不思議で楽しい。
・形式的にやりがちな一人二役の必然性もあるし、キーワード(新紙幣発行)からコンセプト(紙幣から北里が抜け出す)、コンセプトを補強する落語や金言の引用、そしてテーマ(名もなき天才職人の葛藤とその克服)につなげる手際の良さ。
・「2024年の出来事」というお題をきちんとテーマまで昇華させている。
・野村大さんの一人芝居は長らく見ているので、今になって一番好きだと思える作品に出くわすとは思わなかった。びっくり。
※幕間のショート映像で、ものすごい勢いでクイズの回答を間違えまくる黒瀬咲希さんがおもしろかった。あの勢いはうらやましい。
(12/20 19:00 演劇専用小劇場BLOCH)
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