良寛異聞 (河出文庫) | |
クリエーター情報なし | |
河出書房新社 |
2011/8/9
「登場人物がなぜ声を発するのか」というのは一人芝居における重要な問題のひとつ。
『売り言葉』の主人公が話す理由は<狂気>なんだけど、今回は<演技>。
観客である良寛にむけて弥々の娘が、母の一生を演じる。形式的には劇中劇になるので、その理屈付けが必要になる。つまり、母親の弥々と、その娘の関係を描かなければいけない。
母は入水した。その直前に、死んでしまった(らしい)最愛の人から「彼女にとって最も嬉しい歌」を受け取った。
勝手な解釈だけど、弥々の娘は、母に未来の自分の姿を重ねているはず。
きっと弥々の娘は、断片的な事実を自分なりに解釈して再構成して演じた。
最後に良寛に対して、その答えあわせを迫っている。
母親である弥々は、彼女にとって、とても不思議で興味深い存在だったんだと思う。
その意味で、彼女は演者でありながら、同時に観客を代表した存在でもある。
なんか深いぞ。
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