即興組合「シアタースポーツ」、全日程が無事終わりました。
あらためてお越しいただいた皆様、ありがとうございました。
宣伝の意味はなくなりましたが、3日目だけ感想を書かないのも変なので簡単に振り返ります。
まずは24日14時の回。
「ザリガニ」を遠藤雷太賞(=タイトル賞)に選びました。
基本となる話を作りジャンルを変えて2回繰り返す形式。あとからテクニカルジャッジの山田ともるさんから「ホラー」である以上、バッドエンドにするべき(助かったと思ったらお母さんの手が鋏状になっている、とか)というもっともな指摘があったのですが、インプローネ(チーム名)の直前の作品「レモン」「パラダイス」にいずれも4点をつけていたこともあり、あわせ技で最高得点の5点を出しました。「アメリカンコメディ」のほうもアメリカのB級映画にありそうな雑な展開が好ましかったですし、重要な小道具「酒」の使いまわし方も、うまくはまっていたと思います。
また、「パラダイス」は、夢落ち後のもう一ひねりが、人間の闇を感じさせる話でした。サポートに入ったおん選手の人魚(魚の種類はムツゴロウだと思う)の甲高い鳴き声の不穏さや、語り手役のさとしん選手の重厚な語り口も冴え、作品単体で見ると一番クオリティが高い話だったかもしれません。夢に出そう。
そして、オーラスは24日17時の回。
この回はわりとオーソドックスなお題が多かったと思います。定番が悪いわけではないのですが、タイトル賞を選ぶという観点からはちょっと困りました。
結果、選んだのは「おまえ、悪魔かよ」というセリフ。
次々と切り替わるBGMの雰囲気に合わせて無声劇で演じる形式。本公演中何度か採用された形式ですが、途中必ず「いま自分はいったい何を見ているんだろう?」と困惑する時間帯があり、相当難易度の高い形式なんだと思います。ランダムにBGMが流すか、サイレントかどちらかに絞ったほうが見やすいのかもしれません。
いかにも広がりそうなお題だったという理由で選びましたが、結果どこまで期待に応えられたかはちょっと疑問です。
そして、なぜかこのお題を提示したお客様がいらっしゃらなかったため、次点に「ゆず」を選びました。ゆずも柑橘類のなかでは意外性のある選択で、市場に行きたくないと駄々をこねるゆずの「ゆずこ」がかわいらしいお話でした。
比較的きれいにまとまった作品のなかで、印象に残る単語ということで選びました。
かわいらしいといえば、お題が二単語の組み合わせだったため選べませんでしたが、「うさぎ」「旅行」の話はよかったと思います。スローモーションの制約があるのに、起こった事件が「エコノミー症候群」という全く動いていない人がなる症状というのが意外すぎました。
つれづれに書きましたが、感想は以上です。
あれだけ数をこなせば、凡作、珍作もそれなりにあったと思いますが、インプロの魅力は台本劇では見られない「奇跡の瞬間」が味わえることだと思っています。
スポーツ観戦のように、いつどのタイミングで見られるかはわからない、だからこそ味わえる興奮があります。
実際、上でも触れたインプローネによる後半の畳み掛けは、奇跡に近づいた瞬間でした(前半ひどかったからなおさら)。
あと、個人的には賞を提供するのに、役割がヒールということで、地味に役作りに苦労しました。
一度、ジャッジ紹介のときのブーイング中、お客様から「かわいそう~」と声がかかったのは、お気遣いに感謝するとともに、心配されているようじゃいかんなと気合を入れ直しました。
また機会がありましたら、もう少しうまいこと役作りして臨みたいと思います。
皆さまも是非またお付き合いください。あらためてありがとうございました。
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