テクマクマヤコンの鏡

カレイの背中に風船で飛ばした１４年前の手紙が引っ付いているのが見つかった。もしそのカレイが
捕獲されなかったら手紙の発見は１０年以上遅れて、当時少女だった女性はおばさんになっていたかもしれない。
浜にシロナガスクジラが打ち上げられた。クジラは解剖された。すると体内から石板が見つかった。両手で
抱えられるくらいの石板には何かの文字が書かれており、その後世界中は大騒ぎとなった。
なんとモーゼの十戒だった。
深海で日がな一日アンコウのヒカルちゃんは鏡に映る自分の顔を提灯から発するかよわい光で眺めていた。
鏡に映る姿はタコになったり鮫になったりと何にでも姿を変えられた。その鏡は秘密のアッコちゃんの
テクマクマヤコンの鏡だった。ある日ヒカルちゃんは時々やってくる黒い大きな金属の物体にテクマクマヤコンと
変身した。黒い物体は猛烈な速さで海底を縦横無尽に進むことができて、ヒカルちゃんに驚異を与えていた
天敵も逃げていった。こりゃいいヒカルちゃんは調子に乗って太平洋、大西洋あらゆる海を回遊した。
ベーリング海峡をさまよっているとき、ヒカルちゃんに向かってくる魚雷に気づいた。ヒカルちゃんは
大急ぎで逃げ回ったが魚雷はしつこくヒカルちゃんを追いかけ回してくるので困り果てテクマクマヤコンと
元のアンコウに戻った。魚雷はめざしていた目標を失い一番近くにいた本物の潜水艦を攻撃して爆破させてしまった。
地上では謎の潜水艦の出没に震撼していたのだ。
深海でヒカルちゃんはもう二度と鏡をみることはなかった。カレイの背中にくっつけたのだった。
横浜そごう６階ジャパンショップに常設、おひな様満載