バーニーズ物語☆エリン舎

バーニーズブリーダーとして、今年の8月で27年。
健康でバランスのとれたバーニーズを世の中に

12月2日(金)

2005年12月02日 23時46分29秒 | 日々のわんこ

東名の集中工事が行われているため夜中の3時に出て、麻布大学に向かった。
1頭が『股関節形成不全の疑い』と言われ、股関節形成不全の権威である陰山先生に詳細を調べてもらうためだ。ポプラの紅葉が美しい動物病院に7:30には到着した。まだ誰もいなかったが、気持ちよく清掃された受付でいつもどおり初診申し込みを書いていると9:00から予約制で診察が行われるのにいろいろな犬種を連れた人々が集まってきた。あっという間にソファはいっぱいになった。玄関の外にある庭で待つことにした。そこにも10名位の人たちが自分の犬を遊ばせている。
気さくな先生方は、順番が来ると外にまで呼びに来てくれる。そのまま外で診察をしてくれる場合もある。他の獣医大学には行ったことがないが、いつも先生方の気さくで丁寧に説明してくれる真摯な接し方には、頭の下がる想いをする。

 仔犬をお渡ししたときは、正常に思えたが1度目の里帰りで後足が外反し始めていたので、いつも行っている病院に診察してもらったが、『異常なし』と言われた。1歳6ヶ月を過ぎて後足をかばうようになり、膝を曲げて歩くことをしなくなって再度同じ病院に行くと股関節形成不全の疑いと言われた。

 9:00になると診察室で検査の内容を説明された。今までの経過を簡単に伝え、この子にできる限りのことをしてあげたいという思いと股関節形成不全の今後の経過を聞きたい旨を伝えた。
 検査が終わって1時間経つと再び診察室に呼ばれた。
陰山先生はレントゲン写真を見てすぐに「この子は先天性ではありません。その原因を考えましょう。」と言われた。遺伝性(先天性)70%、後天性30%と言われていることは知っていたが、レントゲンを見ただけで先天性ではないとわかるのはなぜだろうと思っていると先生は察して「片側にゆるみがありますが、もう片方は正常な股関節です。先天性の場合は両方の股関節に異常の度合いが違っても緩みは出ますが、この子の場合は、片方にしか出ていません。それも緩みは軽度です。たぶん足をかばい始めたのは1歳過ぎと思われます。」と言われた。それから体重の増減、生活環境を聞かれた。実際にいっしょに過ごしていないためわかることしか答えることができない。飼い主さんといっしょに来ればよかったと後悔した。
1歳までのボディコンディショニングスコアが4以上(体重過剰)であると外反が起こりやすいと説明された。後足が狭まっている外反は、股関節とは関係なく、体重過剰が原因で、生後6ヶ月未満であれば完治すると説明された。
今後は体重をあと4~5kg落とし、後足の筋肉強化するために水温18度以上で水泳を週3回し、散歩は強制的に歩かせるので中止し、自由になるべく外で遊ばせるという指導があった。ビデオで外反の状態を撮影し、次回の診察の時に比較すると言う。外反がよくなれば股関節の緩みも良くなると言われた。彼の前手は開いている。スイスでバーニーズの肘が形成不全を起こしている割合は60%と言われているが、彼の場合は両手とも全く正常だった。それも前に体重を掛けているためといわれ、後足外反を治すと開きも治ると言われる。一箇所悪くなるとどこにでも影響する恐ろしさを思った。

先天性股関節形成不全の子を世の中になるべく出さないようにするため親、兄弟の検査をしている子のみをなるべく交配しているが、先生の話によると全員調べて全ての子が正常であっても突然形成不全が出る割合は10%もあると言う。
「遺伝のことばかりが話題になるが、検査を完璧に行っても10%も出てしまうのが事実で、バーニーズを飼う人はある程度の覚悟と体重管理が必要。1歳未満の子を大きくしたいと願い食べさせるのは、大きさは持って生まれた遺伝子で決まっているので、無駄になるし、今回のように悪影響する。しかし体重過剰に神経質になり、ボディコンディショニングスコアが1(体重不足、削痩)になると正常に成長せず、内臓、骨、ホルモンに影響すると言う話を今後飼う方には伝えるべきだ。」と言われた。
理想な体型は、腰の括れが上から見てわずかにあり、肋骨や背骨を首から両手で触っていくとわずかに溝がわかる状態であると言われている。(ボディコンディショニングスコア3)

それから肘や股関節異常を見つける簡易な検査方法を教えてもらった。
23日の集まりには皆さんに申し伝えようと思う。

この子には、最大限のことをしてあげて、彼の外反を治し、体重が増えても大丈夫なようにし、次回の診察では先生を驚かせようと心に誓った。