白熱したケンカの原因は、パンを厚切りにするべきか、それとも薄切りにするべきかについての論争でした。
ダイアナとスティーブはお互いに信仰や生活スタイル、観念が異なるため、ケンカはますますエスカレートしました。彼らは互いに攻撃しあい、荒っぽい言葉も口から飛び出して、二人とも顔面蒼白になりました。
ダイアナは6カ月の娘を夫の手元に残し、2階へ上がっていきました。10分ほど経ち、娘の泣く声が聞こえきたので下へ降りてきたダイアナの目に映ったのは、夫の息苦しそうな光景でした。このようなことは過去にもありました。スティーブは、「119に電話してくれ、私はもうだめだ…」と彼女に頼んできましたが、ダイアナはあまり気にかけていませんでした。電話をかけた後でも、心の中では先ほどのケンカの場面を思い浮かべ、今度反論したらきっと彼の言い分がなくなる、と彼女は考えたりしていました。
しかし、救急車で運ばれて1時間も経たないうちに、スティーブは心臓病発作で亡くなりました。彼はひと言も残さずに、この世を去りました。彼が厚く切ったパンは、そのままテーブルに残っていました。
ダイアナはうつ病を治療するために、私の診療所に来ました。雨の降る日で、彼女はとても気を落としていました。
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