フィリピンは親米路線に転換し、中国による電力支配の軛(くびき)から脱しようとしている。写真はフィリピン中部にある変電所 (Photo by TED ALJIBE/AFP via Getty Images)
フィリピンの送電システムは中国人が遠隔操作しているという。これに対し同国野党は「中国はボタン一つでフィリピンの経済活動を麻痺することが出来る」との懸念を示している。
- 米国がフィリピンに原発を供与
16日、米国とフィリピンは原子力協定に署名した。米国が原発技術をフィリピンに供与し2032年までにフィリピンで原子力発電所が稼働される。署名式にはAPEC首脳会議出席のため訪米したマルコス大統領も立ち会った。
1980年代、父フェルディナンド・マルコスが大統領の時にフィリピンは原発がほぼ完成していたが、アキノ革命でマルコス政権は崩壊し、原発が稼働することはなかった。いわば父の無念の思いを息子であるボンボン・マルコス現大統領が晴らす形となった。
しかもより重要なのは、米国が技術を供与する点だ。父マルコスは、親米派として独裁政権を維持したが、最期は米国に見捨てられる形で、亡命を余儀なくされた。1990年代には駐留米軍を追い出し、中国に接近。こうして米比関係は最悪の状態になった。
その後のアロヨ政権、アキノ政権は、対米関係の修復に努めたが、ドゥテルテ前政権は再び反米親中路線を採った。この経緯から見れば、ここで米国が原発の供与を決めたのは、米比関係が完全に修復した証(あかし)といってもいい。
更に言えば米国はフィリピンを父マルコス政権以来、三十数年ぶりに同盟国として認めたのである。
- フィリピンの電力事情
- 中国の支配工作
- したたかなマルコス大統領
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