散歩路地《サンポロジー》      毎日が発見! 身近な自然が見えてくる!


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散歩道に秋の気配 僕の気持ちはクラフトの気配!

2013-09-12 | ネイチャークラフト
ここ2回ほど、散歩中のチョウの調査のデータの取り方を変えた。今年の成果から、来年は、もう少し精度を上げた調査をしようという気になってきている。そのため、若干散歩時間が延びてしまっている。さらに、ドングリが落ち始めたため、その成り具合を確認したり、ネイチャークラフト用に、拾い集めるため、さらに時間がかかる。以前は2時間から2時間半で回っていたのだが、ここ2回は3時間を回ってしまった。この先どうなることやら…。

さて、今日は講師をしている葛西の専門学校の近くの緑地で、昼休みの間にマテバジイのドングリを拾ってきた。一昨日は、カワセミを見た散歩の最後に、砧公園で拾った。そして先週末は、土曜日に杉並区の善福寺川緑地、日曜日に品川区のなぎさの森でやはりマテバジイのドングリを拾った。


たくさん落ち始めたマテバジイのドングリ 2013-09-10 世田谷区砧公園

マテバジイは、僕が作るネイチャークラフトの最も大事な素材のひとつだ。殻がしっかりしていて割れにくく、虫も入ることがほとんどない。さらに、サイズが大きくスタイルが良い。これに匹敵するドングリは見当たらない。

 
ネイチャークラフト どんぐりマウス(左)とどんぐりカブト 5月17日の写真を再掲載 

善福寺川緑地は、近くの高校の文化祭で、ネイチャークラフトの体験コーナーを担当することになったため、その下見で行ってきた。僕は、ネイチャークラフトの講習などをやる時は、極力近所で採集した素材を使うようにしている。何から何まで僕がどこかから持ってきたものでは、参加する側も、意識が変わってしまうと考えるからだ。
ところが、「素材は、すぐ近くの○○公園で拾ったんです。ほら、これがその時の写真ですよ、たくさんおちてるでしょ!」などと言って見せてあげると、参加者とネイチャク―クラフトの距離はグーンと縮まる。そして、「それなら、今度自分で拾って、またやってみようかな…。」などと思ってもらえるのではないかと期待しているのだ。

 
マテバジイ 2013-09-07 杉並区善福寺川緑地

今日は、夕食の直前に、今週末のクラフトの準備を始めた。ドングリに穴をあけるピンバイス、カッターナイフ、材料に使う、ドングリやマツボックリ、そして、木製クリップや紐など、様々な道具や材料を確認した。


テーブルの上に並べられたクラフトの道具など

「今年も楽しいネイチャークラフトの時期が来たな。」道具を揃えているうちにワクワクしてきた。

興味のある方は、ぜひ参加ください。
講習会などの情報も、このブログでお知らせします。




液晶ファインダーに浮かんだカワセミ

2013-09-10 | 僕の散歩道
9月10日。一週間ぶりの散歩に出た。本当は、昨日行きたかったのだが、仕事の都合が付かず、今日になった。
ちょっと曇り気味だし、気温も低い。チョウを観察するには、今ひとつの状況だ。

チョウを探しつつ歩いていたのだが、丸子川で思わぬ出会いがあった。
カワセミだ。


カワセミ 2013-09-10 世田谷

カワセミは、僕の散歩道で時々見かけるのだが、警戒心が強く、たいがいの場合あまり近くで見ることはできない。
しかし、今日はかなり近くで見ることに成功した。デジタルカメラならではの方法で…。

カワセミを発見したあたりは、川岸が、高さ1m以上、幅50㎝程あるコンクリートの堤防になっているところだ。そのため、堤防の上にのしかかるようにしなければ、川底が見えない。特に川の真ん中より手前側は、全く見えない。たまたま、対岸側に2頭のカルガモが居たので、目を向けた直後のことだ。少し先の水面に波紋ができた。「手前側に、何かいる」と思った僕は、堤防の上にのしかかり、そっと覗きこんでみた。
予想通り、水面から突き出た杭の上にカワセミの背中が見えた。


カワセミの居た場所。中央の杭にカワセミが止まっている。 2013-09-10 世田谷

僕は急いで顔を引っ込めた。ラッキーなことに、反対側を向いていたカワセミは僕に気付かなかったようだ。
僕は、自分の姿が見えぬよう、カメラだけを差し出し、横から液晶画面を見て、カメラの位置を動かした。鳥は、人間、特に目が見えなければ、それほど警戒しない。横から見てカメラの向きを操作するのは大変だったが、数秒の後、液晶画面には、見事なカワセミの姿が浮かび上がった。

 
カワセミ 小魚を捕まえた(左)と飛沫を払った直後 2013-09-10 世田谷

僕は、カメラの位置を少しずつ移動させ、しばらく観察をさせたもらった。
途中で3回ダイビングをして、小魚を捕まえた。くちばしに挟まれた魚はどれも小さく、おそらくカワムツの仔魚だろう。
何時までも見ていたい気もしたのだが、15分ほどで、チョウの調査に復帰することにした。
少し行ったところで振り返ると、すぐ脇にいたカルガモが「もう撮影は済んだのか~」とでも言うように、僕を見つめていた。


僕とカワセミを見守っていてくれたカルガモ 2013-09-10 世田谷

ヤマハギを訪れた虫たち キチョウの産卵

2013-09-06 | 僕の散歩道
9月6日。ドングリの成り具合を確認に行く。
クラフトでよく使うマテバシイは、小ぶりのものが落ち始めていた。来週には、大きなものも落ちるだろう。ついでに、最近見かけるようになった、ムラサキツバメの繁殖状況を確認することにした。マテバジイの孫生え(ヒコバエ)を見て回ると、卵や幼虫がたくさん見られる樹が何本か見つかった。「いったい何時生んでいるのだろう? 成虫はなかなか見つからないのに。今度、この樹の前で、粘ってみないといけないな…。」

帰りがけに、ヤマハギの周りを飛び回るチョウが目に入った。

 
ヤマハギ 2013-09-06 世田谷

ルリシジミが産卵に来ているのかと思ったが、近づいてみると、ヤマトシジミが吸蜜しているところだった。
さらに周りを見ると、キチョウが飛び回り、アオドウガネが花を食べていた。

 
吸蜜するヤマトシジミ(左)と花を食うアオドウガネ 2013-09-06 世田谷

キチョウは、新枝の周りを細かく飛んでいるので、おそらく産卵だろうと当りを付けた。予想は的中、若い葉の上に止まると、産卵を始めた。

 
キチョウの産卵 2013-09-06 世田谷


ヤマハギの葉に産み付けられたキチョウ卵 2013-09-06 世田谷

周囲の葉には、すでに産み付けられた卵が複数見られる。これから約一カ月で幼虫、蛹と成長し、出てきた成虫は来春に命を繋ぐべく越冬に入るはずだ。
たくましい命のリレーを、時々覗かせてもらうことにしよう。

タコの葉細工とトビウオ桟橋  小笠原レポート 最終回

2013-09-03 | その他探訪記
夏の小笠原探訪。最後の話しをしよう。

小笠原土産で、僕のお気に入りは3つある。
①小笠原産のフルーツや野菜。
②わしっこの魚
③タコの葉細工

フルーツや野菜はすぐにわかると思う。特にバナナとシカク豆はお薦めだ。
バナナは、小ぶりのいわゆるモンキーバナナだ。甘いだけではなく、さわやかな酸味があり、何とも美味しい。そのほか、パッションフルーツやマンゴーも良いのだが、最近の世界遺産ブームのせいか、あまりにも値段が高騰してしまい、僕には手が出せなくなってしまった。

それからシカクマメ。これは、10cmほどのフリルのついた莢ができる豆で、その断面が、長方形に近いため付いた名前らしい。癖がなく、煮ても、茹でても、何と一緒に調理しても美味しく食べられる。その種も売っているので、買って帰り、我が家の庭に植えてみた。6株植えたら、夏の間は、2日に1回ボール一杯取れ、ほぼ毎日食べられた。

  庭で育ったシカクマメ(左)2011-09-17 と 収穫した莢 2011-10-01 共に庭(世田谷) 

ただ、9月の半ばになると、目ざとくウラナミシジミが現れて、せっせと卵を産んでくれる。ウラナミシジミは、日本の南岸に多く、小笠原にもいる。世田谷あたりでは、9月の中頃になるといくらか見られるが、それほど多くはない。それが、シカク豆を植えたら、毎日、何頭も居座って、せっせと卵を生んでくれる。卵はつぼみや若い莢に生むため、9月の終わりには、食べるのをあきらめた。あとはウラナミシジミに提供しよう。

   ウラナミシジミ(左)、産み付けられた卵(中)、幼虫が食い進んだ穴(右)2011-10-01 庭(世田谷)

わしっことは、和紙で作られた魚のことだ。これは型打ち落雁(砂糖菓子:これがわからないか?)のように、木型にちぎった和紙を詰めて形を作り、それに彩色して作ったものだ。
始めて見たものは、剥製かと思ったほど精巧なものだった。大変気にいって、行くたびに1匹ずつ買って帰り、今では10匹ほどが居る。


我が家の壁に泳ぐわしっこの魚たち(左)とユウゼン(右) 

最後は、タコの葉細工。
これは、タコノキという小笠原固有の植物の葉で作られた細工のことだ。美しく、強度が高いため、極めて実用的だ。

 
タコノキ 気根が幾本も下がる 2003-08-00 母島   タコノキの実 2010-10-17 母島

父島に棲む友人が、タコの葉細工の体験講座があるとおしえてくれたので、ビジターセンターに見学に行ってみた。
その日作っていたのは、ブレスレット。会場には、タコの葉細工のできるまでの行程を紹介したパネルや、実際の作品が並べられていた。指導も丁寧で、参加者はとても楽しそうだった。

 
体験講習会で展示されていたタコの葉細工と展示パネル(タコの葉細工研究会作成)

体験講習会の後、講師を務めていた友人と共にトビウオ桟橋へ向かった。そこにシロワニがきているというのだ。
シロワニとは、オオワニザメ科に属する大型のサメで、小笠原近海には多いらしい。これが、湾内に入ってきていて、夜間照明に照らされるトビウオ桟橋に現れるというのだ。

行ってみると、10人ほどの人がそれぞれに腰を据えていた。
「イヤー。シロワニ見たら帰ろうと思っていたんだけど、今日はまだ出ていないな~」などと言葉少なに話す。決して井戸端会議の会場になっているのではない。それぞれが、一日を振り返っているかのように、水面を静かに眺めているのだ。新たな傍観者が来ると、ちょっと挨拶を交わし、また、それぞれの時間に入る。
子どもたちもいた。小学校の中学年と思われる3人が、「今日はシロワニ来ないね~」と素朴な笑みを湛えている。時計を見ると8時半。都会の多くの子供たちはテレビを見たり、ゲーム機で遊んでいたりするのだろうなと思った。

 
昼間のトビウオ桟橋(手前) 2013-08-21 父島    ハリセンボン 2013-08-19 父島

なんとも良い時間…。

大人も、子供も、シロワニを通して、自分の心を見つめているように思えた。
母島でも、似たような経験がある。観光客のあまり来ない、夕日がきれいに見えるポイントへ連れて行ってもらった。そこへ着くと、既に来ていた村人に、「こんにちは」、「今日は雲が少しかかってるな」などと挨拶を交わし、その後はそれぞれの静かな時間に入るのだ。
夕日など、もう何回も見たはずなのに…。それでも、何度も足を運ぶ。まるで、夕日に透かして、自分を見つめているかのようだった。

結局その日、シロワニは現れなかった。僕は友人と共に、ふっと無重力的に浮かぶハリセンボンと、スクリンセイバーのように刻々と姿を変える小魚の群れを見ながら、ゆったりとした一時を過ごした。

都会生活者には想像できない時間が、そこにはあった。

ツバメとシジミ 続き

2013-09-01 | 僕の散歩道
昨日の続き。
昨日は、ツバメだけで終わってしまった。今日は、シジミと両者の比較を書きたい。
もうおわかりだろうが、ここで言っている、ツバメシジミは、いずれもチョウのことで、それぞれ、ムラサキツバメと、ムラサキシジミのことを指す。

 
ムラサキツバメ 2013-08-30 世田谷         ムラサキシジミ 2009-09-10 品川

写真を見てわかるように、良く似た翅形をしているが、ムラサキツバメには、明確な尾状突起がある点で区別は容易だ。また、サイズもムラサキツバメの方が一回り半くらい大きい。こう書くと、「大きさは比べてみないと分からない」といわれそうだ。まさにその通りで、僕も最初はそう思った。しかし、経験を重ねると、これも鍛えられるようだ。

話しは横道にそれるが、先日の小笠原で、僕は初めてアオウミガメの卵を見た。卵といっても、クマネズミに掘り返され食われてしまった殻なのだが、それを見て、「アカウミガメより二回りぐらい大きい」と思った。後で調べてみると、アカウミガメは40mm弱に対しアオウミガメは45~47mmほどということで、僕の印象は間違えなかったようだ。アカウミガメの産卵は、20年ほど前に一度見ただけだが、この印象はかなり正確に僕の体に染込んでいたようだ。

話を戻そう。
側面(裏面)は、どちらのチョウも茶色で地味だが、内側(表面)は、8月28日「秋の兆し。チョウの季節からドングリの季節へ。」に掲載したように、美しい紫色(ルリ色)に輝く――残念ながら、ムラサキツバメの美しい写真はまだ撮れていない。ちなみに、この2枚の写真の色の差は、あまり気にしないでもらいた。チョウの個体により色の濃淡ものもあるし、撮影した時の光条件でも印象はかなり変わる。

8月30日の散歩では、ムラサキシジミの産卵を見た。散歩道の途中で、年に数回は目にする光景だ。
たいがいの図鑑では、「アラカシで繁殖」、「アラカシを好み…」といった記載がされているが、僕が散歩道上で確認したのは、すべてシラカシ。ここら辺には、シラカシが圧倒的に多いのも事実だが、以前、ムラサキシジミの繁殖状況を調べてみようと思い、アラカシ見て回ったことがあるが、結局、卵や幼虫は発見できなかった。結論を出すには時期尚早だが、この地域においては、ムラサキシジミの繁殖はシラカシでなされているように思われる。


ムラサキシジミの産卵 2012-07-04 世田谷
 
 
ムラサキシジミ シラカシの葉裏の卵(左:中央の白い点)とそのアップ 2012-07-04 世田谷


ムラサキシジミが産卵したシラカシ(実生)2012-07-04 世田谷

昆虫少年だった僕の幼小期の記憶に、この2種のチョウはない。
東京近郊でムラサキシジミを始めて見たのは1980年のことだ。その後、多摩丘陵では、何度も見ていたが、世田谷区内で見たのは、1990年以降のことだ。
僕の関心が低かったこともあるだろうが、様々な資料を見ても、都市部での記録は、1990年代から増えていると見られる。
ムラサキツバメに至っては、昨日のブログに書いた2009年晩秋が初めての観察であった。
ここ10年ほどの温暖傾向が要因の一つにあるのは否定しないが、それ以上に、意識しているいないに関わらず、何らかの形で、人の手によって移動させられたというのも大きな要因だろう。

都市部の緑の多くは、公園など人の手によってつくられ、管理された自然である。そこに棲む多くの生き物は、人の手の加わり具合によって、栄枯盛衰が左右される。ビオトープや生物多様性などの言葉が流行ってはいるが、まだまだ表面的で、多くが、本来の意味からは程遠い状況だ。見た目の美しさだけではなく、こういった生き物たちの視点に立った、計画や管理がなされることが望まれる。

その一翼を担う業務を生業にしている自分に対し、自戒の念も込めて!!