昨日、3週間ぶりに、散歩に出た。
小笠原に2週間。帰って来てからも、天気が悪い日が続き、たまに晴れたときは、逆に仕事の都合が付かず、気が付くとこんなに間が空いてしまった。
久しぶりの散歩道は、かなり様相を変えていた。さらに気温も下がり、これではチョウもかなり姿を消しただろうと思ったのだが…。
最初のポイントにしている公園に足を踏み入れると、パンジーがずらりと植えつけられ。チョウが所せましと舞っていた。
新たな花が植え付けられた公園 2013-10-30 世田谷
パンジーで吸蜜するヒメアカタテハ(左)とウラナミシジミ 2013-10-30 世田谷
ここで確認できたチョウは8種で、小笠原に出かける前と変わらない。しかも個体数もほとんど変わっていない印象だ。
数を減らしているだろうと予測していたため、これにはちょっと驚いた。
次のポイントへ向かう。しばらく住宅地の中を抜け、大きな樹林地脇へさしかかる。さすがに樹林地内や林縁部では、チョウの数はぐっと減っていた。チョウの季節の終わりは、樹林地から始まるということだろう。そんな中で、木々の梢には、越冬をまじかに控えたウラギンシジミの白い姿が、かなり目立っていた。
結局、確認したチョウの種数は15種だった。小笠原へ行く前は、20種ほどだったので、落ち込みは予想したよりは小さい。ただし、この間に明らかな変化があった。それは、
①アゲハチョウ類がまったく見られなくなった。
②ヒカゲチョウ類がほとんどいなくなった。
の2点だ。
これとは反対の意味で驚いたことがある。それは、まだゴマダラチョウがいたことだ。それもルート内の2地点で確認できた。さらに言うなら、そのうちの1地点は、まだ樹液が出ていたのだ。10月の上旬ならば、間違えなく確認できる。しかし、11月間近のこの時期に見られるとは思わなかった。
もうひとつ面白いことが分かった。いたるところで、草刈りがされ、道端の雑草などが無くなっていたのだが、わずかに残ったセイタカアワダチソウが虫だらけだったことだ。
セイタカアワダチソウで吸蜜するベニシジミ 2013-10-30 世田谷
セイタカアワダチソウに群がる虫(ハラナガツチバチの一種、ハエの一種など)2013-10-30 世田谷
セイタカアワダチソウは、大きな河川敷、山中の荒れ地などにはよく見かけるが、都会では、そのような放置された荒れ地が少なく、あまり見られない。それが、道脇にわずか3本ほどしかないのに、たくさんの虫が集まっているのだ。
仙川沿いに、茎が3本だけ立っている所と、2m×3mほどの手入れの悪い民地の2カ所。ここで、ベニシジミ、チャバネセセリ、キマダラセセリ(この時期居ることが不思議だが)、モンシロチョウ、の4種が確認できたのだ。
この区間は、見通しは効くが、まとまった緑は無く、散歩ルート全区間の中で、最も出現種数が少ない区間のひとつだ。9,10月期の平均出現種数は、4種ほど。それが今回は、セイタカアワダチソウのおかげか、8種を記録してしまった。
チョウの季節の終わりの兆候をしっかりととらえたかったのだが、長期の出張と、次々と日本を襲う台風の影響で、調査が進まず、逃した感が拭えない。
いずれ今年の総括を出そうと思っているが、最後に、今年の感想の一部を紹介したい。
その1 年に数回しか行われないチョウのルートセンサスは、ほとんど意味をなさない。
最近は、客観的=数量化という図式がやや誤った成長を遂げ、どのようなジャンルにおいても、報告書に、もっともらしい数値データを乗せたがる傾向がある。僕は、生物のデータ、特に昆虫類のような小型の生物のデータは、現段階では、定量的な調査に向かないと考えている。今回、そのあたりも考慮して、いろいろとデータを取ってみたが、チョウの出現傾向は、あまりにも偶然的な要素が大きく、年数回程度のデータでは、あまり物が言えないと感じている。ましてや、面積当たりの数量などといったデータで、他所と比較するなどほとんど無謀だと言えるだろう。
その2 都会の生物相を豊かにするには、ビオトープはいらない。
ビオトープ作りを否定しようというのではない。都会の緑地は、人間による管理が、チョウ達に相当強いインパクトを与える。これをしっかりとコントロールするることで、生物相は飛躍的に向上すると確信した。特に、草刈りの程度やタイミングは、相当大きな影響を与える。このあたりを理解した管理ができれば、少なくとも、目にする蝶たちの種数も個体数も飛躍的に増えるであろう。ビオトープ作りに金をかけるよりも、適切な管理をすることの方が効果が大きいと判断できる。
今後、細かなデータを分析し、これらの主張を補強してみたい。意見のある方は是非ご指摘いただきたい。
小笠原に2週間。帰って来てからも、天気が悪い日が続き、たまに晴れたときは、逆に仕事の都合が付かず、気が付くとこんなに間が空いてしまった。
久しぶりの散歩道は、かなり様相を変えていた。さらに気温も下がり、これではチョウもかなり姿を消しただろうと思ったのだが…。
最初のポイントにしている公園に足を踏み入れると、パンジーがずらりと植えつけられ。チョウが所せましと舞っていた。
新たな花が植え付けられた公園 2013-10-30 世田谷
パンジーで吸蜜するヒメアカタテハ(左)とウラナミシジミ 2013-10-30 世田谷
ここで確認できたチョウは8種で、小笠原に出かける前と変わらない。しかも個体数もほとんど変わっていない印象だ。
数を減らしているだろうと予測していたため、これにはちょっと驚いた。
次のポイントへ向かう。しばらく住宅地の中を抜け、大きな樹林地脇へさしかかる。さすがに樹林地内や林縁部では、チョウの数はぐっと減っていた。チョウの季節の終わりは、樹林地から始まるということだろう。そんな中で、木々の梢には、越冬をまじかに控えたウラギンシジミの白い姿が、かなり目立っていた。
結局、確認したチョウの種数は15種だった。小笠原へ行く前は、20種ほどだったので、落ち込みは予想したよりは小さい。ただし、この間に明らかな変化があった。それは、
①アゲハチョウ類がまったく見られなくなった。
②ヒカゲチョウ類がほとんどいなくなった。
の2点だ。
これとは反対の意味で驚いたことがある。それは、まだゴマダラチョウがいたことだ。それもルート内の2地点で確認できた。さらに言うなら、そのうちの1地点は、まだ樹液が出ていたのだ。10月の上旬ならば、間違えなく確認できる。しかし、11月間近のこの時期に見られるとは思わなかった。
もうひとつ面白いことが分かった。いたるところで、草刈りがされ、道端の雑草などが無くなっていたのだが、わずかに残ったセイタカアワダチソウが虫だらけだったことだ。
セイタカアワダチソウで吸蜜するベニシジミ 2013-10-30 世田谷
セイタカアワダチソウに群がる虫(ハラナガツチバチの一種、ハエの一種など)2013-10-30 世田谷
セイタカアワダチソウは、大きな河川敷、山中の荒れ地などにはよく見かけるが、都会では、そのような放置された荒れ地が少なく、あまり見られない。それが、道脇にわずか3本ほどしかないのに、たくさんの虫が集まっているのだ。
仙川沿いに、茎が3本だけ立っている所と、2m×3mほどの手入れの悪い民地の2カ所。ここで、ベニシジミ、チャバネセセリ、キマダラセセリ(この時期居ることが不思議だが)、モンシロチョウ、の4種が確認できたのだ。
この区間は、見通しは効くが、まとまった緑は無く、散歩ルート全区間の中で、最も出現種数が少ない区間のひとつだ。9,10月期の平均出現種数は、4種ほど。それが今回は、セイタカアワダチソウのおかげか、8種を記録してしまった。
チョウの季節の終わりの兆候をしっかりととらえたかったのだが、長期の出張と、次々と日本を襲う台風の影響で、調査が進まず、逃した感が拭えない。
いずれ今年の総括を出そうと思っているが、最後に、今年の感想の一部を紹介したい。
その1 年に数回しか行われないチョウのルートセンサスは、ほとんど意味をなさない。
最近は、客観的=数量化という図式がやや誤った成長を遂げ、どのようなジャンルにおいても、報告書に、もっともらしい数値データを乗せたがる傾向がある。僕は、生物のデータ、特に昆虫類のような小型の生物のデータは、現段階では、定量的な調査に向かないと考えている。今回、そのあたりも考慮して、いろいろとデータを取ってみたが、チョウの出現傾向は、あまりにも偶然的な要素が大きく、年数回程度のデータでは、あまり物が言えないと感じている。ましてや、面積当たりの数量などといったデータで、他所と比較するなどほとんど無謀だと言えるだろう。
その2 都会の生物相を豊かにするには、ビオトープはいらない。
ビオトープ作りを否定しようというのではない。都会の緑地は、人間による管理が、チョウ達に相当強いインパクトを与える。これをしっかりとコントロールするることで、生物相は飛躍的に向上すると確信した。特に、草刈りの程度やタイミングは、相当大きな影響を与える。このあたりを理解した管理ができれば、少なくとも、目にする蝶たちの種数も個体数も飛躍的に増えるであろう。ビオトープ作りに金をかけるよりも、適切な管理をすることの方が効果が大きいと判断できる。
今後、細かなデータを分析し、これらの主張を補強してみたい。意見のある方は是非ご指摘いただきたい。