散歩路地《サンポロジー》      毎日が発見! 身近な自然が見えてくる!


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ビオトープなんていらない。パンジーとセイタカアワダチソウ。

2013-10-31 | 僕の散歩道
昨日、3週間ぶりに、散歩に出た。
小笠原に2週間。帰って来てからも、天気が悪い日が続き、たまに晴れたときは、逆に仕事の都合が付かず、気が付くとこんなに間が空いてしまった。
久しぶりの散歩道は、かなり様相を変えていた。さらに気温も下がり、これではチョウもかなり姿を消しただろうと思ったのだが…。
最初のポイントにしている公園に足を踏み入れると、パンジーがずらりと植えつけられ。チョウが所せましと舞っていた。


新たな花が植え付けられた公園 2013-10-30 世田谷

 
パンジーで吸蜜するヒメアカタテハ(左)とウラナミシジミ 2013-10-30 世田谷

ここで確認できたチョウは8種で、小笠原に出かける前と変わらない。しかも個体数もほとんど変わっていない印象だ。
数を減らしているだろうと予測していたため、これにはちょっと驚いた。

次のポイントへ向かう。しばらく住宅地の中を抜け、大きな樹林地脇へさしかかる。さすがに樹林地内や林縁部では、チョウの数はぐっと減っていた。チョウの季節の終わりは、樹林地から始まるということだろう。そんな中で、木々の梢には、越冬をまじかに控えたウラギンシジミの白い姿が、かなり目立っていた。

結局、確認したチョウの種数は15種だった。小笠原へ行く前は、20種ほどだったので、落ち込みは予想したよりは小さい。ただし、この間に明らかな変化があった。それは、
 ①アゲハチョウ類がまったく見られなくなった。
 ②ヒカゲチョウ類がほとんどいなくなった。
の2点だ。

これとは反対の意味で驚いたことがある。それは、まだゴマダラチョウがいたことだ。それもルート内の2地点で確認できた。さらに言うなら、そのうちの1地点は、まだ樹液が出ていたのだ。10月の上旬ならば、間違えなく確認できる。しかし、11月間近のこの時期に見られるとは思わなかった。

もうひとつ面白いことが分かった。いたるところで、草刈りがされ、道端の雑草などが無くなっていたのだが、わずかに残ったセイタカアワダチソウが虫だらけだったことだ。


セイタカアワダチソウで吸蜜するベニシジミ 2013-10-30 世田谷

 
セイタカアワダチソウに群がる虫(ハラナガツチバチの一種、ハエの一種など)2013-10-30 世田谷

セイタカアワダチソウは、大きな河川敷、山中の荒れ地などにはよく見かけるが、都会では、そのような放置された荒れ地が少なく、あまり見られない。それが、道脇にわずか3本ほどしかないのに、たくさんの虫が集まっているのだ。
仙川沿いに、茎が3本だけ立っている所と、2m×3mほどの手入れの悪い民地の2カ所。ここで、ベニシジミ、チャバネセセリ、キマダラセセリ(この時期居ることが不思議だが)、モンシロチョウ、の4種が確認できたのだ。
この区間は、見通しは効くが、まとまった緑は無く、散歩ルート全区間の中で、最も出現種数が少ない区間のひとつだ。9,10月期の平均出現種数は、4種ほど。それが今回は、セイタカアワダチソウのおかげか、8種を記録してしまった。

チョウの季節の終わりの兆候をしっかりととらえたかったのだが、長期の出張と、次々と日本を襲う台風の影響で、調査が進まず、逃した感が拭えない。
いずれ今年の総括を出そうと思っているが、最後に、今年の感想の一部を紹介したい。

その1 年に数回しか行われないチョウのルートセンサスは、ほとんど意味をなさない。
最近は、客観的=数量化という図式がやや誤った成長を遂げ、どのようなジャンルにおいても、報告書に、もっともらしい数値データを乗せたがる傾向がある。僕は、生物のデータ、特に昆虫類のような小型の生物のデータは、現段階では、定量的な調査に向かないと考えている。今回、そのあたりも考慮して、いろいろとデータを取ってみたが、チョウの出現傾向は、あまりにも偶然的な要素が大きく、年数回程度のデータでは、あまり物が言えないと感じている。ましてや、面積当たりの数量などといったデータで、他所と比較するなどほとんど無謀だと言えるだろう。

その2 都会の生物相を豊かにするには、ビオトープはいらない。
ビオトープ作りを否定しようというのではない。都会の緑地は、人間による管理が、チョウ達に相当強いインパクトを与える。これをしっかりとコントロールするることで、生物相は飛躍的に向上すると確信した。特に、草刈りの程度やタイミングは、相当大きな影響を与える。このあたりを理解した管理ができれば、少なくとも、目にする蝶たちの種数も個体数も飛躍的に増えるであろう。ビオトープ作りに金をかけるよりも、適切な管理をすることの方が効果が大きいと判断できる。

今後、細かなデータを分析し、これらの主張を補強してみたい。意見のある方は是非ご指摘いただきたい。






心温まる時間。 ネイチャークラフト作品展初日

2013-10-28 | ネイチャークラフト


『ほら。こっちにたくさんいるから見てごらん!』
「あ、ほんとだ。クワガタもいる。すげー」
作品展での、子供たちとの一幕だ。

昨日、木場公園での作品展が始まった。
最終決定が、小笠原出張の直前だったため、十分な準備ができなかった――言いわけ…。
それでも、多くの方に見ていただき感謝!

予想はしていたものの、「ちょっと考えねば…。」と思ったことがある。
作品が目立たないのだ。まず、
①作品が小さい。②全体的にアースカラーで色彩的に目を引きにくい。③展示スペースが、カウンターの一部なので、とっつきにくい。④照明が弱い。など、いくつも挙げられる。
実際に、来ていただいたお客さんは、


会場の建物 木場公園内、都市緑化植物園《木場ミドリアム》の外観


建物の入り口、小さな立て看が出ているが、この効果がどれほどのものか…。


中へ入るが、どこに作品が? となってしまう。正面壁際のカウンター中央なのだ。


これが展示スペース 中央左の湾曲したガラスケースの中。なんとなく通り過ぎてしまう。
その右側にワークスペースを設け、特定の時間、作品作りをしながら客寄せ&解説。
それでも、目に付かず、冒頭のように、「こちらに、たくさん、作品を展示させていただいてます」というと、「おお、これは見事!」などと言ってもらえるというわけだ。


実際の作品を見てくれた人は、感心してくれるのだが、何も声をかけないと、作品があることに気が付かずに通り過ぎてしまう人が大半だ。もう少し目立つようにしたいのだが、どうしたらいいんでしょうねェ。

見ていってくれる人は様々だが、大半は親子連れ。やはり子供は正直で、実際に作品を持たせてやると、なかなか放してくれない。
お年を召した方は、「アラー、これいいわねー、売ってもらえるの。」 
『すみません、ここは公共の場ですので、販売はしてないんですよ。11月2日は作品作りの体験ができますから、ぜひご自分で作って、持って帰ってください』というパターンが多い。
最も人気があるのは、どんぐりマウスクリップタイプ(マグネット付き)。幅広い年齢層に人気あり。それから男の子は、何といってもどんぐりカブト。単独の女性客は、ドングリのシカや、ティーカップも人気だ。

ある孫を連れた男性の見学者は、「私が、子供のころは、ドングリのコマかヤジロベーだったけどね。最近は、トトロが人気だね。どこへ行ってもよく見る。でも、ドングリに絵を描いただけのものだけどね。それから、ライオンとか、馬とか…。これは、全然違うね。ドングリで、こんなものができちゃうんだね。見なおしたよ。」と、うれしい感想を頂いた。
最後に、孫に向かって「じぃじと一緒に、作りにこようね」と、11月2日に来たいと言い残してお帰りになった。
見学者の皆さんありがとう。心の温まる時間が過ごせました。









明日から、木場公園で、ネイチャークラフト展を実施します!

2013-10-26 | ネイチャークラフト
一週間ほどご無沙汰してしまった。
小笠原は天気が悪く、台風に追い立てられるように帰京した。その後は、小笠原に行っていて手を付けられなかった仕事が溜まり、その対応に追われていた。そして昨日、やっと一区切りできた。

今日は朝から、ネイチャークラフト三昧。実は、明日10月27日~11月2日まで、都立木場公園のミドリアムという施設の中で、小さな作品展をやらせてもらうことになっている。そのための最終準備で、今日は、これまでに作った作品の修理や、ディスプレイ用の材料などをそろえている。

というわけで、今日のログは、僕のネイチャークラフトの作業をレポートさせてもらう事にする。



これが僕のワークスペース。
何のことはない。ダイニングテーブルの上だ。ランチョンマットを脇へ押しやり、カッティングマットを敷き、道具や材料をバラバラ並べているだけだ。
ドングリのシカを修理している途中で、昼になり、そのまま作業を中断しランチにした後だ。
シカは、結構頑丈なのだが、耳に使っているガガイモの種に付いている翼が弱く、壊れやすい。現在は7頭いるのだが、そのうちの4頭の片耳がなかった。

 
シカの耳:ガガイモの種の翼               シカの後頭部 スダジイにガガイモの翼を付けた。

そうそう…。このガガイモの種の翼の在庫が少なくなってきている。どなたか見付けたら情報を寄せていただきた。シカをあと5頭ほど作りたいと思っているので…。



これは、どんぐりカブトの胴体に使うマテバシイの実(ドングリ)。マテバシイは、ドングリの帽子が取れてしまうので、うまく大きさの合う物を探して張り合わせる。これがないと、カブトムシらしくない。
しかし、マテバシイの帽子は、比較的浅いため、どうしてもバランスが悪い。そこで、比較的大きく、深さもあるミズナラの帽子を使うこともある。それなら全部ミズナラで、とは思うのだが、ミズナラのドングリは、皮が薄く、乾燥すると割れやすくなるため、どんぐりカブトには向かない。というわけで、どんぐりカブトは、マテバシイ+ミズナラのハイブリット型が最強というところだ。

最後に、今回のネイチャークラフト手点のポスターを乗せておこう。
ちなみに、僕は、実演展示などで以下の時間帯に会場に居る予定なので、もし、来場していただいた折には声をかけてもらいたい。




悪天候の母島。メグロ、ムニンシュスランそして誕生日。

2013-10-18 | その他探訪記
いきなり私事ですが、本日は僕の誕生日。
何回目かは、クイズにしておこう。少なくとも、前回の東京オリンピックを知っている世代なのだ。
さて、前回のログを、小笠原の父島で書いたが、その後13日に母島へ渡った。
宿の奥さんに、「雨を連れてきた」と言われたぐらい、今回は、天候に恵まれていない。それにしても、どうしてこんなに台風が続くのだろうか…。フィールドワーカーとしては、かなり辛いものがある。

雨にたたられた母島でのログの始まり。
雨でも仕事はしなくてはならない。急な斜面が多いところのため、かなり厳しい状況だ。
街中だけは晴れていても、山の中hガスに覆われ、まるでミストサウナの中にいるようになる。


母島沖村 人口500人弱。人家は港の周りにしかない。山を望むと上部はガスの中。

最初に紹介するのはメグロ。特別天然記念物で、世界中で母島とその属島である、向島、妹島の3島にしか生息がない。名前から、メジロと対比されるが、見た目はかなり異なる。

 
メグロ 2013-10-16 小笠原母島            メジロ 2013-10-16 小笠原母島

母島を歩いていて見かける鳥は、山の中では、この2種にオガサワラハシナガウグイスを加えた3種で8割以上を占める。さらにヒヨドリ、トラツグミ、海岸線や、街中、道路沿いでは、イソヒヨドリぐらいだろう。あとは、オガサワラノスリ、オガサワラカワラヒワ、アカガシラカラスバトをたまに見かける程度だ。これに、カツオドリやミズナギドリ類などの海鳥や渡りの途中のシギ・チドリ類などを加えても、30種はなかなか見られない。

昆虫は、ほとんどいない、以前はたくさんいたそうだが、グリーンアノールというトカゲ《イグアナの仲間》が入って以来、昆虫はほとんどいなくなってしまったのだ。小笠原で昆虫を調査していたある研究者は、「アノールが入って10年ほどの間に、昆虫は100:0になった」と言わせたほどだ。100:1ではなく0なのだ。つまり100分の1以下になってしまったということだ。
実際に、僕が今回こちらに来てから見た、ある程度のサイズのある昆虫は、アサギマダラ(チョウ)1頭、ウスバキトンボ(数回)、西洋ミツバチ(数頭)だけだ。

母島には、石門(せきもん)という地域があり、ウドノキ、シマホルトンキ、テリハハマボウ、アカテツなどの大木が林立する湿性高木林が成立する地区がある。東京都は、ここで、エコツーリズムを進めようとしている。
しかし、一般人が喜ぶような花は少なく、眺望の開ける場所もほとんどない。特に、今の時期に開花している花は少なく、ムニンシュスランの白い花くらいだろう。あとは、一般人からすると、ほとんど同じようにしか見えない常緑の広葉樹、各種のシダ植物などの緑色と、赤っぽい土と枯葉の色しか目につかない。固有種が多く、学術的には極めて貴重な場所ではあるが、一般の人に受ける観光対象とはなりにくい。

 
ムニンシュスラン 2013‐10‐17 小笠原母島     マルハチ(木性シダ)2013-10-17 小笠原母島

エコツーリズムを否定するつもりはない。しかし、ただ貴重な生物があると言うだけで、そこをコースにするというのには疑問を感じる。こういった場所は、学術研究林的な扱いで、年に何回か、研究者向けに開放するところだと思う。母島の中には、乳房山や、南崎のコースなど、一般の方に楽しんでいただける場所がまだまだ他にあるのだから…。

さらに考えさせられる話を聞いた。
石門地区は、調査・研究者や、外来種の駆除作業などで入る人を除くと、指定ガイドの同行無しで入ることはできない。それくらいルートが難しく、危険な場所も多いのだ。もし途中でけが人でも出たら、救急車はもちろん、担いで運びだすのも大変な道が続く。では空からヘリで対応と考えるが、これも、ヘリが着陸できる空間はなく、それどころか、ロープを下ろして釣りあげる空間さえ数えるほどしかないのだ。コースは、ほとんどジャングル状の樹林の中なのだ。

そこで、地元観光協会は、救急用品、水、雨具、保温シート、携帯トイレなどを入れた救急ボックスをコースの途中に設置した。使用した際には、中にあるチェックリストに記入し、下山後、速やかに観光協会に連絡するよう指示書きがしてある。だが、何の連絡もなく、雨具は持ち去られ、水は消費されているという。地元ガイドが、当番をきめて、点検・補給をしているのだが、もし、あるはずのものが無く、猶予の無い緊急状況が発生したら…。
犯人探しはしていないようだが、このような状況が続くのであるのなら、それなりの対処が必要なのではないだろうか。

 
石門の途中に設置されている救急ボックス 2013-10-16 小笠原母島 

一般の人が入ることが難しい場所で起きている事実に、強い疑念と憤りを感じる。犯人よ、命や、場所を軽く見過ぎていないか!
ルールに則ッて…。いやいや、ルール以前の問題だ。分別ある人として、使った後にはきちんと連絡を入れる。あたりまえだと思うのだが…。

カメラの中に浮かんだ幻影 アオリイカ 小笠原レポートⅡ-①

2013-10-13 | フィールドノート(その他)
今僕は、父島に居る。
8月に続いて、今年2度目小笠原だ。
船で知り合った人に、「何回目ですか?」と聞かれ。数えてみたら、初めてきたときから今年で11年目。その間にで24回来ていると分かった。

夜、食事に出た時に、8月に果たせなかった、トビウオ桟橋のシロワにを見に行こうと思い立った。
昼間に聞いた話では、いまでも来ているということだった。
ナトリウムランプのオレンジ色に染まる桟橋へ着いてみると、見物客が一人もいない。


夜のトビウオ桟橋 2013-10-12 父島

ということは、シロワニはいないのか? それとも、もうさすがに見飽きたて、見物客がいなくなったのか? 後者であってくれと思いつつ、僕は海面を覗き込んだ。

残念ながら、シロワニはいなかった。見えるのは、暗い水面に浮かぶたくさんの水クラゲだった。
しかし、その中に、まるで輪郭だけで動いているように見る、小さなイカを見つけた。ストロボをはっこうさ撮影してみると…。


アオリイカ 2013-10-12 父島

地球上の生物は思えない姿と質感。
シロワニに会えなくても、十分に満足させてもらえる、夜の散歩だった。

チョウ、カワセミ、コガモ、そして樹液。 盛りだくさん。実はテーマなし。

2013-10-08 | 僕の散歩道
久しぶりの散歩。忙しいこともあるが、それ以上に、チョウのデータを取れる天気ではなかった。
実は、明後日~22日まで、小笠原に出張する。帰ってきてから重要な仕事があり、続けて26日~11月2日までは、木場公園でネイチャークラフトの作品展。11月3日は、町田市の野津田公園で開かれる、《丘の上の秋祭り》で、ネイチャークラフトのブースを持つことになっている。
というわけで、あまりゆっくりログを書いている時間がない。今日の散歩報告は、何のテーマもなく、目立ったものだけ紹介することにする。


ウラナミシジミ 2013-10-08 世田谷

とにかく目立った。日の当る花壇では、最も多かったかも。やはり、ここら辺では秋のチョウの指標的な存在だ。

 
アカボシゴマダラの産卵 2013-10-08 世田谷

いつも通っている道なのに、そこにエノキがあることを知らなかった。ネットフェンス越しに、このチョウが産卵しているのを見て初めて知った。

 
強い光を浴びたカワセミ 2013-10-08 世田谷

いつものカワセミだが、今日は光が強く、やけに輝いていた。逆に影になった部分は、全く光らない。フォルムが変わってしまったようだ。

 
風のいたずら ムラサキツバメ 2013-10-08 世田谷

ササの葉にとまったところを撮影した。ちょっと暗かったため、ストロボをたいて撮ったのだが、2枚目のシャッターを切った瞬間強い風が…。「振れた!」と思ったのだが、さすがストロボ、後で見てみると…。「どきっ」。振れていない。それどころか、チョウの翅が少しまくれ上がり、内側の光沢が見事に映し出されていた。


 
コガモの群れがやってきた 2013-10-08 世田谷 仙川

遠くからカモの群れが見えた。小さい。カルガモとは明らかに違う。ドキドキしながら近づいてみると、予想通りコガモだった。
今年の春から夏まで、翼を傷めて、一緒に北へ向かえなかった、「ひとりぼっちのコガモ」を消化したが、実は、8月4日を最後に姿を見ていない。戻ってきて、すぐに様子を見に来たのだろうか…。ひとりぼっちのコガモが、あと2カ月そのまま居続けてくれてたら…。と、考えてしまう。この10羽が、傷ついた仲間を置いて北へ向かった群れだとは言わないが、ついついそんな想像をしてしまう。


樹液に集まるオオスズメバチとルリタテハ 2013-10-08

最後は、この夏見続けてきた樹液。まだ出続けている。塞がりそうになるのを、オオスズメバチ達が咬み続け、樹液を無理やり絞り出しているかのようだ。あと何日もつのか。小笠原から帰っても、まだ出ているなんてことはないだろうけど…。

さて、次のログは、小笠原からになりそうだ!



 

小雨の中のピンオーク

2013-10-06 | ネイチャークラフト
数日前、知り合いに「駒澤公園にピンオークがありました」という情報をもらった。ピンオークというのは、北米原産のブナ科コナラ属の樹木で、いわゆるドングリの樹の一種だ。早速仕事帰りに探しに行ったのだが、その時は、時間が無く、発見できなかった。
今日は、小雨模様だが、仕事は午前中で終わったため、2度目のチャレンジに立ち寄った。とは言っても、今回は詳細な情報をもらっていたので、お目当ての樹はすぐに見つかった。あいにくの雨模様のため、ドングリは泥にまみれていたが、サンプルや、クラフトに十分使える程度に採集できた。

 
雨に打たれ泥まみれになったピンオークのドングリ 2013-10-05 駒澤公園


ピンオークの印象的な形の葉 2013-10-05 駒澤公園 

 
ピンオークのドングリ 自宅に持ち帰り泥を洗い流した 2013-10-05

僕の手元には、これまでに東京都内で採集したドングリがちょうど20種ある。今回のピンオークが21種類目ということになる。
日本産のドングリとは、趣の異なるこのドングリが、僕のクラフトに新しいアイデアを提供してくれそうな気がする。新作に乞うご期待!


東京都内で採集したドングリ リサイクルショップで300円で買ったアクセサリーケースがぴったり!


洋食?が好きなアゲハチョウ  

2013-10-04 | その他探訪記
昨日(10月3日)は、学生と共に、西葛西の緑道を歩いた。
テーマは秋の木の実。ドングリはもちろん、サンゴジュ、モッコク、ヒメリンゴ、ボケ、アカシデ、ユズリハなど、約20種ほどの木の実を採集した。あとで種子サンプルを作る予定だ。


モッコクの実 2013-10-03 西葛西

この途中で、ちょっとおもしろいものを発見。それは、花壇の一角に、ガーデンルーと言うハーブが植えられていた場所でのことだ。


ガーデンルーが植えられた花壇 2013-09-03 西葛西

ほんの1m四方程度のガーデンルーの植え込みに、アゲハチョウの幼虫がビッシリ。ちょっと見ただけでも、20頭程が数えられる。おそらく30頭以上はいるだろう。
ほんの数m先には、立派な夏ミカン(写真の区中央)があり、そちらを探してみると、ほとんどいない。さんざん探した末、やっと1頭見つけることができた。
チョウにあまり詳しくない人でも、アゲハチョウが、ミカンやサンショウなど、いわゆる柑橘系の葉を食草にしていることを聞いたことがあるのではないだろうか。アゲハチョウは、かなり都市化が進んだ場所でも見られ、小さな公園や、庭の片隅に生える、ミカンやサンショウなどで繁殖する、なじみの深いチョウだと思う。
それが、なんでハーブに…。


ハーブ(ガーデンルー)を食べるアゲハチョウの幼虫 2013-10-03 西葛西

「実は、僕もこの事実を、10年ほど前に初めて知った」僕は、学生に話し始めた。
たまたま実家のそばにある公園で、ハーブ類の植え付けをしたらしく、残った株を《ご自由にお持ちください》と書いた札と一緒に置かれていたのだ。ハーブなど育てたことはないのだが、軽い気持ちで、そこにあった3種類の株をもらって帰った。
早速リビングのすぐ外に植えたのだが…。その後すぐに異変が起こった。
例年だと、庭の奥のフェンス近くをよく通過するアゲハチョウが、リビングのすぐ前にやってくるのだ。不思議に思い覗き込むと、ハーブにとまったアゲハチョウが、産卵しているようなのだ。外へ出てみると、いくつもの卵が見つかった、さらに小さな幼虫も。大変なことが起こったと思った。
しかし、調べてみると…。
なるほど、ガーデンルーがミカン科の植物であることが分かったのだ。

 
ガーデンル 2013-10-03 西葛西            近くにあったナツミカン 2013-10-03 西葛西

柑橘系と言えば、丸っこい葉っぱの樹をイメージするが、こんなヒダヒダ、ヘラヘラの草のような植物(実は低木)ががミカン科とは。しかも、日本を代表する蝶の一種であるアゲハチョウがたべるとは。

学生と共に、幼虫を観察を始める。
次々と見つかる。そして蛹も。しかし、蛹は寄生蜂にやられ穴が開いていた。

いくつかの疑問が浮かんだ。

① 幼虫のサイズが小さい。
アゲハチョウの幼虫は、小さいうちは、黒っぽく、鳥の糞のような模様をしている、4回脱皮をしをした後に、緑色の幼虫の姿に変わる。昆虫の幼虫は、脱皮をするごとに令を重ね、最初が1令幼虫、次が2令と進み、アゲハチョウの場合、最後の脱皮で緑色の5令幼虫のなる。通常は、5令幼虫で50mmくらいになるが、ここに居るのは、どれも40㎜に満たない。それどころか30㎜にも満たない小さなものまでいる。

② アゲハチョウ(ナミアゲハ)とは異なる模様の幼虫が居る
後で調べた結果、模様、艶、臭角の色などから、ナガサキアゲハが混じっていると判断された。しかし、そのどちらとも異なる個体もいた。色彩は、オナガアゲハに似るが、決め手に欠ける。いまだに謎。

 
ナガサキアゲハの幼虫(3令ないし4例と思われる) 2013-10-03 西葛西

 
謎のアゲハ類幼虫(左)と、臭角を出したナガサキアゲハ幼虫 2013-10-03 西葛西

③ 寄生されている個体が多い。
蛹は寄生蜂が抜けた後のものだったが、幼中にも、明らかに寄生されたと思われるものが、多く見られた。今まさに、寄生蜂が産卵している最中という物も見られた。


寄生蜂に寄生(中央の黒い染み)されたナミアゲハ幼虫 2013-10-03 西葛西

 
寄生蜂(幼中の右) 2013-10-03 西葛西      寄生蜂の抜けた蛹 2013-10-03 西葛西 

①の大きさに関しては、
○在来のミカン類と比べ、ガーデンルーだと、植物の成分などで、やや小型化する。
○寄生率が高く、ほとんどの個体が寄生されており、その影響で大きくなれない。
○今年最後の発生で、気温が下降し始め成長が悪い。
などが考えられる。
よく考えると、今成長している幼虫は、蛹になり、そのまま冬を越し、来年春に発生することになる。1年に数回発生するタイプのチョウは、春に発生する春型と、夏型では、色彩や大きさにかなりの差がある。アゲハチョウの春型は、明るい色で、サイズは二回りほど小さい。
ということは、僕が知らなかっただけで、秋の幼虫は小型なのかもしれない。これについては、後で調べてみよう。

アゲハチョウという、日本在来のチョウが、突如入ってきた、ガーデンルーという洋物に強く惹かれている。このままでは、都会生活のアゲハチョウは次第に洋風化してしまうのだろうか。コメの消費が落ち、洋食化する日本人と同じではないか。
最近あまりコメを食べていない僕自身に対し、自戒の念を込めて、「在来種」を見なおさなければ…。


その17 秋の気配。 アカトンボ、黄金色の田んぼ、ヒガンバナ。そして案山子の盆踊り!

2013-10-02 | フィールドノート(多摩丘陵)
ムラサキツバメの騒動で、ブログにアップするのを後回しにしたが、9月28日は、久しぶりに多摩丘陵を訪れた。そろそろ秋の気配が感じられるはずだ。
最初の谷戸で、いきなりオオタカが現れた。今日はコンパクトカメラしかないので、とりあえずパチリ!


オオタカ。結構低い位置を旋回sてくれた 2013-09-28 多摩丘陵

まずは、久しぶりの訪問者に、挨拶と言うところか…。
僕の頭の中の秋の気配は、赤トンボ、野菊、木の実と言ったところだった。
予想通り、赤トンボが沢山いる。最も多いのはマユタテアカネ、その次が、ヒメアカネかアキアカネ、そしてナツアカネ。同行した、里山初心者の友人に、見分けるポイントなどを説明すると、「赤トンボってそんなに沢山いるんですか」と感心してくれた。

  マユタテアカネの連結(左)とヒメアカネ♂ 2013-09-28 多摩丘陵

その他には、シオカラトンボとオニヤンマが目立つ。オニヤンマが、ゆっくり水路上を移動してくると、手の届きそうなところを通過して行く。しかし、如何にゆっくりでもそこはトンボ、コンパクトカメラでは、なかなか写し込めない。友人は、かなり悔しそうだった。
谷戸の奥まで進み、今度は雑木林の中を、尾根に向かった。
いきなり、無重力的な動きで、フーッと眼の前を横切ったのは、オオアオイトトンボ。う…。アオイトトンボかな。見分けるには、体側の模様と、腹端の白い部分なのだが、どちらがどちらだったか混乱してしまった。その時は、結局アオイトトンボと言ってしまったと思うのだが、後で確認したら、オオアオイトトンボだった。友人には、メールしておこう。
よく見ると、林の中に。まだ何頭もいる。

 
オオアオイトトンボ 2013-09-28 多摩丘陵       アオイトトンボ 2008-09-08 栃木

尾根超えて、隣りの谷戸につくと、黄金色の水田の脇で、やや盛りを過ぎたヒガンバナが色を添えていた。やはり、公園にあるヒガンバナとは違う。青い空と、緑の林と、黄色い田んぼ。そして赤いヒガンバナ。これが秋の兆しかな。
谷戸の斜面には、ノハラアザミにヒョウモンチョウがたくさん来ていた。よく見ると、ミドリヒョウモン、メスグロヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、ツマグロヒョウモンの4種類が確認できた。

 
谷戸の景観にヒガンバナが映える 2013-09-28 多摩丘陵    メスグロヒョウモン 2013-09-28

秋を感じさせてくれるものがもう一つあった。谷戸の入口へ来ると、そこに奇妙な案山子が…。回り込んでみると、案山子の盆踊りだった。


案山子の盆踊り 2013-09-28 多摩丘陵