昨日、僕は、ムラサキツバメの尊い命を奪うことになってしまった。
昨日は、久しぶりに、多摩丘陵へ行くことを決めていた。一応、朝、ムラサキツバメの蛹の状態を確認してみると。
「やばい、これは今日、羽化してしまうかもしれない」と思ったのだ。そこで、羽化した時にチョウが掴み安いように、飼育している水槽の中に、タオル地のハンカチを垂らしておいたのだ。「何とか、今日の夜以降、できれば明日羽化してくれれば、その瞬間を見ることができるんだけどね…。」というと、上さんは、「それなら、その水槽首にぶら下げて歩いたら、途中で出てきたら、その場で写真も撮れるし、その後すぐ逃がしてあげられるじゃない」
「それはさすがに…。」
と言うわけで多摩丘陵へ出かけたのだ。
16:30 帰宅した。すぐに水槽を覗き込むと…。まさに今羽化している最中! 荷物を放り投げ、水槽を明るい場所へ移動させた。カメラを引っ張り出し、再び覗くと、羽化最中だと思った個体は、翅の先端側を蛹の中に入れたまま、うまく抜け出せず、ひっくり返ったカメの仔状態で脚を動かしていた。「これはまずい」と思った僕は、水槽の蓋を開けた。この時、チョウが、パッと飛びだし、窓に向かって飛んで行った。気が付かなかったが、もう一頭はうまく羽化していたようだ。カメの仔状態の蛹が付いた葉っぱを取り出し、足先をハンカチに当ててやると、なんとか翅を抜き取り、這いだしてきた。
ムラサキツバメ 掴まれるようにハンカチを当てる(左)翅を抜き這い出てはきたが…。 2013-09-28
残念ながら、この状態で、相当時間が経っていたようだ。翅は、丸まったまま固まり、伸ばすことはできないようだ。
このチョウは、死刑宣告を受けたようなものだ。どうやってもチョウとして、空を飛ぶことはできない。
「僕が、今日一日羽化を見守っていたなら、早く異常に気付き、掴まれるように動かしてやれたのではないだろうか」そう思うと、気分が暗くなる。
気を取り直して、もう一頭のチョウを見た。こちらは美しく翅を伸ばしていた。
翅の表側が見たいのだが、翅を開いてはくれない。
「室温も低いし、強い光が当たると、体温を上げるために、翅を広げる行動を取るのでは…。」と考え、明かりを当ててみることにした。すぐ手元にあったのは、LEDライトだったが、LEDはほとんど熱を出さないから無理かと思ったのだが、とりあえず当ててみた。
ほんの数秒。ムラサキツバメはパット翅を開いた。
翅を閉じて窓にとまる(左)実験的にLEDライトを当ててみた 2013-09-28 自宅(世田谷)
翅を開いたムラサキツバメ LEDライトを照射 2013-09-28 自宅(世田谷)
LEDライトのせいで、異常に青く輝いた。本来なら、翅の中央部は青いのだが、周辺部は黒く見えるはずだ。だが、その黒い部分にも青い鱗粉が存在していて、光の反射次第で、この様に青く見えるのだろう。
一頭のチョウを犠牲にして、なおかつ羽化の瞬間を見ることができなかった。
ここに、我が家に連れてきてからの姿を記すのは、僕の義務だろう。
2013-09-13
野外で採集 水槽の中で飼育開始
2013-09-16
2頭とも前蛹になる。
2013-09-23
前々日(9月21日)完全な蛹になった。
2013-09-27
蛹の色が変わり始めた。羽化は近い。
2013-09-28
8:13 羽化直前 16:50 すでに羽化していた
窓を開けると、元気な個体は外へ飛んで行った
羽化に失敗したチョウを葉っぱの上に戻すと、たどたどしい歩みで脱殻に近づいく。匂いでもあるのだろうか、脱殻の上に静止した。
時々触角をゆっくり動かしなが、物言わぬチョウは、じっと僕を見つめていた。
昨日は、久しぶりに、多摩丘陵へ行くことを決めていた。一応、朝、ムラサキツバメの蛹の状態を確認してみると。
「やばい、これは今日、羽化してしまうかもしれない」と思ったのだ。そこで、羽化した時にチョウが掴み安いように、飼育している水槽の中に、タオル地のハンカチを垂らしておいたのだ。「何とか、今日の夜以降、できれば明日羽化してくれれば、その瞬間を見ることができるんだけどね…。」というと、上さんは、「それなら、その水槽首にぶら下げて歩いたら、途中で出てきたら、その場で写真も撮れるし、その後すぐ逃がしてあげられるじゃない」
「それはさすがに…。」
と言うわけで多摩丘陵へ出かけたのだ。
16:30 帰宅した。すぐに水槽を覗き込むと…。まさに今羽化している最中! 荷物を放り投げ、水槽を明るい場所へ移動させた。カメラを引っ張り出し、再び覗くと、羽化最中だと思った個体は、翅の先端側を蛹の中に入れたまま、うまく抜け出せず、ひっくり返ったカメの仔状態で脚を動かしていた。「これはまずい」と思った僕は、水槽の蓋を開けた。この時、チョウが、パッと飛びだし、窓に向かって飛んで行った。気が付かなかったが、もう一頭はうまく羽化していたようだ。カメの仔状態の蛹が付いた葉っぱを取り出し、足先をハンカチに当ててやると、なんとか翅を抜き取り、這いだしてきた。
ムラサキツバメ 掴まれるようにハンカチを当てる(左)翅を抜き這い出てはきたが…。 2013-09-28
残念ながら、この状態で、相当時間が経っていたようだ。翅は、丸まったまま固まり、伸ばすことはできないようだ。
このチョウは、死刑宣告を受けたようなものだ。どうやってもチョウとして、空を飛ぶことはできない。
「僕が、今日一日羽化を見守っていたなら、早く異常に気付き、掴まれるように動かしてやれたのではないだろうか」そう思うと、気分が暗くなる。
気を取り直して、もう一頭のチョウを見た。こちらは美しく翅を伸ばしていた。
翅の表側が見たいのだが、翅を開いてはくれない。
「室温も低いし、強い光が当たると、体温を上げるために、翅を広げる行動を取るのでは…。」と考え、明かりを当ててみることにした。すぐ手元にあったのは、LEDライトだったが、LEDはほとんど熱を出さないから無理かと思ったのだが、とりあえず当ててみた。
ほんの数秒。ムラサキツバメはパット翅を開いた。
翅を閉じて窓にとまる(左)実験的にLEDライトを当ててみた 2013-09-28 自宅(世田谷)
翅を開いたムラサキツバメ LEDライトを照射 2013-09-28 自宅(世田谷)
LEDライトのせいで、異常に青く輝いた。本来なら、翅の中央部は青いのだが、周辺部は黒く見えるはずだ。だが、その黒い部分にも青い鱗粉が存在していて、光の反射次第で、この様に青く見えるのだろう。
一頭のチョウを犠牲にして、なおかつ羽化の瞬間を見ることができなかった。
ここに、我が家に連れてきてからの姿を記すのは、僕の義務だろう。
2013-09-13
野外で採集 水槽の中で飼育開始
2013-09-16
2頭とも前蛹になる。
2013-09-23
前々日(9月21日)完全な蛹になった。
2013-09-27
蛹の色が変わり始めた。羽化は近い。
2013-09-28
8:13 羽化直前 16:50 すでに羽化していた
窓を開けると、元気な個体は外へ飛んで行った
羽化に失敗したチョウを葉っぱの上に戻すと、たどたどしい歩みで脱殻に近づいく。匂いでもあるのだろうか、脱殻の上に静止した。
時々触角をゆっくり動かしなが、物言わぬチョウは、じっと僕を見つめていた。
今日、この蝶を見かけて検索していました。可愛い顔の蝶だなぁ、と思って。