「奇跡と呼ばれた学校」で注目されている京都府立堀川高校について分析してみたいと思います。
この学校は、 2002年に国公立大学合格者をひとケタから一挙100人以上にしたことで最近、マスコミなどでも大きく扱われています。
荒瀬校長による著書 『奇跡と呼ばれた学校~国公立大学合格者30倍のひみつ~』 を読むと、コンセプト形成から高い国公立大学の進学までが、用意周到に行われており、決して奇跡・偶然・たまたまといったものではないことが伺えます。
いくつかを要点にわけてみてみます。
1.京都市教育委員会と学校側(校長)とのコンセプト形成がうまくいった。
学校がうまく機能するためには人材と費用は不可欠です。この点で、教育委員会の理解や協力は欠かせません。学校側と何度も協議を持ち、納得いくまで方向性を模索し、議会を説得して予算を計上し、人事面でも必要な教師を積極的に集めるといった努力があった。
2.「探求」を全面に出した教育方針
「人間の知りたい欲求がそもそも学問の始まりである」ことを理解するならば、学問することの根源的欲求である、「知りたい好奇心があるから勉強するのだ」という考え方に基づいた教育カリキュラムはわかりやすいです。そして勉強に興味・関心のある生徒たちにとってはその動機付けも納得のものでしょう。 堀川高校に設置された人間探求科や自然探求科の推進は、こうした動機付けと矛盾しない優れた組織として機能しているように思います。また、こうしたサポートをしたいと思う教員もうまく機能しているのだと思います。
3.SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の利用
SSHの候補にエントリーし、審査ののち登録されると年間予算として千万円単位の補助金が出ます。これを梃子として学校施設を充実させる高校・大学の連携による高い学習効果が期待できます。上記の探求科設置に予算・人材で大きなバックアップとなったと思います。
4.文化都市京都の環境を生かす
京都には文化人が多く在住し、こうした人材との交流または、施設との連携を図っています。つまり学校だけで閉じることなく、地域力に着目し、最大限に生かそうという試みをしています。
5.学校行事も活発
学校生活が進学一本であれば、それは生徒にとっても息苦しい環境です。しかし、文化祭や体育祭、部活動などにも熱心に取り組める姿勢こそが、大学受験にも役立つという経験則をよくご承知のようで、こうした活動への取り組みについても学校側がバックアップしているようです。
と、さまざまな要因を分析して載せてみましたが、ここまでを作り上げるのは、やはり並大抵の努力ではなかったものと思います。 すべての学校(特に公立高校)が堀川高校のようなポテンシャルを望むべくはないのですが、エッセンスをところどころに生かして学校改革することは可能なのではないかと思います。 優れた学校実践が紹介されると「○○高校はこういう恵まれた環境だからできるのだ」と羨む声が教育現場では聞こえてしまうのですが、そうではなく、どういったエッセンスを取り込めるかという見方が学校改革では必要かと思っています。
この学校は、 2002年に国公立大学合格者をひとケタから一挙100人以上にしたことで最近、マスコミなどでも大きく扱われています。
荒瀬校長による著書 『奇跡と呼ばれた学校~国公立大学合格者30倍のひみつ~』 を読むと、コンセプト形成から高い国公立大学の進学までが、用意周到に行われており、決して奇跡・偶然・たまたまといったものではないことが伺えます。
いくつかを要点にわけてみてみます。
1.京都市教育委員会と学校側(校長)とのコンセプト形成がうまくいった。
学校がうまく機能するためには人材と費用は不可欠です。この点で、教育委員会の理解や協力は欠かせません。学校側と何度も協議を持ち、納得いくまで方向性を模索し、議会を説得して予算を計上し、人事面でも必要な教師を積極的に集めるといった努力があった。
2.「探求」を全面に出した教育方針
「人間の知りたい欲求がそもそも学問の始まりである」ことを理解するならば、学問することの根源的欲求である、「知りたい好奇心があるから勉強するのだ」という考え方に基づいた教育カリキュラムはわかりやすいです。そして勉強に興味・関心のある生徒たちにとってはその動機付けも納得のものでしょう。 堀川高校に設置された人間探求科や自然探求科の推進は、こうした動機付けと矛盾しない優れた組織として機能しているように思います。また、こうしたサポートをしたいと思う教員もうまく機能しているのだと思います。
3.SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の利用
SSHの候補にエントリーし、審査ののち登録されると年間予算として千万円単位の補助金が出ます。これを梃子として学校施設を充実させる高校・大学の連携による高い学習効果が期待できます。上記の探求科設置に予算・人材で大きなバックアップとなったと思います。
4.文化都市京都の環境を生かす
京都には文化人が多く在住し、こうした人材との交流または、施設との連携を図っています。つまり学校だけで閉じることなく、地域力に着目し、最大限に生かそうという試みをしています。
5.学校行事も活発
学校生活が進学一本であれば、それは生徒にとっても息苦しい環境です。しかし、文化祭や体育祭、部活動などにも熱心に取り組める姿勢こそが、大学受験にも役立つという経験則をよくご承知のようで、こうした活動への取り組みについても学校側がバックアップしているようです。
と、さまざまな要因を分析して載せてみましたが、ここまでを作り上げるのは、やはり並大抵の努力ではなかったものと思います。 すべての学校(特に公立高校)が堀川高校のようなポテンシャルを望むべくはないのですが、エッセンスをところどころに生かして学校改革することは可能なのではないかと思います。 優れた学校実践が紹介されると「○○高校はこういう恵まれた環境だからできるのだ」と羨む声が教育現場では聞こえてしまうのですが、そうではなく、どういったエッセンスを取り込めるかという見方が学校改革では必要かと思っています。