教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

百ます計算の是非

2007-09-06 | 番組、記事、書籍コメント
百ます計算とは、10×10の縦横のマスに 1桁の数字を入れ、それらを足す、引く、掛ける、割る の計算をしていき、計100マスを埋めるというものです。

主に小学校の算数の時間などに導入として行われることがあるようですが、ネット上では賛否両論あるようですので、ちょっと議論したいと思います。

百ます計算をすることのメリットとしては以下の主張があるようです。
1.単純作業であるので、学習習慣のとっかかりや脳のウオーミングアップとして有効。
2.正答率や達成時間などの客観的な記録が残り、自分の到達度を簡単にチェックできる。そのため、日々の能力の向上が自分で確かめやすい。
3.繰り返し行うことで能力の向上が見られる(ただしあるところで記録は頭打ちになる)

百ます計算のデメリットについては以下の主張があるようです。
1.単純な計算の繰り返しなので、論理的思考能力や複雑な計算力は身につかない

では、ここからが個人的な見解です。
 百ます計算に代表される単純計算演習は、時と場面に応じて必要な量を行っていく方式が有効だと思います。つまり、これから勉強を始めるといった場合に、脳を活性化させるツールとして百ます計算を行うというわけです。ほとんどすべての運動競技で、いきなり種目をはじめることはないでしょう。必ずウオーミングアップとしての準備運動やストレッチがあります。
脳をこれから使うという場面において、準備運動と考えて取り入れるのがよいのではないかと思います。また、学習習慣がなかなか身につかない子供にとっても、成果を目で見てすぐわかる単純な計算演習は興味を持って行うはずですし、成果があれば学習習慣への正のフィードバックになるはずです。

問題であると思われる使い方は、一時間こればかりで授業が終わってしまうとか、他人と競わせることにより成績の優劣をつけるなどのやり方ですね。 記録はあくまで自己ベストの更新を狙うようなアプローチがよいかと思います。

小学校のみならず大人まで、こうした基礎トレーニングをウオーミングアップとして使うことは脳の発達理論からも有効であることも言われています。

この問題についても「百ます計算は○か×か」という単純なゼロイチモデルではなく、どういった場面で使えば学習に有効であるのかという切り口で考えるべきではないかと思います。

◎百ます計算の是非
ウオーミングアップとしての教材つまり、頭の準備運動的な使用方法が適切と思われる。


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