教育のとびら

教育の未来を提言 since 2007
presented by 福島 毅

社会の中で複雑で解決が難しい問題とは?

2010-01-19 | 番組、記事、書籍コメント
混迷する現代。「教科書で習う知識のように、単純な問いがあり、単純な答えがある。そしてそれを暗記しておけば問題は解決する。」 そのような時代ではないことは、誰にとっても明らかな時代になってしまいました。これは、教科書的な知識が役に立たないという単純なものではなく、そうした基礎知識は基礎知識として大事ではあるけれど、問題発見や問題解決では次元の違うアプローチが必要であることを意味しています。

アダム・カヘン氏は、「手ごわい問題は対話で解決する」の中で、複雑な問題を次のように分類しています。

複雑な問題の場合は、以下の性質がある。
1)物理的複雑性が高いタイプ
 原因と結果が時間的・空間的に遠い関係にあるもの。
 その逆なら簡単(自動車が進まないのはエンジン故障(原因-結果が近い))
 →解決策としては、現象を単一の原因ー結果という視点からではなく、システムとしてとらえてみること。

2)生成的複雑性が高いタイプ
 過去の解決策が通用しないもの。
 その逆なら簡単(昔ながらの村落で発生している問題。生活習慣やメンバが変わらなければ過去の解決策を参考にできるはず。)
 →解決策としては、状況変化に応じて創造性を発揮し、そのときどきの意思決定をしていくこと。 

3)社会的複雑性が高いタイプ
 関わる人たちがそれぞれ大きく異なる見解・価値観・目標などを持っている場合。
 その逆ならば簡単(上司や専門家が全員が賛同する解決策を提示すればいい)
 →解決策としては、かかわる人々自身が解決策を生み出したり実行することに参加すること。

全体のシナリオをシステム的にとらえて、創発的なプロセスを使い、参加型のアプローチによって複雑な問題を解決していこうという考え方になります。

これからの教育では、こうした要素をたくみに取り入れた社会現象・自然現象のミニチュアをうまく取り入れて授業設計する必要を感じます。なかなかむずかしい課題ではあります。

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