耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

トリアージ

2014年02月17日 11時35分14秒 | 都会の風景

 地震対策のフォーラムに参加して、考えるところが有った。

 自然災害や事故で、被災者を救助する時の優先順序は難しい。

 弱者優先、女性は弱いから先に、という理屈はいつでも通る
だろうか。全員が助かる見込みがある場合は、弱者優先だろうが、
残されたらどうなるか分からないような時に、どうすべきか。
御釈迦様の蜘蛛の糸では、意味が無い。


 医療や救急が、十分に機能しない災害現場などで適用される
トリアージ(識別救急)では、

黒:(死亡群)死亡、または、救命の見込みがないもの。
赤:(最優先治療群)生命に関わる重篤な状態で一刻も早い処置
   をすべきもの。
黄:(待機的治療群)早期に処置をすべきもの。赤に変化する
   可能性があるもの。
緑:(保留群)今すぐの処置や搬送の必要ないもの。

という色分けをすることになっているという。福島の3.11でも、
これを適用した場面が有ったらしい。

 その結果はどうだったんだろうか。有効に機能したのだろうか。
黒群トリアージの判定は死刑判決と同義だが、裁判なら何年も
かかるのに一瞬で決められるのか?
 赤群よりも黄群を優先する方が、生き残る人数は多くなるような
場面も有るのでは無いだろうか?
 自分や身内が、このどれかに色付けされた時に、納得できるか?

 若くてすぐ回復しそうな緑の群を優先することによって、救急の
人手を確保することは優先ではないのか?
 重傷で死にそうな赤群と、すぐ手当をすれば大事に至らない黄群と、
無傷で役に立ちそうな人達が居たら?
 乳飲み子と働き盛りの若者と死にそうな老人が居たら?


 アンデスの聖餐という話がある。山中に取り残された飛行機事故の
生存者が、死者の肉を食う、という話だが、その前の最後の食料は、
どう分け合ったんだろうか。
 強くてずるい奴が生き残った、ということかもしれない。そして、
それが正解なのかも知れない。


 怪我や外傷が無い人達に順番を決める基準はどうするのか?
 水や食料を配る時や、一人ずつしか助けられない時、妊婦と老人と
子供では、優先順位をどうすべきか?

 津波の中、ビルの屋上に残っている人をヘリに収容する順番は、
誰が判断したんだろうか? 不満や苦情は無かったのかな。
骨折した自分と元気な子供2人とでは、どちらが優先されるべきか?



 災害現場の、遺体が散乱している中で飢えて脅えている人たちの、
誰を優先して助ければ良いのか。
 老人を先に避難させたために、残された身内が被災して、一人に
なってしまったという話も聞いた。

 アフリカの内戦の現場で、避難民を救助する順番は? お金や身分
ではない事を祈る。



 マンションの火災でも、救助の順を決める必要が出てきそうだ。
 お前のせいで俺の身内が助からなかった、なんて言われないような、
事前の合意が必要かもしれない。



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