老母の顔を見に、帰郷した。
3年前にも買ってきたが、50年前の貧乏生活を共に過ごした弟が、お土産に
塩鯨を買って来てくれた。
クジラの赤身の塩漬けである。ご丁寧にも真中に白い筋が入っている。
グリルで焼くと、噴き出てきた塩で真っ白になる。昔はこれでお茶漬けを食べた
ものだ。
筋のところは固くて噛みきれず、チューインガムのようにいつまでも口の中に
残っていた。
この他にも、あの頃はクジラをよく食べた。
小学校の給食では鯨の竜田揚げが出た。脱脂粉乳の牛乳とコッペパンと、
そして少しお金を出すと赤い色の肝油ドロップ。これが給食の思い出だ。
大和煮缶詰は今でもスーパーで売っているが、魚屋でオバイケ(尾羽毛)
を買って来て甘い酢味噌で
食べたものだ。尾の身は尾びれの付け根の霜降り肉で、現在でも最高級
部位で、当時は手が出なかった。
クジラの軟骨は、今でも松浦漬に入っている。
当時ベーコンと言えばクジラに決まっていた。白い脂身の外側にわずかに
赤身が付いていて、そこが食紅で赤く着色されている。酒の肴に持って来い
だが、我が家では今は持ち込みを厳禁されている。
長女がお腹にいるときにかみさんにこれを食べさせたところ、つわりで受け
付けずそれ以来、目の敵だ。
確かに塩鯨も焼くときにかなり癖のある匂いが出る。私には懐かしい匂い
だが、慣れない人には刺激が強いかもしれない。パックの中にあと3枚残って
いるので、かみさんの目を盗んで、こっそりと郷愁に浸りながら食べることに
しよう。
3年前にも買ってきたが、50年前の貧乏生活を共に過ごした弟が、お土産に
塩鯨を買って来てくれた。
クジラの赤身の塩漬けである。ご丁寧にも真中に白い筋が入っている。
グリルで焼くと、噴き出てきた塩で真っ白になる。昔はこれでお茶漬けを食べた
ものだ。
筋のところは固くて噛みきれず、チューインガムのようにいつまでも口の中に
残っていた。
この他にも、あの頃はクジラをよく食べた。
小学校の給食では鯨の竜田揚げが出た。脱脂粉乳の牛乳とコッペパンと、
そして少しお金を出すと赤い色の肝油ドロップ。これが給食の思い出だ。
大和煮缶詰は今でもスーパーで売っているが、魚屋でオバイケ(尾羽毛)
を買って来て甘い酢味噌で
食べたものだ。尾の身は尾びれの付け根の霜降り肉で、現在でも最高級
部位で、当時は手が出なかった。
クジラの軟骨は、今でも松浦漬に入っている。
当時ベーコンと言えばクジラに決まっていた。白い脂身の外側にわずかに
赤身が付いていて、そこが食紅で赤く着色されている。酒の肴に持って来い
だが、我が家では今は持ち込みを厳禁されている。
長女がお腹にいるときにかみさんにこれを食べさせたところ、つわりで受け
付けずそれ以来、目の敵だ。
確かに塩鯨も焼くときにかなり癖のある匂いが出る。私には懐かしい匂い
だが、慣れない人には刺激が強いかもしれない。パックの中にあと3枚残って
いるので、かみさんの目を盗んで、こっそりと郷愁に浸りながら食べることに
しよう。
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