耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

鯨の思い出

2012年02月22日 10時18分02秒 | その他
 老母の顔を見に、帰郷した。

 3年前にも買ってきたが、50年前の貧乏生活を共に過ごした弟が、お土産に
塩鯨を買って来てくれた。



クジラの赤身の塩漬けである。ご丁寧にも真中に白い筋が入っている。
グリルで焼くと、噴き出てきた塩で真っ白になる。昔はこれでお茶漬けを食べた
ものだ。
筋のところは固くて噛みきれず、チューインガムのようにいつまでも口の中に
残っていた。




 この他にも、あの頃はクジラをよく食べた。


小学校の給食では鯨の竜田揚げが出た。脱脂粉乳の牛乳とコッペパンと、
そして少しお金を出すと赤い色の肝油ドロップ。これが給食の思い出だ。

 大和煮缶詰は今でもスーパーで売っているが、魚屋でオバイケ(尾羽毛)
を買って来て甘い酢味噌で
食べたものだ。尾の身は尾びれの付け根の霜降り肉で、現在でも最高級
部位で、当時は手が出なかった。

クジラの軟骨は、今でも松浦漬に入っている。

 当時ベーコンと言えばクジラに決まっていた。白い脂身の外側にわずかに
赤身が付いていて、そこが食紅で赤く着色されている。酒の肴に持って来い
だが、我が家では今は持ち込みを厳禁されている。
 長女がお腹にいるときにかみさんにこれを食べさせたところ、つわりで受け
付けずそれ以来、目の敵だ。

 確かに塩鯨も焼くときにかなり癖のある匂いが出る。私には懐かしい匂い
だが、慣れない人には刺激が強いかもしれない。パックの中にあと3枚残って
いるので、かみさんの目を盗んで、こっそりと郷愁に浸りながら食べることに
しよう。

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