耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

浅草橋

2012年01月17日 11時06分36秒 | 都会の風景
 孫の初節句用に雛飾りを買いに行った。

 タイタイは、岩槻まで行くんだと張り切っていたが、寒いので浅草橋にした。
浅草橋の駅の前には久月、秀月などの大所が並んでいる。



 まずは駐車したコインパーキングの近くの店で色々話を聞いた。女の子一人
ひとりの身代わり雛だから、屏風や道具は使い回しても内裏雛は新調した方
が良い、と言われてタイタイは張り切った。雪洞も最近は電源ケーブルを引っ
張らず電池でLEDを光らせると聞いて、更に眼が輝いた。この時期にジジババ
が鼻膨らませて人形屋に行くんだから、待ち構えた店員は愛想が良い。



ここで大体の見当を付けてから秀月に乗り込んだ。胴体は藁束では無くて
桐の木だから虫が付かないとか、手も木の一刀彫りで、貝の粉で白く塗って
いるとか、道具も樹脂では無くて木製だとか、店員が付きっ切りで説明する。



雛飾りと言えば菱餅と左近の橘右近の桜が定番だが、硯箱とか文机とか
歌留多戸棚など、面白い物も出ていた。



余程金持ちに見えたのか、高すぎるのばかり勧めるので、一旦引き揚げて、
隣の店に入った。

 ここは久月と秀月に挟まれたビルで、大手に対する対抗心で説明に力が
入っていた。岩槻はメーカーが多いが定価を高くつけて、それを半額にしても
デパートより高いとか、同じ物でもXX監修という札を付ければ倍の値段で
大手のカタログに載る、隣は見た目は立派だが昨年倒産して現金でしか
売らないし、製品も古い物ばかりだとか、森光子の写真も30年前の物を
使っていて肖像権でトラぶっているとか、面白い話が聞けた。デパートの
縁起物の売り場は価格交渉とは無縁の様な独特の雰囲気だが、ここは
まるで下町の市場の様な感じである。

 ここで対応してくれた店員は呉服屋出身のおじさんで、人形の顔や造り
よりも、衣装についての説明が多かった。安物は布地がゴワゴワで中に
入れた発泡剤で膨らませているのに比べ、本物の絹の緞子を使って
着重ねている人形は手触りも柔らかく、見た目も豪華だ。
100本仕込んだがもう80本売れたとかで、熱心に勧める。言われる通り、
他の物に比べて立派に見える。安っぽい菱餅ではなく、文机に巻物が
乗っているのも気に入った。色々付属品も付いてくる。



表示価格は定価の2割引きで、この土日では更に2割値引きして売ったが、
今日は更にそれから値引きする、とまるでたたき売りだ。
それでも予算を大幅に超える値段なので、眉に唾付けながら、もう一軒見て
くる、と言って引き揚げた。

 隣の久月は、さすがにゴウジャスだ。子供と同じくらいの大きな人形が
ズラリと出迎えて、店内も立派な雛飾りが沢山並んでいる。我々も少し
疲れて見えたのか、店員も真面目に対応しようとしない。ここは貧乏人の
来るところでは無いと思ったので、最初の店で相応のお雛様を買おう、と
戻ることにした。

 しかし、4軒も梯子をするとさすがに目が肥えて、安いものでは飽き足りない。
身の程もわきまえず、商売人のおじさんの勧める、衣装が良い人形を買うこと
にした。

 帰って、NETで色々調べたら、同じ作家のものが高島屋のパンフレットにも
載っていた。
NETで通販も便利だろうが、専門店に行って色々話を聞きいて比較しながら
選ぶのはそれなりに楽しい。
今回ばかりは買い物好きなタイタイ病の気持ちが少し理解できた気がする。


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