耳順庵日記

60歳を超えて、生き馬の目を抜く首都圏の生活にカムバックした。
浦安太郎が見た、都会の意外な側面を綴ってみたい。

庭の鳥

2013年07月20日 21時00分05秒 | 都会の風景
 明け方、といってもまだ3時ごろ、窓の外で結構鳥の声が聞こえる。
ヒヨドリのキーキー声とは違うから、中庭の大きな欅の枝で夜を過ごす、
ムクドリだろうか。

 江戸時代、「椋鳥(むくどり)」といえば、冬、江戸に出稼ぎにやって
来る越後や信濃からの季節労働者を指した。椋鳥の渡り行動が冬の
農閑期に江戸に出てくる彼らの行動と似ていたためである。という
ようなことを、白土三平のカムイ外伝で読んだことがある。

 ムクドリは夏は山に帰って、寒くなったら里に降りてくる渡り鳥、
だと思っていた。しかし、最近は違うようだ。

 ムクドリは、時として巨大な群れを作る。
 昔勤めていた会社では、工場敷地内の大きな木にムクドリの集団が
集まるようになって、その鳴き声と樹の下の糞に困ったことがあった。
その時は、録音したカラスの声を聞かせることで、追い払うことが
できたようだ。

 最近は鳥たちも居住環境が変化したようで、住んでいるマンションの
中庭の芝生で年中遊んでいる。芝生といっても、昔の話で、今は大部分
が雑草でシロツメクサや、イネ科の強靭な草がすぐ伸びる。だから園芸
業者に外注して、2ヶ月おきくらいに芝刈り機で刈っている。その刈り跡
に多分虫が出るのだろう、鳥たちが集まる。ムクドリ、キジバト、ヒヨドリ、
スズメなどである。

 ドバトも多い。この鳩がマンションの敵である。メーターボックスや
ベランダの植木鉢の陰などに巣を作って、卵を産む。
糞や鳴き声も大きな公害である。

 20年ほど前、マンションの壁の塗替えで足場を組んた時、我家のベランダ
で鳩が卵を孵していたのに気付かず、塗料飛散防止のネットの中にヒナ鳥が
取り残されたことがあった。
 文鳥やインコを手乗りに仕立てるのが得意なカミさんが、手乗り鳩にしよう、
と言い出して、2-3ヶ月育てたことがある。
 文鳥ほどには馴れなかったが、それでも一応手や肩に乗るようになった。
中庭に連れて行くと、飛び回って我々家族の肩に帰ってくるのだが、近くを
歩いている人の方にも飛んでいくから、向こうは堪らない。鳩に襲われたと
思って、大騒ぎになったことがある。
 ネットで里親を探して、引き取ってもらって一段落したから良かったが。

 都会の鳩は汚い。排気ガスで真っ黒だ。一方、海辺の鳩には足が無い
のが居る。捨てられた釣り糸が絡んで、足首から切り落とされたのだろう。
数年前、ボウガンの矢が刺さった矢鴨が上野不忍池で見つかったこともある。

 糞公害は深刻だが、生き物を虐待することは良識が許さない。
 我がマンションでは、鳩を追い払うため(撲滅するためではなく)、鷹匠を
連れてくることを真剣に考えている人もいるほどだ。

 愛される鳥、憎まれる鳥、昔は親しまれていたが今は嫌われる鳥、なんだか
人間社会を見ているようである。

 さて、私はどんな鳥だろうか?

           猛暑日に早こうろぎの鳴き初めし 蛙蝉



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