<メサベルデ国立公園入口のモニュメント>
ロッキー山脈紀行(14):第3日目(2):郡都デュランゴで一休み
ルパインツアー)
2010年8月19日(木)~28日(土)
第3日目:2010年8月21日(土)
<第3日目の行程>
<ラプラタ郡郡庁所在地デュランゴ>
■巨大な岩
パコサロッジで1泊した私たちは,ホテル近くのレストランで朝食を済ませ,8時18分にホテルをチェックアウト,8時30分,2台の専用車に分乗した私たちは,ルート160号線に沿って,一路西へ向けて出発する.
専用車は緑豊かな田園地帯を西へ,西へと走り続ける.2車線の道路である.今日も抜けるような青空が広がっている.やや藍色を帯びた空がピカピカと光っている.車窓には,広々とした牧場や針葉樹の林が続く.所々に大きくて立派な住宅が樹木の間に見え隠れする.
8時56分頃,進行方向左手の車窓から,まるで人工の建造物のような形の岩山が見える.不思議な岩である.この岩にまつわる話や言い伝えは特にないようである.
■デュランゴのスーパー
9時40分,ルート550号線の分岐点にあるデュランゴに到着する.
資料1によると,「デュランゴ(Durango)は、アメリカ合衆国コロラド州南西部に位置する都市.同州ラプラタ郡の郡庁所在地で,フォー・コーナーズと呼ばれる地域の中心都市のひとつである.ナバホ族の言語ではキンラニ(Kinłání)という.人口は15,501人(2000年国勢調査).かつては鉱山の町として栄えたが,現在では鉱業は廃れ,歴史的な街並みを残し,アウトドア活動の拠点としても知られる観光都市になっている」という.
9時41分,私たちはデュランゴ市内の巨大スーパーマーケット「ACE」に立ち寄る.ここでトイレ休憩.店内に入る.広い通路に背の高い陳列棚が並んでいる.昨日立ち寄ったお店もそうだったが,日本のスーパーのように発泡スチロール製のトレーにチマチマと盛りつけられた商品は殆ど見当たらない.この点からだけ言えば,少なくとも私たちが立ち寄ったスーパーは,日本の一般のスーパーよりも,よほど省資源的であると言えよう.
私は,店内を散策しながら,終戦直後,凄い憧れを持って読んでいたアメリカの漫画「ダッグウッド」の場面を思い出す.あの漫画には1940年代のアメリカの中堅サラリーマン家庭の生き様が実に生き生きと描かれていた.あの頃,進駐軍の兵隊を見掛けると,何の恥じらいもなく“ギブミーチョコレート”を言っていた自分たちを思い出す.
サラリーマンであるダッグウッドには,可愛い奥さんブロンディが居る.漫画の中のダッグウッドとブロンディの生活が,当時の私たちの目からは,まるで天国のように見えたものだ.あれから幾星霜.今,日本は不景気だとは言いながらも,私たちがブロンディに憧れていた生活水準を遙かに凌駕する生活をしている.私はスーパーマーケットの商品を眺めながら,ブロンディのことや,自分の来し方行く末に思いを馳せている(注1).
<メサベルデ国立公園に到着>
■メサベルデ国立公園入口
9時57分,スーパーマーケットを後に発車する.私たちを乗せた2台の専用車は,ルート160号線をさらに西へ向かって走り続ける.
10時10分頃から,専用車は丘陵地帯に差し掛かる.相変わらず針葉樹林帯と牧場が交互に現れるが,西へ進むにつれて樹林帯が多くなり始める.
10時31分,メサベルデ国立公園入口のモニュメントに到着する.ここで,私たちは専用車から下車して,モニュメントをバックに,記念写真を撮りあう.私は天の邪鬼.そんな人工物をバックに斜視を撮ったって仕方がないなと意固地になる.だから,記念写真はいかがと薦められても,自分の変な顔が写るのは見たくないので,低調にお断りする.
■広々とした眺望
10時33分,現地スタッフに急かされるようにして,専用車に乗車.すぐに出発する.
すぐに登り坂になる.先へ進むにつれて,だんだんと眺望が開けはじめる.道路は次第に曲がりくねって山岳地帯に入る.
10時58分,進行方向右手の視界が,パッと開ける.右手には,まるでピラミッドを少し倒したような形の三角山が聳えている.鋭い稜線が屹立した鋭い陰影を落としている.
<立ち枯れした木が続く:「これも輪廻だ」とガイドが言う>
■ビジターセンターに到着
11時21分,メサベルデ国立公園ビジターセンターに到着する.現地ガイドが,
「皆さん,パスポートを用意して下さい・・」
と私たちに注意を促す.私は思わず,
「エッ・・ここはパスポートが要るんですか・・?」
と質問する.すると,現地スタッフだけでなく,同行者が笑いながら,
「・・アメリカ国立公園パスポートですよ・・・本当のハスポートだと思ったんですか」
という.そういえば,国立公園を訪れる度に,スタンプを押すパスポートを,現地スタッフのネイトさんから戴いたことを思い出す. スタンプなどに興味のない私は,スタンプ用のパスポートを戴いたことを,すっかり忘れている.私は照れ笑いしながら,
「なあんだ!・・あのパスポートのことだったんですね.ビックリしましたよ・・」
と答える.
頂戴したパスポートなるスタンプ帳は,あまり興味がなかったので,リュックの奥底に仕舞い込んである.リュックからスタンプ台を引っ張り出すのも面倒臭いので,スタンプはパスする.その代わりにメモ帳にシッカリとスタンプを押す.
11時21分,いよいよメサベルデ国立公園散策を開始する.
(つづく)
(注1)
資料2によれば,「『ブロンディ』(Blondie)は,Murat Bernard "Chic" Young作の米国の新聞漫画.ブロンディとダグウッドの日常を描く.1930年から連載が開始された.日本では1946年から1956年に『週刊朝日』に,1949年1月1日から1951年4月15日に『朝日新聞』朝刊に掲載された」漫画である.
資料1:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B4_(%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%A9%E3%83%89%E5%B7%9E)
資料2:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3_(%E6%BC%AB%E7%94%BB)
「ロッキー山脈紀行」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b5026f3d6b751e9774bd196903549897
「ロッキー山脈紀行」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/423b1d38416dda3f3792adb15de71130
[編集後記]
2010年9月14日(火)
昨日まで居た信州に比較すると,今日の鎌倉も随分と暑いが,それでも,つい先日のようなベラボーな暑さではなく,随分と過ごしやすい気温になっている.
本当は,今日辺り塔ノ岳を往復したいところだが,中山道中六十九宿巡りで,3日間も留守にした翌日の今日,丹沢へ出掛けるのは如何にも宜しくない.そこで,今日ばかりは温和しく家で過ごそうかと思う.明日(9月15日)は,鎌倉彫会館で開催されている展示会を訪れる計画である.となれば,丹沢行は早くても9月16日ということになる.
「・・・む,む,む,・・ということは,9月の塔ノ岳詣では,せいぜい4~5回というところか・・」
まあ,回数は例年より少ないが,まあ,致し方ないだろう.
さすがの猛暑も,9月中旬ともなれば,一頃の勢いは大分弱まり,今日は大分涼しくなった.たまには終日家に籠もろうかと思っていたが,午後になると,散歩したいというモゾモゾが背中辺りから始まり,やがて,このムズムズ感が全身に広がる.
私は延び延びになっていたロッキー同行の方への返信手紙をようやくの思いで書き終え,近くの郵便局まで投函に行くことにする.
外に出る.
薄雲の間から秋の陽光が降り注いでいる.
「ああ,気持ちが良いな~ぁ・・・」
私は小躍りしたくなるような気持ちで,散策を始める.鎌倉中央公園入口を通過して大平山を登る.山頂のロータリーから反対側の急坂を下って梶原郵便局に立ち寄る.
郵便局に入ると,局長以下2~3人の職員が一斉に,
「いらっしゃいませ・・」
と私に挨拶する.私は飲食店にでも入ったのではないかとビックリする.
おずおずと若い女性職員に封書を渡しながら,質問する.
「すみません,これいくらになるでしょうか?」
女性職員は,封書の目方を計量器で計る.
「こちらは,90円です・・」
手紙の中には数枚のスケッチはがきを入れておいたので,郵送料は200円くらいかなと思っていた.90円は意外に安いなと思いながら,切手代を支払う.
郵便局での用事を終えて外に出る.背中から,
「どうも有り難うございました・・」
と挨拶する職員全員の声が聞こえる.郵便局も随分と変わったなと嬉しくなる.私はここ1週間ばかり,「返事を出さなければ,ださなければ・・」という強迫観念から,漸く,解放された.これが嬉しくて,嬉しくて仕方がない.
「私に手紙を下さる方,私からのお返事は,どうぞあまり期待しないで下さい・・」
と祈るばかりである.
夕方,テレビをONにする.丁度,菅直人総理大臣が再選された直後の映像が流れている.魁皇が負けちゃった.残念.
(ぼやき終わり)
ロッキー山脈紀行(14):第3日目(2):郡都デュランゴで一休み
ルパインツアー)
2010年8月19日(木)~28日(土)
第3日目:2010年8月21日(土)
<第3日目の行程>
<ラプラタ郡郡庁所在地デュランゴ>
■巨大な岩
パコサロッジで1泊した私たちは,ホテル近くのレストランで朝食を済ませ,8時18分にホテルをチェックアウト,8時30分,2台の専用車に分乗した私たちは,ルート160号線に沿って,一路西へ向けて出発する.
専用車は緑豊かな田園地帯を西へ,西へと走り続ける.2車線の道路である.今日も抜けるような青空が広がっている.やや藍色を帯びた空がピカピカと光っている.車窓には,広々とした牧場や針葉樹の林が続く.所々に大きくて立派な住宅が樹木の間に見え隠れする.
8時56分頃,進行方向左手の車窓から,まるで人工の建造物のような形の岩山が見える.不思議な岩である.この岩にまつわる話や言い伝えは特にないようである.
■デュランゴのスーパー
9時40分,ルート550号線の分岐点にあるデュランゴに到着する.
資料1によると,「デュランゴ(Durango)は、アメリカ合衆国コロラド州南西部に位置する都市.同州ラプラタ郡の郡庁所在地で,フォー・コーナーズと呼ばれる地域の中心都市のひとつである.ナバホ族の言語ではキンラニ(Kinłání)という.人口は15,501人(2000年国勢調査).かつては鉱山の町として栄えたが,現在では鉱業は廃れ,歴史的な街並みを残し,アウトドア活動の拠点としても知られる観光都市になっている」という.
9時41分,私たちはデュランゴ市内の巨大スーパーマーケット「ACE」に立ち寄る.ここでトイレ休憩.店内に入る.広い通路に背の高い陳列棚が並んでいる.昨日立ち寄ったお店もそうだったが,日本のスーパーのように発泡スチロール製のトレーにチマチマと盛りつけられた商品は殆ど見当たらない.この点からだけ言えば,少なくとも私たちが立ち寄ったスーパーは,日本の一般のスーパーよりも,よほど省資源的であると言えよう.
私は,店内を散策しながら,終戦直後,凄い憧れを持って読んでいたアメリカの漫画「ダッグウッド」の場面を思い出す.あの漫画には1940年代のアメリカの中堅サラリーマン家庭の生き様が実に生き生きと描かれていた.あの頃,進駐軍の兵隊を見掛けると,何の恥じらいもなく“ギブミーチョコレート”を言っていた自分たちを思い出す.
サラリーマンであるダッグウッドには,可愛い奥さんブロンディが居る.漫画の中のダッグウッドとブロンディの生活が,当時の私たちの目からは,まるで天国のように見えたものだ.あれから幾星霜.今,日本は不景気だとは言いながらも,私たちがブロンディに憧れていた生活水準を遙かに凌駕する生活をしている.私はスーパーマーケットの商品を眺めながら,ブロンディのことや,自分の来し方行く末に思いを馳せている(注1).
<メサベルデ国立公園に到着>
■メサベルデ国立公園入口
9時57分,スーパーマーケットを後に発車する.私たちを乗せた2台の専用車は,ルート160号線をさらに西へ向かって走り続ける.
10時10分頃から,専用車は丘陵地帯に差し掛かる.相変わらず針葉樹林帯と牧場が交互に現れるが,西へ進むにつれて樹林帯が多くなり始める.
10時31分,メサベルデ国立公園入口のモニュメントに到着する.ここで,私たちは専用車から下車して,モニュメントをバックに,記念写真を撮りあう.私は天の邪鬼.そんな人工物をバックに斜視を撮ったって仕方がないなと意固地になる.だから,記念写真はいかがと薦められても,自分の変な顔が写るのは見たくないので,低調にお断りする.
■広々とした眺望
10時33分,現地スタッフに急かされるようにして,専用車に乗車.すぐに出発する.
すぐに登り坂になる.先へ進むにつれて,だんだんと眺望が開けはじめる.道路は次第に曲がりくねって山岳地帯に入る.
10時58分,進行方向右手の視界が,パッと開ける.右手には,まるでピラミッドを少し倒したような形の三角山が聳えている.鋭い稜線が屹立した鋭い陰影を落としている.
<立ち枯れした木が続く:「これも輪廻だ」とガイドが言う>
■ビジターセンターに到着
11時21分,メサベルデ国立公園ビジターセンターに到着する.現地ガイドが,
「皆さん,パスポートを用意して下さい・・」
と私たちに注意を促す.私は思わず,
「エッ・・ここはパスポートが要るんですか・・?」
と質問する.すると,現地スタッフだけでなく,同行者が笑いながら,
「・・アメリカ国立公園パスポートですよ・・・本当のハスポートだと思ったんですか」
という.そういえば,国立公園を訪れる度に,スタンプを押すパスポートを,現地スタッフのネイトさんから戴いたことを思い出す. スタンプなどに興味のない私は,スタンプ用のパスポートを戴いたことを,すっかり忘れている.私は照れ笑いしながら,
「なあんだ!・・あのパスポートのことだったんですね.ビックリしましたよ・・」
と答える.
頂戴したパスポートなるスタンプ帳は,あまり興味がなかったので,リュックの奥底に仕舞い込んである.リュックからスタンプ台を引っ張り出すのも面倒臭いので,スタンプはパスする.その代わりにメモ帳にシッカリとスタンプを押す.
11時21分,いよいよメサベルデ国立公園散策を開始する.
(つづく)
(注1)
資料2によれば,「『ブロンディ』(Blondie)は,Murat Bernard "Chic" Young作の米国の新聞漫画.ブロンディとダグウッドの日常を描く.1930年から連載が開始された.日本では1946年から1956年に『週刊朝日』に,1949年1月1日から1951年4月15日に『朝日新聞』朝刊に掲載された」漫画である.
資料1:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B4_(%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%A9%E3%83%89%E5%B7%9E)
資料2:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3_(%E6%BC%AB%E7%94%BB)
「ロッキー山脈紀行」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b5026f3d6b751e9774bd196903549897
「ロッキー山脈紀行」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/423b1d38416dda3f3792adb15de71130
[編集後記]
2010年9月14日(火)
昨日まで居た信州に比較すると,今日の鎌倉も随分と暑いが,それでも,つい先日のようなベラボーな暑さではなく,随分と過ごしやすい気温になっている.
本当は,今日辺り塔ノ岳を往復したいところだが,中山道中六十九宿巡りで,3日間も留守にした翌日の今日,丹沢へ出掛けるのは如何にも宜しくない.そこで,今日ばかりは温和しく家で過ごそうかと思う.明日(9月15日)は,鎌倉彫会館で開催されている展示会を訪れる計画である.となれば,丹沢行は早くても9月16日ということになる.
「・・・む,む,む,・・ということは,9月の塔ノ岳詣では,せいぜい4~5回というところか・・」
まあ,回数は例年より少ないが,まあ,致し方ないだろう.
さすがの猛暑も,9月中旬ともなれば,一頃の勢いは大分弱まり,今日は大分涼しくなった.たまには終日家に籠もろうかと思っていたが,午後になると,散歩したいというモゾモゾが背中辺りから始まり,やがて,このムズムズ感が全身に広がる.
私は延び延びになっていたロッキー同行の方への返信手紙をようやくの思いで書き終え,近くの郵便局まで投函に行くことにする.
外に出る.
薄雲の間から秋の陽光が降り注いでいる.
「ああ,気持ちが良いな~ぁ・・・」
私は小躍りしたくなるような気持ちで,散策を始める.鎌倉中央公園入口を通過して大平山を登る.山頂のロータリーから反対側の急坂を下って梶原郵便局に立ち寄る.
郵便局に入ると,局長以下2~3人の職員が一斉に,
「いらっしゃいませ・・」
と私に挨拶する.私は飲食店にでも入ったのではないかとビックリする.
おずおずと若い女性職員に封書を渡しながら,質問する.
「すみません,これいくらになるでしょうか?」
女性職員は,封書の目方を計量器で計る.
「こちらは,90円です・・」
手紙の中には数枚のスケッチはがきを入れておいたので,郵送料は200円くらいかなと思っていた.90円は意外に安いなと思いながら,切手代を支払う.
郵便局での用事を終えて外に出る.背中から,
「どうも有り難うございました・・」
と挨拶する職員全員の声が聞こえる.郵便局も随分と変わったなと嬉しくなる.私はここ1週間ばかり,「返事を出さなければ,ださなければ・・」という強迫観念から,漸く,解放された.これが嬉しくて,嬉しくて仕方がない.
「私に手紙を下さる方,私からのお返事は,どうぞあまり期待しないで下さい・・」
と祈るばかりである.
夕方,テレビをONにする.丁度,菅直人総理大臣が再選された直後の映像が流れている.魁皇が負けちゃった.残念.
(ぼやき終わり)