中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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涼しくなったがネコ哀れの丹沢;塔ノ岳(今年27回目)

2010年09月19日 19時25分01秒 | 丹沢の山旅

                    <大倉尾根のこぼれ日>

     涼しくなったがネコ哀れの丹沢;塔ノ岳(今年27回目)
              (単独山行)
           2010年9月17日(金)

■夜明けが遅くなった

 つい先日まで,全く腹立たしくなるような残暑が続いていたが,さすがに9月中旬ともなると,漸くいくらか暑さも治まってきたようである.
 本当ならば,昨日(9月16日),塔ノ岳に登るつもりだったが,急遽,頭のCTを撮ることになり,塔ノ岳行は中止した.もっとも昨日はかなり強い雨が降ったので,中止して良かったのかもしれない.とにかく,今日は漸く待望の塔ノ岳詣でが実現する.
 何時もの通りに5時10分に家を出発する.秋分の日が近付くにつれて,日毎に日の出が遅くなっている.夏の間は,5時10分と言えば,もうすっかり夜が明けていたが,今日はまだ薄暗い.
 小田原経由で,小田急線渋沢駅下車.大倉行の1番バスに乗車する.今日の乗客は7名.内1名は途中の停留所で下車したので,登山客は6名である.ご常連は韋駄天のTさんと努力家のYさん.後はあまり見掛けたことのない方々である.
 バスが大倉に到着すると,ご常連のお二方を含めて,私以外の全員がソソクサと歩き出す.私は例によってストレッチをしたり,リュックの中を整理したりで,結局,韋駄天のTさん達より10分近く遅い7時05分に歩き出す.

■ぐっと押さえながら登る
 昨日,雨がたっぷりと降ったらしくて,道路はビショビショに濡れている.気温は24.6℃.一時よりはかなり涼しくなったが,登山をするには,まだ,少し暑い.
 この所,私は中山道中の旅を始めとして,いくつかの野暮用が沢山重なっている.そのために,9月6日に塔ノ岳詣でをしてから,随分と間が空いてしまっている.しかも,6日は,台風9号の上陸もあって,見晴山荘から引き返してしまっている.そんなことから,山頂まで登るのは久々のことである.私は無理をせずにユックリ登ろうと固く決意する.
 いざ歩き出してみると,今日は随分と身体が軽く感じる.この分だともっと速歩でも構わないかなと思うが,この気持ちをグッと抑えて慎重に登り続ける.登山口を通過する頃,近くの草むらからコオロギの啼き声が心細げに聞こえてくる.
 7時14分,克董窯を通過する.ここで舗装道路は途絶える.ここから先は礫を敷き詰めた歩きにくい道になる.この辺りで,私より5分ほど先に歩き出したYさんに追いつく.二言三言,Yさんとお話をした後,申し訳ないけれども先に行かせて貰う.
 7時19分,丹沢ベースを通過.気温24.6℃.続いて7時27分に観音茶屋,7時41分に雑事場ノ平,7時43分に見晴茶屋を通過する.気温19.7℃.
 駒止茶屋手前の急階段は,意外に調子よく登って,8時13分に駒止茶屋に到着する.気温19.1℃.
 大倉を歩き出してから,駒止茶屋までの所要時間は1時間08分.多少の暑さのせいもあるが,調子が良いときは,1時間丁度ぐらい.ということは,まだまだ私の体調は本調子ではない.
 
<韋駄天のYさんが行く>

■久々の富士山
 8時12分,堀山の尾根に出る.前方から,ご常連の韋駄天のYさんが,例によって,もの凄い勢いで駆け下りてくる.
 「おはようございます・・」
と声を掛けている間に,数十メートルも先を走っている.
 前方を見ると2人の男性がユックリと歩いている.すぐに,このお二人に追いつく.綿製のジーンズを履いている.後ろから歩く姿や服装を見ると,どの程度,山歩きをしているかがすぐ分かる.私は軽く挨拶をして先に行かせて貰う.
 やがて,富士山の眺望が良い所を通過する.今日は,この時期にしては珍しく富士山が良く見えている.私は,暫くの間,ここで立ち止まって富士山の写真を撮る.真っ青な空に富士山がクッキリと見えているが,山麓では雲が沸き始めている.間もなく,雲が次第に上まで広がって,富士山が見えなくなるかもしれないなと思う.そこで,風景を楽しむのも今の内だけかもしれないので,じっくりと風景を楽しむことにする.
 堀山の尾根まで来ると,ときどきそよ風が尾根を越えて吹く.この風が汗ばんだ肌には,実に気持ちがよい.
 

■萱場平
 8時32分,堀山の家に到着する.小屋周辺には全く人気がない.先ほど富士山を眺めてから,ほんの数分しか経っていないのに,富士山はもう雲に覆われて全く見えなくなっている.気温19.2℃.
 8時50分,萱場平を通過する.人気は相変わらずないだけでなく,鳥や虫の啼き声も全くない.風もない.動くもの何もなく静まり返っている.太陽が薄雲を通して照りつけるので,結構,蒸し暑く感じる.気温19.0℃.
 

■花立場のコル
 9時23分,花立場のコルを通過する.ここで下ってくる韋駄天組の顔見知りとすれ違う.
 何時の間にか,下界には雲がもくもくと沸いている.文字通り眼下に雲海が広がっている.富士山の南側斜面には,白い雲が纏わり付いている.
 富士山の右側には,この時期にはめずらしく,南アルプスの山々がクッキリと見えている.
 



■韋駄天のTさん
 9時28分に金冷シを通過する.最初の長い階段を登り切ったところで,下山してくる韋駄天のTさんとすれ違う.Tさんが,
 「今日は大分涼しくなりましたね.山頂の気温は17.6℃でしたよ・・」
 「昨日は雨で大変だったでしょう・・」
 「いや~ぁ・・実は昨日ヒルにやられましたよ・・どうもヒルにやられるのは雨の日のようですね」
と物騒な話をする(ヒル談義は別途稿を改めて取り上げる).


■塔ノ岳山頂
 9時43分に塔ノ岳山頂に到着する.所要時間は2時間38分.冴えない.昨年,食べ過ぎによる急性胃炎を患ったときに,2~3週間塔ノ岳登山から遠ざかって以来,平均所要時間が10分ほど延びているようだ.その後も,1週間に2度程度の塔ノ岳を目指しているものの,実際には1週間に1度しか登っていない.これでは体力の回復もままならないのは自明の理である.
 山頂の気温は18.1℃.暑くも寒くもない.実に居心地が良い.富士山を見ると,山麓に真綿を千切ったような雲が沢山沸いている.絵になる風景である.
 山頂には誰も居ない.静まり返っている.暫くの間,山頂からの写真を撮りながら,初秋の風情を楽しむ.
 



■ネコ不在の尊仏山荘
 尊仏山荘に向かう.名前が一寸出てこないが白馬山荘でも良くお目に掛かるXさんが,山荘入口のガラス磨きをしている.私を見て,ガラス磨きを中断して,
 「どうぞ,どうぞ,・・・」
山荘の中に招き入れる.
 300円也のお茶を所望.お茶を飲みながら雑談.
 白馬館のこと,北アルプス総合案内所のことなど,話題はとりとめもない.
 その内に,ミー君の忠実な僕(しもべ)であるOさんのことに話題が移る.実は,Oさん,この間の日曜日,丹沢の某所で浮き石を踏んで足首を骨折したとのこと(プライベートなことなので詳細は省略).それは大変.骨折となると3ヶ月程度は,山歩きは無理.その間,Oさんが居ないと,ミー君はどうなるんだろう.
 「じゃあ・・ミー君もショボンとしているでしょう」
 「それが,ときどき餌は食べているようですが,ほとんど姿を見せないんです・・どこに居るのか分かりません」
とXさんは,小さな声で答える.
 実のところ,私が尊仏山荘を訪れる大きな楽しみはミー君に会うことにある.Oさんが不在だと,ミー君が家出をしてしまうのではないか,さらにはのたれ死にしてしまうのではないかと心配になる.
 そんな話をしていると,オーナーのHさんが山荘の奥からノソッと現れる.Oさんの骨折で,
 「・・骨折となると,今年一杯は復帰できないでしょう.困りましたよ・・」
とHさんがしみじみと言う.
 その内に,話が私の山の知人の噂に移る.ロッキー山脈の山旅で知り合った某氏達と私が,近々,塔ノ岳へ登るような,登らないようなことを言っていたとHさんに報告する.
 「某氏ですか.彼だと大倉尾根は5時間ぐらいかな・・」
 「そうかもしれませんね.まあ,ご一緒するなら,朝から13時頃まで登って,もし山頂に到着しなかったら,そこから下山するか,尊仏山荘で泊まることにしますよ・・」
 このやり取りを切っ掛けに四方山話になる.
 「・・・先日,名古屋の夫婦連れが登ってきましたが,7時間かかったって・・」
 私は,まさか,ロッキー山脈の山旅でご一緒した名古屋のご夫婦ではないだろうなと気にしている.


■下山:次々にご常連とバッタリ
 10時17分,尊仏山荘を出発.下山開始.
 山頂には心地よい風が吹いている.暑くも寒くもなく実に心地がよい.時間さえ許せば,ここで2~3時間昼寝をしていたいなと思うが,あまり遅くならないうちに帰宅したい.今から急げば,大倉12時22分発のバスに間に合うが,それでは勿体ない.そこで,12時52分のバスに乗ることを目安にする.
 下界から大量の雲が,もくもくと上ってきている.美しい風景を愛でながらユックリ,ユックリと下山を続ける.金冷シ手前で,同じバスに乗っていたYさんとすれ違う.そして,その後,途中で追い越させていただいた2人連れの男性とすれ違う.
 10時44分,花立山荘を通過する.山荘前のベンチでは数名の男性が休憩を取っている.やがて,長い階段を下り終えて露岩帯に入る.
 丁度このとき,顔見知りのご常連とバッタリ.
 「随分暫く振りですね・・・」
 「実は,先月末に10日ばかりアメリカのロッキー山脈へ行っていました・・9月は台風の日に塔へ来たんですが,途中で引き返しました.その後,街道歩きをしたりで,なかなか塔へ来れませんでした・・」
 「そうでしたか.私のように同じ山ばかり繰り返しているより,いろいろな山へ行った方が見聞が広がっていいですね・・」
 再会を約してご常連とお別れして,下り続ける.
 萱場平に近付いた頃,また別のご常連と久々にバッタリ.
 「おや,暫く振りです.今日は随分とユックリですね・・」
 「実は,夏の暑い間,登山はお休みしていました.今日は2ヶ月ぶりです.糖尿病が出て,しんどくて,しんどくて,・・・」
 「そうでしたか,それはいけませんね・・お大事に」
 何時の間にか,辺り一面に霧が掛かり始める.多分,山麓に棚引いている雲の中に入ったのだろう.すれ違う登山客に,山頂の様子を聞かれる.
 12時15分,見晴山荘に到着する.山荘の前で尊仏山荘の小屋番Yさんとバッタリ.
 「おや,こんにちは,尊仏山荘に寄ってきましたよ・・Oさん大変ですね」
 「そうなんです.私もOさんが抜けたので,来週はずっと山荘の予定です・・」
 「・・今日,ネコに会えなかったんですが,大丈夫でしょうか・・」
 「やっぱり会えなかったですか・・死んじゃったかな? ネコも大変ですよ」
 「また,来週中頃登っていきますよ」
 「そうですか,来週はずっと,山荘います.是非,登ってきて下さい」
 途中ノンビリし過ぎた.このままでは,12時52分のバスにも乗り遅れてしまう.少々下山速度を速めて,12時50分,大倉に下山する.そのままバスに乗車する.
 渋沢から小田原を経由して,15時頃,帰宅する.
 ネコには会えなかったものの,充実した一日だった.
 

<ラップタイム>

 7:05  大倉歩き出し(24.6℃)
 7:27  観音茶屋
 7:43  見晴茶屋(23.8℃)
 8:13  駒止茶屋(19.1℃)
 8:32  堀山の家(19.2℃)
 9:14  花立山荘(19.0℃)
 9:28  金冷シ(20.2℃)
 9:43  塔ノ岳山頂 着
=========================================
10:17  塔ノ岳山頂 発(+18.1℃)
10:31  金冷シ
10:44  花立山荘
11:27  堀山の家
11:42  駒止茶屋
12:15  見晴茶屋
12:32  観音茶屋
12:50  大倉 着(24.5℃)

[山行記録]

■水平距離
       7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間
  大倉  発       7:05
  塔ノ岳 着       9:43
 (所要時間)  2時間38 分(2.63h)
 登攀速度   1269m/2.63h=482.5m/h

■下降所要時間
  塔ノ岳 発      10:17
  大倉  着      12:55
 (所要時間)  2時間38分(2.63h)
 下降速度   1269m/2.63h=482.5m/h
                            (おわり)

「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c2dc14f158d17c1755871edd7f3fc5b8
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/6f45907d90c3d0f759d6bb26ad602a8e



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