<矢戸の池の散策路>
春うららの鎌倉:台峯矢戸池・鎌倉中央公園をブラブラ
2010年4月5日(月) 冷たい雨
余り天気が良くない.
この所,私は柄にもなく水彩画に没頭している.いわゆる“下手な横好き”というやつである.これがまた,大変困ったもので,一旦,絵筆を握ってしまうと,ひたすら絵との対面ばかりで,どうしても運動不足になってしまう.
「・・・こりゃ~いかん! そろそろ外に出て,思い切り歩いてこなければ・・・」
私は心の中で,とても焦り出す・・・が,絵は山と同じように私にとって麻薬である.
書きかけの絵に向かって,ひたすら,頭をひねる.
「・・どうして,ここんところの色が思い通りに出ないんだ・・・」
私は自分の未熟さを棚に上げて,使っている絵の具が悪いだの,絵筆の切れが悪いだのと,心の中でご託を並べたてる.そのうちにイライラしてくる.
2階の仕事部屋に座り込んで,窓外の風景を見下ろす.冷たい雨が降っている.
「今頃,韋駄天のTさんは,どの辺りを歩いておられるんだろうか・・・」
と,ついつい塔ノ岳のことが頭によぎる.
「今週の尊仏山荘の小屋番はネコのOさんじゃないな.それならどうせ塔へ行っても,ミー君に会えないじゃないか.そんなら,塔ノ岳のことなどどうでも良いじゃないか.好きで始めた水彩画に没頭するのに,お前,最初から望んでいたんだろう・・」
「いや,ご尤も・・・その通り.でも,どうも苛つくな・・・」
窓一杯に満開の中央公園の桜が広がっている.もし,私がアルコール好きならば,窓際のテーブルの上に,ワインでも置いて,公園の桜を見下ろしながら,一杯傾けているに違いない.
2010年4月6日(火) 晴天・春うらら
朝から好天.今日の天気予報はピーカンの晴れ.塔ノ岳詣でをしようかと思った.でも,絵の額縁を買うために,極力,出費を抑えたい.そのために,1回3000円も掛かる塔ノ岳行の交通費も極力抑えなければダメ.ぐっと我慢して塔へ出掛けるのを押さえた.その代わりに,今日は鎌倉市内の山桜を見て回ろうと思い立つ.
ふと,以前から「一緒に鎌倉を回りましょう」という口約束をしていた仙人や山仲間のことを思い出す.あまりに早い時間に携帯メールをしても迷惑だろうと思ったので,7時になるのを待って,数人の方に,
「突然ですが・・・今日は天気が良さそうなので,鎌倉を散策しませんか・・・」
とメールを出す.
残念なことに,お一人が,
「今日は○○の予定があってダメ,明日ならOK」
という返事である.
・・・で,皆さんと散策するのは明日ということにする.
ところで,朝一番に自分のブログへの読者のアクセス回数と検索キーワードを調べるのが,私の日課である.少々話題が逸れるが,アクセス回数の推移を調べるのも面白いが,検索に使われたキーワードが,時折々の世相を反映していて,とても面白い.
ここ1~2週間,とても多い検索キーワードは“谷戸の池”,”台峯“,“鎌倉桜”,“塔ノ岳 ヒル”など.これらのキーワードがご常連になっている.
これまた余談だが,“塔ノ岳 ヒル”のキーワードで検索する人が,四季を通じてとても多いから面白い.
…で,話を戻すが,この季節,とても多いキーワード,“谷戸の池”が気になる.
私のブログにアクセスされる多くの方々は,とっくにご承知のこととは思うが,私が知る限りでは,鎌倉には“ヤトの池”が2カ所ある.一つは台峯緑地と鎌倉中央公園の間の谷戸にある矢戸の池.もう一つは,玉縄2丁目にある谷戸池.特に玉縄にある谷戸の池は桜の名所として有名である.
朝食後,まずは絵の前に座り込む.窓外一杯に満開を少し過ぎた鎌倉中央公園の桜が見えている.早く散歩に出たいなと思いながらも,書きかけの3枚の絵の前に座り込むと,ついつい絵にちょっかいを出したくなる.水彩なので,ちょっと描いては水が乾くのを待っている.その間に乾くのが焦れったい思いのまま,隣の絵に手を入れる.すると,手を入れたいところが,あっちも,こっちもと湧き上がってくる.とたんに忙しくなってしまう.
そんなことを,グチャグチャとしている内に,瞬く間に時間が過ぎ去っていく.ついつい,絵の前に座り込んで,折角の午前中を無為に過ごしてしまう.
少々,早めに中傷を済ませてから,カメラと小さなスケッチブックを持って,そそくさと家を出る.外には,柔らかい春の日射し一杯.実に気持ちがよい.まずは,自宅近くの鎌倉中央公園を訪れる.天気が良いので,沢山の近隣の方々が園内を散策している.幼児を連れた家族連れや,近場の保育園の子ども達,私と同じような老人が多い.
沢山の花の下を潜るようにして,園内を散策する.広場を抜けて,市民農園のある谷戸を遡る.そして,公園の梶原口から梶原住宅地を経由して,山内配水場へ抜ける.ここから,北鎌倉女子学園グラウンドへ向かう尾根沿いの道を辿る.
途中,見晴らしの良い場所で,六国見山や勝上嶽(“嶽”はあて字)の山並みを眺めながら小休止.山桜が実に綺麗である.
<六国見山遠望>
<山内の谷戸>
見晴らしの良い場所から少し先へ進んでから,すぐに左折して谷戸へ下る山道に入る.頭上を覆う木々の新緑が眩しいほど綺麗である.その新緑の木々の間から沢山の山桜が見え隠れする.何ともいえない心地よさである.
矢戸の池に向かって,だらだらと坂を下る.
途中で,道にしゃがみ込んで路肩の花を覗き込んでいる女性がいる.邪魔をしてはいけないと思って,離れたところで,女性が歩き出すのを待っている.私が立ち止まっているのに気がついた女性が,
「・・・この間,この辺りの草を刈ったんです・・・そうしたら,その後に,こんな可愛い花が咲いたんです・・・」
と私に話しかける.
花のことは良く分からない私には,この花の名前は皆目分からないが,小さな紫色の花である.なるほど,実に可愛い花である.
「可愛い花ですね・・・気持ちの良い季節になりましたね・・」
と当たり障りのないお返事する.
<谷戸の池>
矢戸の池の水が新緑に染まって温んでいる.神秘的な雰囲気が漂っている.岸辺に「立ち入り禁止」とう看板が立っているので,敢えて岸に近付くことはしなかったが,春の気を十分に堪能する.
矢戸の池の脇を通過する.大きくて立派な一眼レフカメラを持った老人紳士とすれ違う.目線だけで,挨拶してすれ違う.
その後,何の目的もなしに,ブラブラと大船まで足を伸ばす.そのまま吸い込まれるようにヤマダ電気へ.例により買う気もないのにパソコンやカメラ売場をウロウロ.ついでに,最上階にある100円ショップへ.ここも,適当にブラブラ.
そのうちに,ブラブラ歩きにも飽きてしまう.大船駅前,富士見台,鎌倉中央公園を経由して,自宅まで戻る.こうして,出費ゼロ円のブラブラ旅が終わる.
一体,私は今日一日何をしていたんだろう.
健康で過ごせる毎日は,そう沢山残っていないに違いないのに,もっと大切に過ごさなければダメ・・と反省すること頻りである.
(おわり)
「鎌倉あれこれ」の前回の記事
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