<雨の軽井沢>
長野新幹線の旅;霧雨の軽井沢から残暑の小諸へ
(生まれ故郷の回想旅行)
2014年8月30日(土) 雨後晴
<新幹線に乗って>
■久々の軽井沢
生まれ故郷の小諸で,親族の七回忌に出席するために,久々の帰郷である.
まずは東京駅から長野新幹線の電車に乗車する.軽井沢までの停車駅は上野,大宮,高崎の3駅だけ.
ユックリする暇もないほどの時間で,軽井沢に到着してしまう.旅情もへったくりもない.
<軽井沢駅に到着> <キップ>
■乗車した車両はE725系
私が乗車した車両はE725系.シートに座ってから,枕の位置を上下できるのが私のお気に入りである.
軽井沢駅で,電車の先頭部分を写す.
流体力学のことは良く分からないが,中々格好いいな.色もなかなかだ.
<E725系> <電車の先頭>
<雨の軽井沢>
■混雑する駅
今朝の東京は雨上がり.まだ雲が低く垂れ込めていたが,長いトンネルを幾つか潜って,軽井沢に到着すると濃い霧が立ちこめていて,かなりの雨が降っている.
折角の土曜日なのに,駅のコンコースは,雨で行き場所を失った観光客で一杯.あまりの人の多さにビックリ仰天.
しなの鉄道に乗って,小諸駅まで移動しようと思う.
ところが,新幹線との接続が全く悪く,待ち時間が小一時間ある.不便.
軽井沢駅周辺を散策しようかとも思ったが,この雨ではどうしようもない.
“そうだ! まだ少し時間が早いが,昼食を摂っておこう…”
<観光客で一杯の軽井沢駅> <驟雨で煙る軽井沢駅前>
■駅構内の喫茶店で昼食
軽井沢駅駅構内の喫茶店に入る.雨のためか,店内はかなり混雑している.中年のご夫婦と,年配の二人連れ女性の席の間に割り込むように席を取る.何とも落ち着かないがやむを得ない.
ホットドッグとホットコーヒーを注文する.ホットドッグのパンは表がパリパリ,中が柔らかで何とも美味しい・
<構内の喫茶店でホットドッグを賞味する> <しなの鉄道軽井沢駅>
<軽井沢から小諸へ>
■しなの鉄道
10時50分過ぎに,改札口を通って,しなの鉄道の車両に乗車する.
車内はかなり混雑していて,座席はほぼ埋まっている.ボックス席に私が座っていると,私の席の前に若い女性が2人座る.雨にもかかわらず話が弾んで楽しそうである.別に聞き耳を立てているわけではないが,二人の話が聞こえてくる.この二人がこの辺りを旅するのは初めてらしく,浅間山はどの辺りだろうかとか,軽井沢の標高はどの位有るんだろうとか,頻りに気にしている.地元出身の私は,二人の話に割り込んで,いろいろ説明したくなるが,それも照れくさいし,良い年をしたオヤジが話に割り込むのも良くないと思って,無関心を装って,ずっと窓外の景色を眺め続ける.
やがて列車は中軽井沢駅に到着する.昔,沓掛駅と呼んでいた駅である.3分の1ほどの乗客が中軽井沢駅で,ドッと降りてしまう.私の前に座っていたお二人も中軽井沢駅で下車する.そして,中軽井沢から小諸駅までは1ボックスを私一人で占有する.
車窓から浅間山は見えないが,沿線の木立の美しい緑が私の心を和ませてくれる.
“生まれ故郷って,実に良いな…”
<浅間は見えないけれども,木々の美しい緑に心が和む>
■小諸駅に到着
列車は小諸駅に到着する.私の乗車した電車は,小諸が終点である.隣のホームには小諸始発の長野行電車が停まっている.
私は旧制中学から新制高校を卒業するまで,小諸から上田まで汽車通学をしていた.小諸駅の駅舎やホームの構造は,基本的には当時のままである.
私は小諸駅に降り立つと,何時も汽車通時代のことを懐かしく想い出す.
小諸駅前に降り立つ.
私は年に何回も帰郷しているが,帰郷する度に,いつも小諸駅の写真を撮っている.
“…あの頃,自宅を7時05分に飛び出し,坂道を転げるように走って,7時13分発の長野行列車に飛び乗っていたなあ…”
私は,小諸駅に降り立つと,何時も中学生の頃のことを懐かしく想い出す.そして,留学時代の通学路を辿って,今は弟が住んでいる実家までまで坂道を登る.実家までの道順を書くと,小さな町のこと,すぐにお里が知れるので,ここではこれ以上細かなことを書くのは止めておこう.とにかく坂道を登って,弟が待っている実家に辿り着く.
<小諸駅に到着> <小諸駅>
<義兄の七回忌>
■曹洞宗の某寺
実家で真っ黒なネクタイと礼服に着替える.そして,弟が運転する自動車で,小諸市内の某寺を詣でる.今日は,この寺で,義兄の七回忌法要が行われる.参加者はごくごく近親の10名余りだけ.
僧侶の説法と長いお経が続く.
ここでこの説法の内容を書くのは省略するが,要するの七回忌を執り行う意義についての説明が大半である.
お経の内容は良く聞き取れないのではっきりしないが,般若心教だけは何とか聞き取れた.
長いお経を終えて,外へ出る.本堂前のススキが実に見事である.もう季節は秋だなと実感する.
墓地に廻る.義兄の墓に線香を供える.同時に直ぐ近くにある私の両親の墓にも詣でる.祈りを捧げながら,両親と別れてから一体何年経ったんだろうと指折り数える.親孝行か親不孝か分からないが,私たち兄弟3人は,両親の享年をとっくに通り越してしまった.
<曹洞宗の某寺> <寺の境内は秋の気配だ>
<故人を偲んで会食>
■某割烹料理店にて
小諸市内の某割烹料理店で,故人を偲んで会食を行う.例によって提供された料理の写真を纏めておくことにする.
料理を賞味しながら,懐旧談に耽る.
義兄は内科医であった.在りし日の義兄のことが偲ばれる.
会食は,2時間弱で終わる.
<慌ただしく帰宅>
■再び長野新幹線で…
出席者の車で,JR佐久平駅まで送って貰う.
タイミングが良くて,5分ほどの待ち時間で,長野新幹線東京行に乗車する.自由席,土曜日の夕方だが,車内は空いている.
窓側の席に座る.
列車が軽井沢駅に到着すると,観光客がどっと乗り込んできて,たちまちの内に満席になる.
車内で落ち着いてから間もなく,車内販売のコーヒーを賞味する.これでやっと張り詰めた気分から解放される.
何時の間にか窓外は暗くなっている.
<新幹線東京行の車内は空いているが,軽井沢で満席になる> <車内販売のコーヒー>
■慌ただしい旅が終わった
こうして慌ただしい旅は終わった.でも,これで義兄のことを偲ぶこともできたし,両親の墓参りもしたので,何となくホッとした気分である.
10月初旬には,再度,信州を訪れることにしているが,
“やっぱり生まれ故郷は良いな…”
というのが率直な感想である.
(おわり)
「上信越の山旅」の前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f353f930c46f1f6a6911787232567053
「上信越の山旅」の後の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/30ce211f8dd69ccb92c686efe507a4f4
小諸と言っても駅から遠く不便です。おまけに路線バスが無くなり、コミュニティバスが平日のみ運行となり、
まさに陸の孤島のようなところです。
1年おきくらいに墓参に出かけますが、
新幹線開通を住民が反対したそうでおかげですっかりさびれてしまいました。
小諸城址公園昔からちっとも変わらず懐かしい地です。