中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ルアペフ山・タラナキ山登頂記(12)溶岩の大地レストフルリッジ

2006年04月10日 06時08分41秒 | ニュージーランド:ルアペフ・タラナキ
ルアペフ山・タラナキ山登頂記(12)溶岩の大地レストフルリッジ

2006年1月30日(月) その2
<<ルアペフ山登頂>>

9:32,リフトを降りると,すぐに登山を開始する。視界が悪い。辺りは露岩帯が連続している。勾配はそれ程でもない。例によって,ガイドのすぐ後ろに酋長さんいる。速いピッチでドンドンと登っていく。このままの速度では,とても身体が持たないと思った私は,酋長さんたちとは,少し距離を置いてユックリと歩く。でも私は心の中で,
「酋長さんは,どうせ,すぐヘタって,後ろになるだろうナ・・・」
と確信している。
 15分も経たない内に,酋長さんは脱落する。そして,例により,フクロウとバーダーが先頭に立つ。汗ビッショリになった酋長さんは,ずるずると後ろに廻る。途中で霧が薄くなり晴れ間が見えるが,すぐにまた曇りとなる。
 9:58,標高2100メートルに達する。初めての雪渓をトラバースする。そして,また露岩帯を登り続ける。辺りには相変わらず濃い霧が立ち込めていて何も見えない。ただ,黙々と登っていく。
 10:20,再び雪渓を渡る。この辺りから少し急坂になる。
 いつの間にか辺りの雲が少し高くなって,見通しが利くようになっている。だが,上空はあいかわらず厚い雲に覆われている。私達が登っているのは大きな尾根に続く支尾根のようである。登山道の両側は浅い谷になっている。支尾根は急坂である。この急坂を登り詰める。そして,10:30,レストフルリッジ(Restful Ridge)という大きな尾根に到着する。この尾根は,大きな溶岩流(lava flow)である。ここで暫く休憩を取る。
尾根の反対側は,溶岩流が流れた後が広大な谷間になっている。私は事前に旅行社から貰った地図を拡大コピーした地図を持っている。この地図をガイドに見せながら,
「今,私達はどこに居るんですか」
と聞く。拡大コピーを見たガイドは,
 「おお,これは見やすいね」
と言いながら,
「ここだよ」
と教えてくれる。どうやら,私の高度計は実際より,少し高く表示されているようである。ということは,お天気が下り坂と言うことか?
 眼下に大きな雪渓が見える。あるいは氷河か。私はガイドに,
 「あれは氷河ですか? 氷河でなければ英語で何というんでか?」
と聞いてみる。
 「氷河じゃないよ。あれはアイスパック(Ice Pack)って言うんだよ」
と教えてくれる。どうやら雪渓のことを英語でアイスパックというらしい。
 「これから,私達はレストフルリッジを登っていくよ・・・」
と言う。10:35,私達はレストフルリッジを登り始める。
 かなりの急坂である。たちまちの内に酋長さんとドッジさんが遅れ始める。ドッジさんの旦那は奥さんとお付き合いしている。先頭のガイドは構わずに先へ進む。そして,歩き始めてまだ間がないのに,10:50,再び立ち休憩を取る。進行方向右側の谷間の遠くから川の音が微かに聞こえてくる。しかし見渡したところ川は見当たらない。
 「川の音が聞こえるが,どこに川があるんですか」
とガイドに聞く。
 「このもう一つ向こうの谷に流れている川の音だよ」
と教えてくれる。
 「川の名前は何て言うの」
と再び聞く。
 「××××だよ」
と答えてくれるが,聞き取れない。英語が不得手の私にも問題があるが,ニュージーランド風の発音には悩まされる。私は聞き取れないので,ノートにスペルを書いて貰う。すると癖のある字で,WHAKAPAKA川と書く。
 図らずも20分も休憩した後,11:11,ふたたび歩き出す。相変わらず露岩帯が続く。火山特有の溶岩が累々と重なっている。
 11:34,2420メートル地点で,また小休止する。霧雨が降り出す。遅れている酋長さんとドッジさん夫妻を,ただ,ただ,待ち続ける。雨足がだんだんと強くなる。意を決し,雨具を装着する。11:41,ふたたび歩き出す。雨足はますます強くなり,本降りに近い状態になる。
 11:51,2485メートル地点に達する。雨足は少し弱まる。ここでまた雪渓を渡り,すぐに溶岩流を登る。振り返って雪渓を渡っている仲間の写真を撮る。先頭の数人が手を挙げて「イェー」をする。ここから先は,緩やかな勾配の露岩帯になる。露岩には,先史時代,氷河によって削られた条痕が沢山残っている。先頭のガイドが氷河の蘊蓄を披露する。地学について系統的に習得しているようには思えないが,耳学問を通じて,いろいろなことを良く知っているなという印象を受ける。見通しは余り良くないがトラバース道を登りつづける。そして,12:04,私達はプラトーにでる。標高2550メートルである。ここで再び遅れている酋長さんとドッジ夫妻を待ち続ける。
 一瞬,雲が薄れ,東側の眼下に広大な雪原が見える。素晴らしい光景である。しかし,すぐにまた雲の中に隠れてしまう。ガイドの説明によると,この雪原の積雪は60メートルに達するという。
         (第12話おわり)



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